• 「俺も行く」の舞台裏は? 『ウルトラマンブレーザー』SKaRDキャスト&田口清隆座談会
  • 「俺も行く」の舞台裏は? 『ウルトラマンブレーザー』SKaRDキャスト&田口清隆座談会
2024.02.22

「俺も行く」の舞台裏は? 『ウルトラマンブレーザー』SKaRDキャスト&田口清隆座談会

(左から)梶原颯さん、伊藤祐輝さん、田口清隆さん、蕨野友也さん、搗宮姫奈さん、内藤好美さん 撮影/真下裕(Studio WINDS)

今年1月に完結した『ウルトラマンブレーザー』の劇場映画『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』が、いよいよ2月23日(金・祝)に全国の映画館で上映される。

映画の公開を記念して、特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」のメンバーを演じる蕨野友也さん(ヒルマ ゲント役)、搗宮姫奈さん(アオベ エミ役)、内藤好美さん(ミナミ アンリ役)、梶原颯さん(バンドウ ヤスノブ役)、伊藤祐輝さん(ナグラ テルアキ役)、TVシリーズのメイン監督・シリーズ構成、劇場映画監督の田口清隆さんの座談会をお届け。TVシリーズ最終話や映画の撮影裏話、作品への想いを伺った。

>>>「SKaRD」のメンバーと田口監督の撮り下ろし写真を見る(写真14点)

◆ブレーザー光線が左手から撃たれる理由◆

――最終回で登場したブレーザー光線は、息子のジュンから贈られたブレスレットと結婚指輪が光を宿し、ウルトラマンでおなじみの十字光線を放つ……という流れが非常に感動的でした。これはシリーズ当初から考えられていたのでしょうか?

田口 普段は光線の槍(スパイラルバレード)を投げて、最終回の最後の最後にクロスビームを撃つ。そこにカタルシスを持っていくというのは、最初から決めていました。普通のウルトラマンとは逆に、左手から光線を出すことになった最大の理由は、蕨野さんが左利きだからなんです。特殊部隊は、個人個人が装備を効率よく運用して良いらしく、左利きなことに合わせて銃の持ち方とか、全部逆にしていたんですよね。そして、話を作っていくうちにブレスレットが出てきた。あれは初めから設定したものではなく、越(知靖)監督の回の脚本で登場したものだったんです。ジュンからもらった以上、また出てこないとおかしいし、結婚指輪も当然左指に嵌めている。家族に関わるものが全部左手に集約されている。ならばそこからエネルギーをもらって光線を撃つほうがいいだろうと、左撃ちになったんです。

蕨野 左から撃った瞬間、「なんで左なの?」って思った?(周りを見回しながら)

梶原 ……思いました。

一同 (笑)

蕨野 ちょっとヤス。ちゃんと観た(笑)?

田口 やっぱりスペシウム光線が一番好きだし、当初はブレーザーも右で、と思っていたんだけど。

蕨野 でも、左手で撃つことに意味を持たせてくれた。ブレスレットをつけなかったから、妻(サトコ)にちゃんとつけてと言われる描写も入っていましたし。アクセサリーひとつに物語を背負わせているから、田口さんが最後、良いように使ってくれました。

田口 ゲント隊長がブレスレットを取りに来る描写も入れたりして(第24話)。ストーリーを作っていくうちに「このブレスレット、使わない手はないね」と思ったんですが、おかげでブレーザーならではの光線になりました。



――第25話ではゲントとブレーザーだけでなく、テルアキとエミも活躍していました。テルアキがSKaRDの指揮権をゲントから移譲される場面は、テルアキのシーンの中でも印象的なものだったかと。

伊藤 あのシーンでよく覚えているのは、ゲント隊長の「You have control.」という言葉ですね。僕の前に蕨野さんが「You have control.」と言うところを撮影していて、録音部さんが用意してくださった音源を現場で流すことになっていたんです。でも、蕨野さんは「録音もあるけど、現場で声を出してもいいよ」と言ってくださって。申し訳ないので一度は断ったんですが、考え直して、蕨野さんに改めてお願いしました。

蕨野 撮影の時はお互い背を向け合って、俺が膝をついている状態で。

伊藤 はい、僕の背中越しに言ってくださって。

蕨野 あの状況でテルアキに隊長の職務を渡すのがどういうことか、そうでもしないと表現できないと思った。死と隣り合わせどころか、死が確定しているような中で俺たちSKaRDが突っ込むって状況だったから。だから俺も、みんなの命を預かっている以上、このセリフは言いづらいって田口さんとも話をして。結局言うことになったけど、自分の複雑な想いを全部乗せて、テルアキに任せた。

伊藤 本番で「You have control.」と聞いた時は、気持ちが一気に切り替わりました。作戦が上手くいくかどうか、この先どうなるんだろうという気持ちから、ゲント隊長がおっしゃった「全員無事に帰還せよ」という命令のみに集中しました。アンリとヤスノブの最強コンビがアースガロンで立ち向かい、エミも中央指揮所で自分のなすべきことをしている。そして、全てを乗り越えて僕らはまた会えるということを信じ切る。「I have control.」で全指揮権を握ったあと、モッピーで通信するシーンは、僕自身もそういう心持ちでいました。

――エミがドバシと対峙する場面は、ベテランの俳優陣に囲まれての緊張感のあるシーンでしたが。

搗宮 田口監督から結構前から「最後はエミにかかっている」と言っていただいていて、あの日はビクビクしつつ(笑)、覚悟を決めて現場に臨んでいました。副隊長(伊藤さん)も言っていたように、みんなそれぞれやるべきことがあって、私は地上でみんなを守る役割があった。ずっとあのシーンのことを考え続けて、当日は「私が『ウルトラマンブレーザー』を全部背負っているんだ」くらいの気持ちで挑めましたね。現場では田口監督から真っ直ぐな視線をもらい、頑張れた気がしました……恥ずかしい(笑)。

田口 (ドバシ ユウ役の)寺田農さん、(ハルノ レツ役の) 加藤雅也さん、(源川稔役の) 川野太郎さんと、大先輩達を相手に、最初の(全員で通して芝居を作る)段取りでいきなり結構な長ゼリフだったんです。だから「段取りが一番肝心だからな。噛んだりしたら台無しになってしまう。気合を入れていけ!」と(笑)。「それさえ乗り越えればあとはカット割りで細かく切っていくから、とにかく最初の段取りで芝居をキッチリ決めてくれ」と話して、エミ(搗宮さん)は見事やり切ったんです。お三方が「すごいな」と言ってくれていました。

搗宮 そうでしたね!

田口 二人で「良かった」とガッツポーズしました(笑)。「これで最終回はイケる!」と感じた思い出がありますね。



(C)円谷プロ (C)ウルトラマンブレーザー特別編製作委員会

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事