• 『ハリケンジャー』&『アバレンジャー』Wレッドが実感した「責任と奇跡」
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2023.08.31

『ハリケンジャー』&『アバレンジャー』Wレッドが実感した「責任と奇跡」

(右から)ハリケンレッド/椎名鷹介役・塩谷瞬さん、アバレッド/伯亜凌駕役・西興一朗さん 撮影/大山雅夫 (C)2023 東映ビデオ・バンダイ・東映AG・東映 (C)東映

現在公開中の『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th Anniversary』ハリケンレッド/椎名鷹介役・塩谷瞬さん、そして20年ぶりに声優陣を含めたオリジナルキャストが再集結した『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』アバレッド/伯亜凌駕役・西興一朗さんのWレッド対談が実現。
20周年を迎えた心境、新作制作の裏側、そして戦隊のレッドを演じることへの想いをうかがった。

【気苦労が絶えない? 俳優兼プロデューサー】

――『ハリケンジャー』は『忍風戦隊ハリケンジャー 10 YEARS AFTER』以来10年ぶり、『アバレンジャー』はTVシリーズ以来20年ぶりの新作です。

西 僕はこの20年間で演じてきた役、特に後半は8~9割が悪役だったので、「あの爽やかなレッドをできるのか?」という不安がありまして。撮影前に50話全部観返したんですが、昔の自分を見て役作りをするのは初めての経験でした。
でも、いざ現場に入って、とみしょー(富田翔さん)と芝居をすると、普通にレッドに戻れたという。

塩谷 芝居ってそういう見えない力、あるよね。

西 あれは不思議な感覚でしたね。僕らは10周年の時に新作がなかったから、二度と『アバレンジャー』はできないだろうと思っていたので、今回新作を作ることができて、とても光栄でした。
あと、今回の映画はエンドロールにもクレジットされていますが、僕はプロデューサーとしても関わっているんです。プロデューサーをやりながら演じてみてわかったことは……こんなこと二度とやるもんじゃない(笑)。

塩谷 しんどかったんだ(笑)。

西 すごく気を遣う(笑)。キャストに不自由なく演じてもらおうとか、いろいろな視野を持って現場にいつつ、あんな明るい役をずっとやらなきゃいけなくて。

塩谷 『ハリケンジャー』の10周年も、放送が終わった戦隊の新作は史上初のことで大きな壁があったんですが、20周年はさらに難しくて。「他にも意味がないと20周年で新作はできない」と、ずっとプロデューサーから言われていたんです。
そんな状況をひっくり返すために、メンバーがそれぞれ自分の能力を活かして新作のために動いて、やっと希望が見えたその時がコロナ禍の真っ只中でした。

でも難しい状況だからこそ、コロナ禍で苦しい状況にあった京都の撮影所で『ハリケンジャー』を撮って応援したい。俺たちでカッコいい時代劇を作り、スタッフさんやキャストさんが京都撮影所に憧れる流れを生み出したい、という想いで制作しました。
▲『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th Anniversary』

――お二人は『爆竜戦隊アバレンジャーVSハリケンジャー』で共演されていますが、当時の思い出などありますか?

西 僕らはTVシリーズの撮影中に撮ったんですが、ハリケンジャーさんの勢いに圧倒された覚えがあります。スタッフさんの中でも「ハリケンジャーが帰ってきたぜ!」っていうムードがすごくて。

塩谷 スタッフさんとは一年間、濃密な時間を過ごしていたので、その関係値が出ていたのかもしれないですね。僕たちは本編の撮影が終わってもJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)さんの撮影にお手伝いで入り、装備を手伝ったり芝居の相談をして撮影後にみんなでラーメン食べてから、朝まで飲みに行って……みたいなことをずっとやっていたから。

西 作品によって、キャストとスタッフさんとの関わり方が違うんですよね。

塩谷 僕らは比較的、真面目で若いチームだったと思います。アバレンジャーの5人は僕らよりも大人で、すごく自由に楽な雰囲気だけど、結構尖ったことも言ったりするチームという印象を受けました。
そんなアバレンジャーが20周年で新作をやってくれることは、俺たちもすごく嬉しかったです。新しい夢が広がっていった感じがして。

西 何か夢があるよね。20年後に2つの戦隊が、20周年の映画を作れるなんて。すごく素敵なことだと思います。

(C)2023 東映ビデオ・バンダイ・東映AG・東映 (C)東映

【巡り巡って強くなる戦隊の力】

――久々の戦隊の現場で当時と変わったこと、変わっていないと感じたことはありますか?

西 変わったという意味では、CGが凄まじいクオリティになっているなと感じました。先生(塩谷さん)はどうですか?

塩谷 現場は進化してますよね、新しい技術に、感覚も研ぎ澄まされてる。
変わらないことは西くんがさっき話していたように、現場に行くと役作りが必要ないくらい、自然と役に戻れるのは戦隊らしいなって。

西 長澤さんや山本くんがいるから、っていうのもあるでしょ。周りのみんながいると、すぐハリケンレッドに戻れる。

塩谷 そう。それに俺たちは、監督も当時のままだから。

西 渡辺(勝也)さんだったからね。

塩谷 監督やプロデューサーさんが、現場の雰囲気を作ってくれるんですよね。今回はスタッフさんの半分以上は京都撮影所の方で、見える景色も違うのに変わらず温かい空間で。だから安心して撮影できましたし、ゴウライジャーの二人なんかは夏休みの虫取り少年みたいな感じで、「遊びに来た?」と思うくらい(笑)。

西 20周年はお祭り感があったよね。

塩谷 いい歳とった大人の俺たちが、全力で子どもたちにヒーローを見せられるのが嬉しくて。20年前は楽しめたところと必死だったところがあったけど、今は真剣さもありつつ、楽しんで演じられるのが本当に幸せだなって感じられた。

西 力が入りすぎないというか、落ち着いて演じられたのはあるだろうね。

――20年の時間が、演じる心持ちにも表れたんですね。

西 塩谷先生も僕もずっと役者を続けているから、芝居に余裕が生まれたところもあるんじゃないですかね。一生懸命なところは、変わらず一生懸命だけど。

塩谷 そうかも、全員が全力。特にアクションシーンは、少ない時間の中で何を見せられるのか一生懸命考えました。
『ハリケンジャー』当時も参加していた竹田(道弘)さんが、今回もアクション監督として来てくれたんです。竹田さんは江戸っ子で昔ながらの人なので言葉であまり伝えないのですが、台本を文字で書きつぶすくらい考えていいて、とても愛情深い方なんです。
初めて竹田さんと一緒に仕事をする京都のスタッフさんも居るなかで、僕らが間に立ってサポートしたんです。最終的には全員が結束して、クオリティの高いアクションシーンを撮ることができて感動しました。

西 『ハリケンジャー』良かったよね。京都という場所を上手く使っているなって。
▲『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th Anniversary』

塩谷 めちゃくちゃお金がかけられたわけじゃないんだけど、あるものの魅力を最大限活かした映像ができたと思う。

西 その努力はすごく感じた。さすが先生! 忍者というモチーフとも合っているし、なんで20年前にやらなかったんだろうって思うくらい。

塩谷 当時から京都で撮影したいとか、気になったことをスタッフさんにいろいろ言っていたんだよね。10周年の時も「Vシネマじゃなく、映画として上映してほしい」って頼んだんだけど実現しなくて。でも、俺らの後の戦隊が劇場で流して、今回は上映の規模も広がった。予算も『10 YEARS AFTER』の時は少なかったけどリクープできて、次の戦隊からはもっと予算をかけられるようになったんです。

『10 YEARS AFTER』は俺たちから始まったけれど、前にできなかったことが、回り回って今回できるようになって。ほかの戦隊の方たちが繋いでくれて、大きな力になっていることに感謝しかないです。

西 戦隊って常に進化しているんだよね、多分。その年の戦隊の子たちが新しいことをやりたいって言ったら、それが次にも伝わる。面白いですよね、そういうのって。いい繋がり方をしていると思います。
▲『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』

(C)2023 東映ビデオ・バンダイ・東映AG・東映 (C)東映

【熱さのハリケン、自由のアバレン】

――塩谷さんは『ハリケンジャー』、西さんは『アバレンジャー』のほかの戦隊に負けないポイントを挙げるとしたらどこでしょうか?

西 今回の映画をご覧いただいたら伝わると思うんですが、『アバレンジャー』はコメディもシリアスもできる、遊べる戦隊なんです。何をやっても「アバレてるね!」で済む(笑)。そこはどの戦隊にも負けないというか、自由度は半端ないと思いますよ。

塩谷 そういう意味だと僕らは正反対で、新しいスタイルだけど、0から100まで真っ直ぐに駆け上がった熱さや真摯さを持つ、忍者らしい古風な戦隊だと思います。

西 超王道! 王道戦隊らしいカッコよさがあって、どの戦隊の人たちよりもフレッシュ。リアルなフレッシュさと熱さは負けないんじゃないですか、『ハリケンジャー』は。

塩谷 こんなに他のレッドから褒められることって、初めてじゃないかな(笑)。嬉しいね。

西 先生の想いをかみ砕いて言っただけですよ。

塩谷 ありがとうございます。みんなに伝えようと思って長く、複雑に喋っちゃうところがあるから(笑)。

――ある意味、そこも熱さが表れている部分かもしれません。

塩谷 長澤奈央も山本康平も僕と同じで、ちゃんと全部言わなきゃと考えるタイプなんです。だからこそ、衝突することもあったし。

西 真面目同士だと、ぶつかるよね。

塩谷 本当にめちゃくちゃぶつかって、いろいろ悩んだ時もあって、全員泣きながらやっていたんですよ。それを見たスタッフさんが「飯行くぞ」と声をかけてくれたりして、『ハリケンジャー』は素晴らしい現場だったなって。
戦隊のスタッフさんはみんなが先生みたいで、愛情を持って「こうしなさい」と言ってくれるのが素敵なんです。

――学校みたいな雰囲気の撮影現場なんですね。

塩谷 こんな学校ないですよ。一年間真剣に向き合ってくれて。

西 そうだよね。

塩谷 TVだけでなく映画や舞台、CMもやらせてもらえるし、俳優やタレントに必要な要素を全て勉強させてもらえるのは、他にないと思う。戦隊は俳優にとってめちゃくちゃいい現場だよ、って言ってあげたいですね。

――そんな戦隊のレッドを演じたことについて、ご自身の中でどのように捉えていますか?

西 当時は何のプレッシャーもなかったんですよね。僕は今までのレッドと全く違う、常に敬語を使うレッドだったから。プレッシャーは感じずに、真剣に役に向き合えばいいと考えていたんです。むしろ、今回演じる時に戦隊のレッドとしての責任があるぞと感じました。
それに、20年間の成長も見せないといけなかった。「伯亜凌駕はどういう生き方をしてきたんだ」とか「性格はそこまで変えないほうがいいだろう」とか考えたりして。
▲『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』

塩谷 作品を観ていて、責任を背負っていることが20年前よりもしっかり感じられた。自分のすべきことを考えている、真のヒーローに見えたというか……ブルーやイエローといったいろいろなカラーがいる中でも、レッドはやっぱり特別な感じがするんですよね。

西 レッドは戦隊の数しかいないからね。

塩谷 そう。「俺たちは伝説の後継者なんだぜ!」って鷹介のセリフがあるんですが、スーパー戦隊という伝説の後継者のリーダーとして立ち振る舞うのは、大きなプレッシャーであり喜びなんです。

それに恥じることなく生きていき、新しい火をくべるような行動をするのが、自分たちの人生のテーマであり幸せなのかなって。役者として今まで100作くらい出ていますが、デビュー作で戦隊のレッドを演じたことはやはり特別感があります。

西 戦隊のレッドをやらせていただけたっていうのは奇跡ですよね、後にも先にも、こういう役はやれないから。だから、20年経って変身するのはすごく不思議な気持ちになりました。

――最後に作品を応援する皆さんにメッセージをお願いします。

西 2作品とも全然違う世界観ですが、両方とも戦隊作品としても最高だし、普通に観ても面白い作品に仕上がっていると、自信を持ってオススメできます。ぜひ劇場まで足を運んでください。

塩谷 作品は観てもらうことで成長するので、多くの人にご覧になってほしいです。初めて『ハリケン』や『アバレ』を観た人にも、「こんな作品あるんだ!」と興味を持ってもらえる映画になっています。観た方はぜひ友達や家族とかみんなに広めてください! シュシュッとアバレるぜ!!!

西 アバレますよ!

>>>塩谷瞬&撮りおろしカット、ハリケンジャー20th&アバレンジャー20thの作品場面カットを見る(写真15点)

塩谷瞬&西興一朗 撮影/大山雅夫

(C)2023 東映ビデオ・バンダイ・東映AG・東映 (C)東映

アニメージュプラス編集部

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