• 高田明美が明かす〝暇つぶし〟から始まった『パトレイバー』秘話
  • 高田明美が明かす〝暇つぶし〟から始まった『パトレイバー』秘話
2020.09.11

高田明美が明かす〝暇つぶし〟から始まった『パトレイバー』秘話

「きまぐれオレンジ☆ロード」(C)まつもと泉/集英社・日本テレビ・東宝



――続く『機動警察パトレイバー』(88~89年)は、押井守監督、伊藤和典さん、ゆうきまさみさん、出渕裕さんと結成した「ヘッドギア」というユニットで取り組んだOVA作品で、その後も劇場版・TVアニメシリーズほか様々な展開を見せることになります。

高田 そもそもは、当時みんなで仲良く旅行に行ったりして遊んでいたんですよ。昼間は温泉、夜は暖炉の前でトランプの大貧民を楽しんでいたんですが、夜も長いものですから暇つぶしに「企画ごっこ」をやるのが流行ったんです。まずゆうきまさみさんが考えていたネタ帳みたいなのがあって。伊藤君がそこに第二小隊の設定を作って、私やブッちゃん(出渕氏)であれこれとラフを描いていく、みたいな。そこでだいたい形にできたところで、私の家で開いたクリスマスパーティーでプロデューサーの鵜之澤伸さんにプレゼンしたところから、すべてが始まりました。話が軌道に乗って制作に入る段階で「意外と予算と納期を守る」押井さんを呼んでヘッドギアが揃いました。

――すごくカジュアルな感じで動いて行ったんですね。当時高額というイメージだったOVAが、ブロックバスター価格で発売されたのも衝撃的でした。

高田 ソフトの価格が安いから現場の予算もないわけですよ。だから当時の私たちはほぼノーギャラで働いていました。「儲かったら(5人を)ハワイに連れて行く」って鵜之澤さんは言ったんですけれど、結局行ってないんですよ。おかしいなぁ、確かヒットしましたよね?(笑)

――大ヒットですよ(笑)。そういえば以前、押井監督と鵜之澤さんが対談されていた際に、同じように「ハワイに連れて行かなかった」と押井監督が文句を言っていました。

高田 でしょう? きれいな海に潜るのが好きで南の島はよく行きますけど、ハワイにだけは行ったことがないんですよ! もう一生言い続けますから(笑)。

――『パトレイバー』といえば先日、劇場版1作目の4DX上映がありましたが大好評でしたね。

高田 結構お客さんが入ったんですよ。私が聞いたのでは7回観た猛者がいたという。内容的にも静と動のメリハリがあって、本当に4DX向きの題材でしたね。

――『パトレイバー』の人気がここまで高まった理由をどう考えていますか。

高田 まずイングラムがカッコいいですよね。見るものの心理的影響まで考えて作られた、αにしてΩ、究極のデザインだと思います。あとキャラクターの配置も絶妙です。まさか後藤までもがこんなに人気が出るとは思いませんでしたから。

――なんと10月には後藤のキャラクタームックも出るらしいですね。

【関連】野明もビックリ!?「パトレイバー」特車2課上司のムックが発売!

高田 そうなんですよ。今や「理想の上司」みたいな扱いをされているのが信じられなくて(笑)。今回のムックは表紙イラストを描き下ろしたんですが、一生懸命便所サンダルの画像をネット検索して頑張りました(笑)。

――しかし、ああいうキャラが人気なのも『パトレイバー』ならではですよね。特別なヒーロー・ヒロインがいるわけではないのに……。

高田 『パトレイバー』の場合はキャラのことを「美男・美女」という扱いにはしないことになっていますし、私も野明のことは一応かわいく描いているつもりですけれど、むしろ「人間」としてどうかというところが大事なところだと思っていますから。

――わかります。一連のイラストのシチュエーションを見ても、日常のふとした1コマを切り取ったような内容が多いですから。さらに『パトレイバー』は新作アニメの企画も進行中なんですよね。

高田 はい、今はまだ詳しくはお話できませんが、楽しみにしていてください。

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事