• 重厚なライトセーバー戦に注目!『スター・ウォーズ:ビジョンズ』『The Elder』大塚雅彦監督インタビュー
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2021.10.16

重厚なライトセーバー戦に注目!『スター・ウォーズ:ビジョンズ』『The Elder』大塚雅彦監督インタビュー

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「スター・ウォーズ」の監督になった気持ちは?
ーーご自身の監督作が「スター・ウォーズ(以下「SW」)」の世界にラインナップされ、「SW」の監督としてお名前がクレジットされたお気持ちはいかがですか。

大塚 自分自身、「SW」みたいなものを作りたいと思って仕事をはじめたところはあるのですが、アニメというジャンルの違いもあって自分が「SW」を作るとは妄想さえしたこともなかった。だから、信じられない、夢のような気持ちです。クレジットに「原作:ジョージ・ルーカス」と出て、その後に自分の名前が出る。ギャグかと思うくらいに、現実味がなかったです(笑)。でも、本当に嬉しかったですね。

ーーでは、お仕事の話を受けられた時も半信半疑というか。

大塚 海外の知り合いのスタジオが「SW」の仕事をしていたので、羨ましいなという話はしていたんです。まさか、本当に自分たちにオファーをいただけるとは思っていなかったので、お話をいただいた時はもう「やるしかない」という気持ちでした。

ーーしかも今回は、公言なさっているようにご自身のクリエイターとしてのキャリアはひと区切りと。

大塚 確かに、そう言ったとは思うのですが……その件がやたらとクローズアップされてしまって驚いています。もともとTRIGGERを作った時に「僕は演出としてはここで引退だ」くらいのつもりでいたのですが、なかなか現場が大変なので何だかんだ10年くらい手伝ってきました。でも、そろそろいいでしょうと思っていたところに今回の話がきたので、いいタイミングかなと感じて周囲にも「この作品で最後」と言ったのですが、それが外にも広まって「最後の作品」ということになっています……でも、それほどのニュースではないと思うのですが(笑)。

ーーいえいえ(笑)。さて、今回は短編のオファーだったと思いますが、スタートとしては「何を作ろう」という発想があったのでしょうか。

大塚 尺が短い中でちゃんとキャラクターを立てたいと思ったので、アクションとエピソードのバランスが取れたものにしなければ、というのがまずありました。正直、短編ってアニメとしてはそれほどコストパフォーマンスがよくないと思うんですよ。短いフィルムのためにデザインから起こさなければいけないので。自分としては経営者の立場もあるので、膨大な赤字を出すわけにもいかないと計算もした上で、やれる範囲で作ろうということですね。それから僕は、実は高校生の頃に「SW」をモチーフにした時代劇の人形アニメを作っていたことがあるんです。その記憶もあって、ぱっと思い付いたのが「SW」で時代劇をということ。ジョージ・ルーカスも好きだった黒澤明監督の時代劇のような雰囲気を持った「SW」になればいいかな、と。それを実現しようというのがひとつのコンセプトでした。

ーーおっしゃるとおりで、ルーカスが日本の時代劇に大きな影響を受けているというのはよく知られた話ですね。今回の『The Elder』は特に時代劇の雰囲気が強く出ていると感じました。ジェダイの服装なども、もちろんオリジナルの設定通りではあるのですが、どことなくより和風になっている感じで。

大塚 そうですね、もともと日本の文化が「SW」に影響を与えているということは広く言われていたので、時代劇的な雰囲気に合うだろうという部分を活かしながら、もう少し時代劇の雰囲気がより出るようにしたいなと思いました。そこは、作品の中に色濃く出ているとは思います。

ーーストーリー、映像、キャラクターといった部分では、短い尺の中で何を見せたいと考えましたか。

大塚 短いとはいえ、キャラクターにお客さんが興味を惹かれないのはおもしろくないので、登場人物がどういう人かちゃんとわかってもらうというのがまずひとつ。そして、やはり「SW」で最初に誰もが真似するのがライトセーバーのチャンバラ。それは外せないし、元々はルーカスもそこを目指したんじゃないかなと思うので。日本の殺陣の雰囲気で、誰もが好きなライトセーバーの戦いを描くというのは演出上の大きなテーマでした。

ーー謎の剣豪とジェダイとの戦い。その謎の剣豪は二刀流の使い手で、60〜70年代の時代劇のような外連味がありました。

大塚 そうですね、僕も時代劇は好きだったし。昨今は時代劇の映画自体が下火になってしまいましたが、日本映画が全盛だった頃の時代劇は今観てもとても刺激的です。役者さんが持っているオーラのようなものも含めて、今観ても魅力がある作品が多い。そういう、今の日本映画では観られなくなってしまったものを「SW」という舞台を使って再現する、これも、アニメーションならではだと思ったので。自分自身、作っていてとても楽しかったです。


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アニメージュプラス編集部

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