• 『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』監督が語る新たな表現との格闘
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2022.06.16

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』監督が語る新たな表現との格闘

(C)バード・スタジオ/集英社 (C)「2022 ドラゴンボール超」製作委員会


──背景美術での新しい取り組みなどはありましたか。

児玉 カリン塔や神様の神殿、カメハウスは新規に起こした一方で、利用できる既存の素材は再利用しています。全体の密度感や色のカラフルさは新しく感じていただけるかもしれないですね。
加えて、幼稚園にはこだわりました。娘の幼稚園がわりかし自宅から近い場所にあったので、「幼稚園らしさってなんだろう」」と考えながら、足繁く通いました。防犯上門構えがしっかりしているとか、そういうリアルさを上手く取り込むことができたと思います。
――ストーリー面についてもお聞かせください。今回は悟空の息子である孫悟飯、その師匠であるピッコロの二人をメインに進んでいくとのことですが。

児玉 はい、今回ピッコロは大変なんですよ。個人的に、本作のテーマは「ピッコロの1日」だと思っていて、時間軸もしっかり描かれています。まあ、見ていて本当に忙しいし、可哀想だと思ってもらえるんじゃないでしょうか(笑)。

――元は大魔王だったのに、ピッコロも随分印象が変わりましたよね。

児玉 全くですね、ピッコロも悟飯も見方によって印象が変わってくるんですよ。まあ親の目線からすると、悟飯なんてひどいものじゃないですか(笑)。というか、悟飯一家がもう普通じゃないんですが、それが面白さのひとつでもありますから。本作でも、そういう「あ、こいつ、いかんな」っていうところが早々に出てきますので。

――作品中に登場する一番良い親って、実はピッコロなんじゃないかと思うんですが。

児玉 そうですね、悟飯の親であり、パンの師匠でもある。『ドラゴンボール』の良心的なポジションにいると思います。

――ちなみに、今作の中で監督が特に感情移入したキャラクターは誰でしょうか。

児玉 やっぱりピッコロ、あとはパンかな。ピッコロはシナリオ上いろいろ書かれていたんですが、パンに関する指示はそんなに細かくはなく、彼女の動機づけや心理はこちらでフォローする必要があったんです。そういう意味で、パンについてはすごくいろいろ考えたと思いますし、それだけ思い入れのあるキャラクターとなりました。

――今回新たに参加した神谷浩史さん、宮野真守さん、入野自由さんの印象はいかがでしたか。
児玉 アフレコ初日は「今回の新キャラクターはこうなってます」と説明にうかがうんですけれど、実はその時ずっと片膝をついて対応していたんですよ。

――主人に仕える執事のような感じですか?

児玉 はい。僕からしたら皆さん大ベテランの方々で、もう「お任せします!」という感じでしたね。意見を求められたとしても、逆に「どうしたらいいですか?」ってこっちが聞きたくなるくらいで(苦笑)。

――アフレコ時の印象はいかがでしたか。

児玉 キャストの皆さんは本当に素晴らしい方々ばかりでした。できれば収録を1日で終了したかったんですが、最終的に何回かに分ける形になってしまったんです。そこも柔軟に対応していただいて非常にありがたかったです。
また野沢雅子さんはじめ超ベテランの方々の声が若くて本当に驚かされました。一瞬「今でもあの声出るのかな?」って思ったんですが、いざ始まるとちゃんと悟空で、悟飯で、悟天で、ピッコロで、クリリンの声。皆さん素晴らしかったと思います。

――児玉監督の考える『ドラゴンボール』の魅力はどういうところにあると思われますか。

児玉 ファンの層が各世代に渡っていて、しかもそれぞれ違った見方、楽しみ方ができるところが大きな魅力です。長きに渡って支持されているのは、その部分が大きいと思います。

――最後に、ファンの皆さんへ一言お願いします。

児玉 お楽しみに!

児玉徹郎(こだま・てつろう)
大分県出身。ECHOES所属。映像作家として『プリキュア』シリーズのエンディングのアニメーション、NHKの音楽番組『みんなのうた』やEテレのアニメーションなどを手掛け、オリジナル短編アニメーション『PIANOMAN』は数々の賞を受賞。前作『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018)では3Dパートの制作を務めた。

>>>すべてが新しい!『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』名場面を見る(写真18点)

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(C)「2022 ドラゴンボール超」製作委員会

アニメージュプラス編集部

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