• 年末になると観たくなる『東京ゴッドファーザーズ』の幸福感
  • 年末になると観たくなる『東京ゴッドファーザーズ』の幸福感
2021.12.19

年末になると観たくなる『東京ゴッドファーザーズ』の幸福感

(左から)赤ん坊「清子」を囲むギン・ミユキ・ハナ。 (C) 2003 今 敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会

今敏監督の劇場長編アニメ『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)が、12月19日放送のBS12トゥエルビ『日曜アニメ劇場』で放送される。

元競輪選手のギン、元ドラァグクイーンのハナ、そして家出少女のミユキは、それぞれの事情から新宿でホームレスとして一緒に暮らしていたが、クリスマスの夜、ゴミ捨て場に捨てられた女の子の赤ん坊を発見。ハナに「清子」と名付けられた赤ん坊の親探しに出かける3人だが、行く先々で思いもしない騒動に次々と巻き込まれることに。

本作は『PERFECT BLUE』(1997年)、『千年女優』(2001年)に続く今監督の長編アニメ第3作。今監督の作品は幻想と現実が混在する世界を描くことを主としているが、本作はジョン・ウェイン主演の西部劇映画『三人の名付親』(1948年)をモチーフにした、ストレートなエンタテインメントドラマが描かれることとなった。
「親探し」と聞くと地味なストーリーを想像するかもしれないが、まさかのタイミングで予想外の展開が次々と飛び込み、クライマックスの「危機また危機」の展開に最後までドキドキが止まらないストーリー展開はさすがの一言だ。

今監督の作風は総じてビジュアル・演出共にリアル志向であるが、本作においてはややデフォルメの効いたキャラクター芝居や演出が取り込まれている。ここから、本作は主役3人の魅力で観客を魅了したいという今監督の狙いを感じ取ることができる。3人の珍道中は赤ん坊の親を探す目的から始まるが、その行程で彼らそれぞれの過去も浮き彫りにされていく。ホームレスになった際に失ったはずの “家族” と再度向き合っていく中、なりゆきで生まれたはずの3人の絆は強く深く結ばれていくことになる。彼らの行動・決断に驚き笑いながら、温かなヒューマンドラマを堪能することができるはず。

(C) 2003 今 敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事