『NIGHT HEAD』との出会い
ーー『NIGHT HEAD』という作品に小野さんが最初に触れたのはいつ頃ですか。
小野 最初のTVドラマが放映された頃ですが、ドラマに最初に触れたわけではなくて。バラエティ番組でネタになっているのを観たのが最初です。芸人さんたちがおもしろおかしく『NIGHT HEAD』をパロディにしているのを観たのが、僕の最初の『NIGHT HEAD』でした。
ーー当時はバラエティ番組でネタになるくらい、一般に浸透していた作品ですからね。では、実際にドラマそのものに触れたのは?
小野 その後に大学生になってからです。90年代後半から2000年くらいの時期に、VHSで観た記憶があります。だから、そもそも流行った時期にそのムーブメントの中にいたかというと、そうではなかった。でも、ものすごいカルト人気というか、観たことない人でも知っている感じが、当時の『NIGHT HEAD』にはありましたよね。今だと『鬼滅の刃』みたいな感じですよね。『鬼滅の刃』のキャラクターは知っているけど、実際には観たことはない。そういう人もいるそうですから。今、資料を見たのですが、最初のTVドラマって92〜93年の放送ですね。僕はまだ中学生でした。
ーーまだ深夜ドラマを観る年頃ではないですね。
小野 さらに、僕は地方出身なので、リアルタイムでは放映もされていませんでしたから。とにかく『NIGHT HEAD』というタイトルが社会現象を引き起こしているけれど、それが何かは知らないという状況で、パロディのほうに先に触れてしまいました。ただ僕はその後、中学~高校生くらいからTVドラマにどっぷり浸かり、日大芸術学部放送学科に進むんです。その勉強のためにも、上京してからいろいろなTVドラマを観ました。その中に『NIGHT HEAD』があったんですね。
ーーかつて一世を風靡した名作ドラマを観てみよう、と。
小野 「元ネタは、何だったんだろう?」って。そんなふうに作品に触れました。
ーー実際にご覧になった『NIGHT HEAD』はいかがでしたか。
小野 観る前の印象として、「頭が痛いよ、兄さん」「どうした、直也」という、この一連の会話しかなかったんですよ。
ーー『NIGHT HEAD』といえばそこですよね。
小野 そして、それくらい一般的に認知されたブームになっていたということは、もっと「明るい」作品だと思っていたんです。わかりやすくて、明るい作品だと思っていたけれど……真逆でした。物語が何を語りかけているのか、自分で探し出さなければならない。その時は、いい意味で「暗くて重い作品だな」と思いました。
(C)飯田譲治/NIGHT HEAD 2041 製作委員会