• 生賴範義×小松左京『復活の日』複製原画が魅せるSFビジュアルの真髄
  • 生賴範義×小松左京『復活の日』複製原画が魅せるSFビジュアルの真髄
2022.09.02

生賴範義×小松左京『復活の日』複製原画が魅せるSFビジュアルの真髄

日本SF史に刻まれた名作ビジュアル(C)生賴太郎/小松左京ライブラリ

昭和のSFビジュアルを牽引したイラストレーター・生賴範義の貴重な原画を復刊ドットコムが限定複製化。この機会に改めて、現在のあらゆるカルチャーシーンに強い影響を与えた生賴氏の偉大な足跡を振り返ってみよう。

生賴範義は1935年、兵庫県明石市に生まれ、1960年代初頭からイラストレーターとしての活動をスタート。「吉川英治全集」(講談社)の挿絵や「週刊ぼくらマガジン」(講談社)表紙イラストなど数多くの仕事を手がけ、点描画やアメコミタッチ、油絵調まで様々な画風を見事に使い分けながらその手腕を振るった。

続く70年代には早川書房・角川文庫などのSF関連書籍の仕事で大きな注目を集め始める。中でも平井和正『狼の紋章』『狼の怨歌』『狼男だよ』などの「ウルフガイ」シリーズ&「アダルト・ウルフガイ」シリーズ、『死霊狩り(ゾンビー・ハンター)』、『幻魔大戦』シリーズなど、また小松左京『果てしなき流れの果に』、『復活の日』などの装画、そして79年にはSF専門誌「SFアドベンチャー」(徳間書店)の表紙絵などが印象深い。その鮮烈なビジュアル群は読者のSFマインドを刺激するだけでなく、さらに拡大させていった。

生賴氏の評価は80年公開の『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』国際版ポスターワークを手がけたことで世界的かつ決定的なものとなる。そして以後も、84年公開『ゴジラ』以降の平成ゴジラシリーズのポスタービジュアル、コーエーの『信長の野望』『三國志』シリーズをはじめとするパッケージイラストなどで、さらに多くのファンを獲得していく。作品そのものが「ひとつの世界」として提示される――それこそが生賴イラストレーションの魅力の真髄といえるだろう。

今回複製原画として発売されるのは、1980年の映画『復活の日』(監督:深作欣二)のために描かれた25点のコンセプトアートから選ばれたもの。同映画が『VIRUS』のタイトルで海外配給された際にはポスタービジュアルとして使用され、近年では角川文庫版『復活の日』の装画としても使用されており、この1枚で原作の壮大なスケール感やドラマに圧倒的な画力が伝わってくるはずだ。

生賴範義ファンはもとより小松左京ファンにも広く知られるこの画稿が、2022年9月6日(火)正午までの事前受注方式による限定生産アイテムとして展開される。
株式会社広済堂ネクストによるアート作品に特化した高演色印刷ソリューション技術/ブリリアントパレット(インキ自体に物理的な質感を与えて、煌きの中に透明感や立体感を際立たせ、より感性に富んだ印刷表現を可能にするもの)にて可能な限り現物に近い色味、質感が再現される。

貴重な複製アイテムから、生賴範義という才能の真髄を感じ取ってもらいたい。

(C)生賴太郎/小松左京ライブラリ

アニメージュプラス編集部

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