• 『大怪獣のあとしまつ』監督がこだわった「死んだ怪獣」のリアリティ
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2022.01.25

『大怪獣のあとしまつ』監督がこだわった「死んだ怪獣」のリアリティ

(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会


――6メートルの怪獣の造形物を作ったということですが、それ自体もかなり大きいですよね。

三木 怪獣の造形物としては一番大きいかもと言ってましたね。『シン・ゴジラ』でも(雛形)を造ってましたけど、実際動かさなきゃいけないんで、あそこまでの大きさにはならなかったですね。
大きく作ったほうが怪獣にできた傷とかを含めてディティールを細かくできるじゃないですか。その造形物を写真とデジタルでスキャンしてVFXのCGデータに起こしていく。本編では場面によって、VFXと造形物それぞれを使い分けています。

――怪獣の遺体に刻まれた大きな傷はヒーローにやられた傷なんでしょうか。

三木 そうですね。物語上は一種の放電現象によって大きなエネルギーを与えられて死んだんじゃないか、とされていますけど、まあ光線か何かが当たって大きな傷が出来ていると。死んだ怪獣を片付けることがテーマなので、怪獣の死因の象徴を映像の中に入れておいたほうがいいだろうというのはありましたね。

――佛田さん、野口さん、若狭さんの仕事の棲み分けはどうなっていたのでしょうか。

三木 最終的に特撮・CG・造形物の三つが合わさった形になっていますね。例えばミサイルが暴発して落ちて爆発するカットでは、飛んでくるミサイルは野口さんのCG。ミサイルが怪獣に落ちていくところは、若狭さんの造形物(ミサイル)に佛田さんが火薬を仕掛けて爆発させていて、奥側の背景もCGです。

――キャスティングについてもお聞かせ下さい。メインキャストに山田涼介さん・土屋太鳳さんを起用した理由は?

三木 山田くんに関してはヒーローの  “立ち方”  ができる役者さんだと思って決めました。たぶん体幹のコントロールがしっかりしているのだと思います。これは彼から聞いた話ですけど、舞台公演でジャニ―(喜多川)さんから、やったことがない綱渡りをいきなり何度もさせられたらしいので、そこで鍛えられていったんじゃないかと。土屋さんの決め手は「目」ですね。彼女の真っ直ぐな目線が映画の中で欲しかったんです。

この映画の中で山田涼介、土屋太鳳とその夫役・濱田岳との3人の関係は、フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』からインスパイアされました。空白のある男(アラタ)に想いを持っている女性、でも彼女には婚約者がいて……という感じでね。土屋さんのストレートな目線の先に山田くんが立っている、そんなイメージを想起できたのが、二人をヒーロー&ヒロインに選ぶ決め手になったと思いますね。

――本作はポリティカルコメディの要素も存分に盛り込んでいます。首相(西田敏行)の「すべては国民の知らなくてもいい権利のため」というセリフがありますが、これは原発事故やコロナに対する政府の日本国民への対応を揶揄しているようにも思えました。

三木 そういうことを描こうとしたわけじゃないですけれど、いわゆる政府の隠し事ってあるじゃないですか。「知らなくていい権利のため」という言い方をするのが、政府の中枢にある人が国民に対して思っていることじゃないのかなぁと予想できるわけです。そんなポリティカルコメディの部分が現実とどうリンクしてくるのか、考えながら観ていただければ作り手としては嬉しいですね。

>>>豪華キャストが集結!『大怪獣のあとしまつ』場面カットを見る(写真9点)

(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

アニメージュプラス編集部

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