• 『崖の上のポニョ』〈17万枚の手描き動画〉が生み出す唯一無二の夢の世界
  • 『崖の上のポニョ』〈17万枚の手描き動画〉が生み出す唯一無二の夢の世界
2022.05.06

『崖の上のポニョ』〈17万枚の手描き動画〉が生み出す唯一無二の夢の世界

(C)2008 Studio Ghibli・NDHDMT


この映画のすべては、アニメーターによる手描きのアニメーションだ。
その味わいを感じられるのは、たとえば海の表現。
ゆったりとした海中の動き。中盤で台風が襲ってくる場面での荒れ狂う水面、激しい波。CGを活用すればリアルな映像を作り出すことも可能だ。
だが『ポニョ』が目指したのは、そうした画面ではなかった。
デフォルメされ、決して “リアル” ではないが、まるで生物のように動き、恐怖や不気味さを感じさせる波。
この『ポニョ』という映画でしか観ることのできない独特の“動き”は、アニメーターのイマジネーションとそれを形にする技術によって生まれているのだ。

もちろん、ポニョや宗介の魅力的な仕草や表情も、すべて手描きアニメーションだ。
その小気味のよい動作からは見ているだけで楽しくなるだけでなく、ポニョや宗介の無邪気さ、快活さ、純粋さを伝えてくれる。
だからこそ、複雑なドラマや細かい感情表現がなくても観客は二人を好きになり、応援したい気持ちになる。
そして気がつけば、現実的な日常生活と不思議な魔法の世界が地続きに同居する物語を、誰もが違和感なく受け入れることになる。

“手描きで動かすこと” にこだわった結果、本作に使われた動画は何と17万枚を超えるという。
その膨大な量の “絵” を1本のフィルムにつなげることで生まれたのが、『崖の上のポニョ』という唯一無二の〈夢の世界〉だ。
“手描きアニメーシ ョン” という技法を追求し、磨き上げ、ひとつの “表現形式”  として確立したことから生まれる普遍性だと、言うこともできるのではないだろうか。
今回の放送できっと、その普遍性を感じてもらえるだろう。


>>>魚と人間、どちらの姿も可愛い!『崖の上のポニョ』名場面を見る(写真13点)

(C)2008 Studio Ghibli・NDHDMT

アニメージュプラス編集部

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