• 『シドニアの騎士 あいつむぐほし』吉平 “Tady” 直弘監督が語る制作秘話 
  • 『シドニアの騎士 あいつむぐほし』吉平 “Tady” 直弘監督が語る制作秘話 
2021.06.03

『シドニアの騎士 あいつむぐほし』吉平 “Tady” 直弘監督が語る制作秘話 

『シドニアの騎士 あいつむぐほし』(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工重力祭運営局


――物語としては、やはり長道とつむぎの恋愛にウエイトを置いている感じでしょうか。

吉平 はい、ストーリーを構成する中でずっと言ってきたことは「この作品はラブストーリーである」ということでしたから。最終的にラブストーリーとして満足できることが重要でした。本作ではそのバランスを取る作業はものすごく難しかったです。初めて観る方に対して導入をしっかりやらなければいけない上で、ガウナと人類の戦いのスペクタクル、シドニアの中で生きてきた人たちの歴史のドラマについても同時に描かなくてはならないわけです。大変な苦労を伴いましたが、完結編として最高のストーリーとしての編み込みができたのではないかと思っています。
長道とつむぎの恋の行方は本作の大きな見どころに。

――今回は監督である吉平さんに加えて、総監督の瀬下寛之さん、総監修で原作者の弐瓶勉さんが入られています。3人でどのように作品をブラッシュアップしていったのでしょうか。

吉平 最初に弐瓶さんにアニメの現場へ入っていただくことになったのは、同じく弐瓶さんの原作を劇場アニメ化した『BLAME!』からですね。今回もその流れで、『シドニア』を作っていく上での旗印というか「起点」となっていただいています。弐瓶さんには、今回の劇場版で『シドニア』として表現していきたい部分を強く打ち出すために大きな手助けをしていただきました。総監督の瀬下さんには脚本開発やプリプロクションでの協力と、得意分野であるSF考証・ミリタリー描写に注力していただき、そこから先のプロダクションを含めた部分や絵コンテ以降の演出は監督として全て僕に任せていただきました。作品の軸がぶれないよう、大きな責任を一身に背負って描かせていただいたという感じですね。

――今回弐瓶さんが出された新たなアイデアとは、どのようなものだったのでしょうか?

吉平 まず驚いたのが「第2期ラストの10年後から物語をスタートする」ということです。単純にこれまでのシリーズの続きを映像化するというわけではないことをファンの方に伝える宣言であると同時に、その導入部で10年後の新兵たちがガウナとの戦いを追体験するという構成で新しい視聴者の方々に世界観を伝えることもできるわけですから。よく考えられた、素晴らしい仕掛けだなと思いましたね。

その他にも、弐瓶さんには原作には盛り込むことができなかったという知性型ガウナに関しての設定や、「今の自分だったらこう描いてみたい」「アニメで描くのならこうしたい」という要素を積極的に出していただきました。それをスタッフみんなで吸収して、作品に織り込んでさらに凝縮していく――それが今回の作品作りの根幹となりました。

>>>本編の場面カットを見る(写真7点)

(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工重力祭運営局

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事