• 『マハラージャン』が奏でる極上の日比谷野音ライブ・レポート!
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2023.06.08

『マハラージャン』が奏でる極上の日比谷野音ライブ・レポート!

全32曲を熱唱するマハラージャン!

マハラージャンのワンマンライブ『日比谷大宴会~外~』が5月27日に東京・日比谷公園大音楽堂で開催された。

「乾杯~!」。五月晴れの野音に響き渡った宴の合図。27日、東京・日比谷公園大音楽堂で開催されたマハラージャンのワンマンライブ『日比谷大宴会~外~』には、お好みのドリンクを片手に多くの観客が詰めかけ、心地良い風と共にマハラージャンが奏でる極上のダンスチューンチューンに酔いしれた。

「コロナ禍にデビューした私マハラージャンですが、最初は下北沢などのライブハウスに数十人だったのが、野音でやれているのは皆さんのおかげです! 今日は全曲やります。ガンガンやるのでしっかりついて来てください!」

インディーズ活動を経て2021年にEP『セーラ☆ムン太郎』でメジャーデビューしたマハラージャン。ダンスビートを多用したノリのいいバンドサウンド、シニカルさとユーモアを持ち合わせた歌詞、耳に残る中毒性の高いメロディ、そしてこだわりとユーモア溢れるジャケット写真やミュージックビデオなどのアートワーク。クセになるセンスが注目を集め、2月には自身初のアニメタイアップであるアニメ『トモちゃんは女の子』オープニングテーマ「くらえ!テレパシー」をリリースし、その名を全国に知らしめた。これまでに手がけた楽曲は、新曲「蟬ダンスフロア」を含めて全32曲。マハラージャンの全てが凝縮されたライブに、集まったファンの興奮も止まらなかった。
▲見える人には見える31曲の妖精たち、新曲「蟬ダンスフロア」の妖精は土の中?

まずはAORやフュージョンを取り入れた爽やかなサウンドの「貞☆子」を繰り出し、サビで手を左右に揺らして早くも会場が一体に。間髪入れず疾走感溢れる「僕のスピな人」、うなりをあげるようなベースラインが印象的な「示談」、そして〈今宵も宴に繰り出しますか〉と出て来る歌詞がまさにこの日にぴったりな「地獄Part2」と、自慢のダンスチューンを次々と畳みかけた。

「せっかく天気がいいんだから、一緒に踊りませんか!」と、マハラージャン。時にはマイケル・ジャクソン、時にはジェームス・ブラウン、日本ならフジファブリックやフレデリックといったバンド、はたまた電気グルーヴなど。時代やジャンルを縦横無尽に飛び越えながら、多彩なダンスサウンドを聴かせた。

グルービーなリズムの「次いくよ」。ムーディーなR&Bサウンドの「ねぇ、ねぶって」はラップ調のメロディで、歌詞に〈日比谷野音〉を入れて叫ぶ。ファンキーなビートの「権力ちょうだい」は、ロングトーンのボーカルやシャウトを聴かせ、熱いバンドセッションから始まった「いうぞ」は、四つ打ちビートのテクノサウンドとバンドサウンドの融合で会場をカオスな世界にたたき込む。

曲と曲の繫ぎMCも実にテクニカルで、そこにもマハラージャンのセンスが詰まっていた。「ライブで1回もやったことのない曲があって、みんなからどう思われているか気になって……」というMCの後に「自意識過剰」という曲を演奏したり、「変な曲ばかりやっていますけど。そういう曲があってもいいじゃないか」というMCに続けて歌ったのが「よそはよそ」という曲だったり。「やっとライブで声出しができるようになって、さらに昨今の情勢から声をあげないといけない時もある。声を出すことってすごく大事だと思っています」というトークから続けて「僕のムンクが叫ばない」を演奏。楽曲に対する気持ちを語っているようで、しっかり曲名がオチになっていて、そのことに気づくたびに“アハ体験”のような高揚感が体に溢れた。

中盤、「何の時間」、「いいことがしたい」など4曲を一気にメドレーでお届けした後は、アコースティック編成によるひと味違った演奏で会場を沸かせた。峯岸みなみが出演したMVも話題を集めた「君の歯ブラシ」は、マハラージャンによるギターの弾き語りで披露。昨年リリースのアルバム『正気じゃいられない』のラストに収録された「遠回り」は、カホンなどアコースティック楽器を加えて演奏し、心地よいサウンドと歌声に、観客も着席して楽曲が生み出す世界に酔いしれた。途中、普通は滅多に切れることのない3弦が切れるというハプニングもあったが、「厄を全部持っていってくれた」と笑い、意外な信心深さも見せた。

100周年という記念すべき年を迎えた日比谷野音でライブができていることに触れたMCでは、「野音100年の歴史の中には、キャロルの解散コンサート、キャンディーズの解散発表などもあって。解散した話ばかりだけど、僕は解散しません!」とコメントし、「野音100年の歴史に自分の名を刻むことができた」と、喜びを爆発させていた。

ブラスが豪快に鳴り響くスリリングなサウンドの「正気じゃいられない」に始まった本編クライマックスは、〈ジェッジェッジェッ〉というコーラスや〈持ってる〉という歌詞を会場全体で歌った「持たざる者」、マハラージャン初のアニソン「くらえ!テレパシー」やメジャーデビュー曲「セーラ☆ムン太郎」といった人気曲を立て続けに演奏。そして、アンコールに最新曲「蟬ダンスフロア」を初披露。

「コロナ禍にできた曲も多くて、そこにはみんなの気持ちも乗っかっててくれたら嬉しい。みんなコロナ禍、お疲れ様。まだいろいろあるけど、一緒に頑張ろう」。

観客のクラップが会場に響き渡った「くらえ!テレパシー」では、熱く激しい演奏も聴かせ、ギターソロやあっと言わせる展開に、客席からは大歓声と拍手が沸き起こった。「一生に二度は無いであろうこの日に立ち会ってくれてありがとうございます。これからもいい曲を書きます!」と、決意表明でライブを締めくくったマハラージャン。頭に巻いたターバンの中に隠した一筋縄ではいかないセンスで、次はどんな曲を生み出してくれるのか。この日のライブステージは、明日への試金石となっただろう。

ライター:榑林史章、編集:アニメージュプラス

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