• 高田明美が語る「意外なきっかけで完成したクリィミーマミの髪型」
  • 高田明美が語る「意外なきっかけで完成したクリィミーマミの髪型」
2020.09.09

高田明美が語る「意外なきっかけで完成したクリィミーマミの髪型」

「魔法の天使 クリィミーマミ」(C)ぴえろ



ーー続く形で、高田さんの代表作と言える『魔法の天使 クリィミーマミ』(83~84年)を手がけられます。

高田 『うる星やつら』の制作がぴえろから(スタジオ)ディーンに変わったので、押井さんを除く同じスタッフで布川さんが勝負をかけたんだと思います。伊藤和典さんはSF・ファンタジー指向の強い人だったんですが、亜細亜堂から日常描写にこだわる小林治さんや望月智充さんが入ってこられたことで地に足がついたファンタジー感覚が生まれ、普通の女の子が魔法を使う設定にリアリティを持たせることができたんじゃないでしょうか。

――放送から何十年も経った今でも、若い女性向けのブランドでコラボアイテムが展開されるなど、マミの可愛さがまったく古くならないのって凄いですよ。

高田 『マミ』って、初めての本格的なオリジナル作品ということもあって、私のベースの絵に一番近いと思うんです。子どもの頃からいろんな漫画家さんに影響されながらノートに女の子をいっぱい描いていましたが、その中でも素直にすっと出せる絵だったかなって思います。

――キャラ作りで、ポイントにしていたことはありますか。

高田 これはインタビューで何度も語っていることなんですが、マミは優とは別人、まったく違うキャラなんです。あれは俊夫に振り向いてもらいたい優の恋心が魔法の力で実体化したものだから、実態がない存在なんです。その実態のなさが女の子を惹きつけたんじゃないかと思います。あと、マミの服は、私が子どもの頃に着たかった服と実際のアイドルの服を合わせて考えて、楽しんで描いていました。

――子どもの頃の憧れの服って、どういうものですか。

高田 ピアノを習っていて、発表会の時に服を買ってもらうんですが、割合スッキリした今思えば品のいい服ばかりなんです。自分としてはフリルのついたソックスが履きたかったし、ピンクのふわっとしたワンピースが着たかった、みたいなそういう思いが頭のどこかに残っていたんですね。その後、松田聖子さんの服なんかを見て、やっぱりこういうのが可愛いと思って、その方向でまとめていきました。

――マミは独特な髪型も印象的でしたね。

高田 最初は別のイメージだったんですが、たまたま踊りながら歌っているマミの絵を描いたら「この髪型でやってください」と言われて決まったんです。でもあの髪の形、動きの中でたまたまああなっていただけだったんですけれど……。

――ハハハハ、たまたまふわっと浮いている髪の形が選ばれたわけですね。

高田 あと、マミでラベンダーカラーに目覚めたっていう人、多いですね。

――あの髪の色を選んだ理由は?

高田 ちょっと前に『魔法のプリンセス ミンキーモモ』があったから、ピンクだけはやめておこうね、という感じで、いろいろ試し塗りをして、最終的にバンダイが選びました。ちょっと違うヘアスタイルや格好でも、髪を紫で塗っておけば「マミだ!」とわかってもらえますから、それは便利ですよね。

――マミは女の子だけでなく、男性ファンも虜にしましたよね。

高田 OVA『永遠のワンスモア』(84年)の発売記念上映会があって、その時初めて「こんなに男性のファンがいたんだ!」って驚きましたね(笑)。まだ作品を観たことがない人には『永遠のワンスモア』と続編の『ロング・グッドバイ』(OVA・85年)は、ぜひ観てもらいたいです。

(以下、後編に続く)


高田明美(たかだ・あけみ)
1970年代後半に、アニメ『ヤッターマン』のゲストキャラクターデザインを務めて以来、キャラクターデザイナーとしての活動は40周年を越える。代表作は『魔法の天使 クリィミーマミ』『うる星やつら』『きまぐれオレンジ☆ロード』『機動警察パトレイバー』など多数。現在でも展覧会で各作品の新作を発表したり、新企画のキャラクターデザイン、イラストなどを手掛けている。

【EVENT】

倉敷市立美術館 特別展 高田明美展 Angel Touch

キャラクターデザイナーとして手掛けた版権イラスト原画やオリジナルイラストレーション約200点を紹介。描き下ろしの新作も展示される。

開催中~11月8日(日)
展覧会場:美術館2階 第2・第3展示室
休館日:月曜日
※ただし9月21日(月・祝)は開館、9月23日(水)は休館
開館時間:9時~17時15分(入場は16時45分まで)
観覧料:一般800円(700円)/65歳以上、高大生600円(500円)/小中生200円(100円)
※( )内は20名以上の団体料金

(C)ぴえろ (C)HEADGEAR (C)高橋留美子/小学館 (C)まつもと泉/集英社・日本テレビ・東宝 (C)ぴえろ・バンダイビジュアル (C)TAKADA Akemi

【BOOK】

Angel Touch ~エンジェルタッチ~ 高田明美画集

版権イラストとオリジナル作品を、40年以上の制作の中から新旧あわせて収録した、クロニクル的な意味合いを持つ作品集。

発売中/A4型204ページ/フルカラー/4000円(税別)/発行:復刊ドットコム 発売:徳間書店

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事