――「PROLOGUE」は先行してイベントなどで公開されましたが、ファンの反応に関してどんな印象を抱かれましたか。岡本 あれだけの情報量からたくさんの考察が出てきていて、非常に良く観ていただいて嬉しいですね。皆さんの感想をチェックしてみると、こちらが届けようとしているものがしっかりと伝わっていることを感じられます。そこは制作冥利につきるというか、単純に嬉しいですね。現場も頑張りがいがあります。
――シリーズ当初からオールレンジ兵器が登場しているのは珍しいと思ったのですが。岡本 『水星の魔女』のガンダムは「呪いのモビルスーツ」と呼ばれていたり、存在を否定されているものなんです。それをわかりやすく視聴者の方に伝えるためにはどうすれば良いかと考え、「最初からオールレンジ兵器」という形になりました。ここまで圧倒的に強いガンダムに、周りがどう対処していくのか、それが見どころになっていくと思いますので楽しみにしていただけますと。
――『水星の魔女』はこれまでのシリーズとは違う、いろいろな面で挑戦的な作品となるようですが、岡本さんの中でこの作品を『ガンダム』とする、ひとつの柱みたいなものはあるのでしょうか。岡本 私はガンダムの本質は「人間ドラマ」だと思っています。勿論モビルスーツなど様々な要素もあるとは思うのですが、富野(由悠季)さんが『機動戦士ガンダム』で描いた濃いドラマを出発点に、他のシリーズもそこを大事にしてきたのではないでしょうか。
――『水星の魔女』で、ガンダムという存在はどう描かれていくのでしょうか。岡本 まだあまり詳しくはお話できないのですが、この世界の人々がガンダムをどう認識しているのか、またガンダムを介した人間のやり取りがこの物語の面白さになると思っています。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』より。
――アフレコ現場の雰囲気はいかがですか。岡本 この状況下でのアフレコですので大変ではありますが、キャストや音響制作の方々のご協力で大変良いものになっていますし、我々が頭の中で考えていたイメージが、演者の皆さんのおかげでさらにパワーアップして具体化されています。実力派の皆さんが集まって下さったことで、キャラクターの魅力が何倍にもなっていると感じています。
やはり『ガンダム』ということを意識されたのか、最初は皆さん演技が『ガンダム』感のある少し真面目なアプローチだったりもしたんですが、徐々に作品に慣れてくると「あれ、ガンダムだけどこんな感じで大丈夫?」なんて声も聞こえてきています(笑)。今回はそんな、従来のガンダムシリーズのキャラクターとは一風変わった面白さにも是非注目していただきたいです。
――では最後に、『水星の魔女』をどんな作品に仕上げていきたいと思いますか。岡本 何十年後もしっかり残っている作品にしたいです。今までのシリーズを手がけてきたスタッフの皆さんに負けない意気込みで、今後も『水星の魔女』に取り組みたいと思います!
>>>『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『水星の魔女 PROLOGUE』場面カットを見る(写真19点)(C)創通・サンライズ・MBS