• 『そふび道』NEWS■レインボー造型企画の「仮面怪人シリーズ」コンプリート記念プロデューサー・前澤護氏インタビュー!
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2022.12.30

『そふび道』NEWS■レインボー造型企画の「仮面怪人シリーズ」コンプリート記念プロデューサー・前澤護氏インタビュー!

(C)石森プロ・東映

2022年11月受注分で、丸12年続いたレインボー造型企画が贈る「仮面怪人シリーズ」がついにコンプリートした! 
この企画は『秘密戦隊ゴレンジャー』に登場した敵「黒十字軍」の「仮面怪人」たちをコンプリートでソフビ化するという壮大な計画! 全84話のエピソードに登場した「仮面怪人」はもちろん戦闘員「ゾルダー」「黒十字総統」に加え、「死神博士」「ブラックシャドウ」などの敵のマイナーキャラに「ゴレンジャー」の5人もソフビ化する充実ぶりだった! それだけにコンプリートを迎えたことは感慨深い! 

ここで改めてレインボー造型企画について紹介。本業は東映制作の『スーパー戦隊シリーズ』などでヒーローのマスクや怪人のスーツなどを長年担当する造型会社。それだけに東映とのパイプが強く、東映制作のヒーローキャラなどを手掛けやすい部分もある。
そんなレインボー造型企画が2001年に突然、ソフビシリーズ[超人怪人工房]をスタート。当初、シリーズ名の通り、ヒーローと怪人を1体づつラインナップし「ワンフェス」などイベントメインで展開。だが徐々に東映とレインボー造型企画、それぞれの限定バージョンを販売するようになり、リリース数を増やしていく。そんな中、怪人として『超人バロム・1』登場の敵「ドルゲ魔人」から人体をモチーフにデザインされた、エクストリーム感満載な「人体魔人」を発売。それが評判となり2007年から「ドルゲ魔人コンプリート計画」が本格スタートするのだ! そして2010年の完結をむかえて、新たに次のコンプリート目標として発表されたのが、この「仮面怪人シリーズ」だったのだ! 

レインボー造型企画の[超人怪人工房]として丸21年、そのうち半分以上となる12年間をかけて「仮面怪人シリーズ」は完結したのだ! まさにソフビ界の一大事件と言えそうな今回のコンプリートについて、シリーズの総合プロデューサーである前澤護氏を直撃! 改めて「仮面怪人シリーズ」はもちろん[超人怪人工房]のスタートや、気になる今後についてざっくばらんにお話しいただいた! ぜひレインボー造型企画が歩んできたソフビ道を感じてほしい!

>>>コンプリートした仮面怪人シリーズや[超人怪人工房]の代表作品などを見る(写真11点)

▲レインボー造型企画・前澤護氏。「仮面怪人シリーズ」はもちろん、ほか全ての[超人怪人工房]を企画してきたプロデューサー。

◆1.「仮面怪人シリーズ」完結について◆

ーー「仮面怪人シリーズ」もついに2022年11月受注の「アカレンジャー」と「黄金仮面」で完結しました。まず率直な感想から聞かせて下さい。

前澤 おかげさまで「アカレンジャー」はシリーズ史上、最強クラスで受注数をいただきました。今回は「ミドレンジャー」「モモレンジャー」「キレンジャー」「アオレンジャー」と順番に受注しましたけど、「ゴレンジャー」で「『アカレンジャー』だけは買う!」と思うファンが多くいらっしゃったみたいですね。

ーー「ゴレンジャー」=「アカレンジャー」なんですね! それにしても「仮面怪人シリーズ」は2011年2月スタートですから12年ですね!

前澤 本当に12年……延々と作り続けてきました。確かスタートから8年目ぐらいの2018年に最後まで発売予定のリストを初めて製作して、残りの「仮面怪人」のリリース順を真剣に考えたんですよね。その結果、2019年に「死神博士」や「ブラックシャドウ」などのマニアックなキャラクターのラインナップが決まって……それに劇場版登場の「鋼鉄剣竜」も東映さんに確認したら製作出来ることが分かってラインナップしたんです。

ーーシリーズって長く続けば続くほど中だるみしがちだと思うんですが……「仮面怪人」は本当に12年もよく継続したと思います。

前澤 確かに長いと中だるみするのは、どこのメーカーさんにもありますよね。お付き合いのあるメーカーさんとのお話する機会も多いのですが「ここまでやっているメーカーはほかにないですよ!」って実際に言われました。

ーー「仮面怪人シリーズ」スタート時に「コンプリートする!」と宣言されてました。それ以前に展開した『超人バロム・1』の「ドルゲ魔人」もコンプリートした実績があるので疑いはしませんでしたが……実際にシリーズが完結したと思うと感慨深いです。この気分は、全部購入したファンはもちろん、1体でも買ったファンとも共有したいと思います。

前澤 やっちゃいましたね。全部、買ったていただいたコアな方は、もちろんいらっしゃいますよ。本当にこのシリーズは苦労の連続でした。

ーー振り返ってみて思い出すご苦労ってなんでしょうか? 

前澤 最初は、ソフビにしやすい形状の「仮面怪人」から選んで8体を発売しました。それが意外とウケたから徐々に「がんばろう!」ということになるんですね。

ーーそれは当初「もしダメだったらコンプリートはやめよう」という可能性もあったということですか?

前澤 はい。ダメならやめる選択もありました。ただ「できる限りで発売出来るなら続けたい」というぐらいな感じだったんです。

ーーコンプリートを意識したのはどの辺からだったんでしょうか?

前澤 先ほど言ったリストを作った2018年ですね。エピソードの最初に登場した「黄金仮面」「青銅仮面」「武者仮面」「ヒスイ仮面」「毒ガス仮面」の発売は最後にしようというのは、そこで思いつきました。またその時、全部「仮面怪人」だと中途半端とも感じたので、一緒に「ゴレンジャー」も加えようと考えましたね。エピソードの最初に登場した「仮面怪人」たちは、それぞれ「ゴレンジャー」と因縁がありますから。毎年2月に発売しスタートし、2体づつ5月、8月、そして11月で終了というサイクルで全部で96体を発売しました。

ーー全部で96体ですか? 

前澤 そうです。12年間で毎年8体ずつだから12×8で96です。

ーー『秘密戦隊ゴレンジャー』が全84話だから完全に全エピソード分ですね。

前澤 また以前の「ドルゲ魔人」はイベントなどで限定版を発売していますが「仮面怪人」でそれをやると、数も多くて収集がつかなくなるので、1度だけ「ワンフェス」限定版で「軍艦仮面」「歯車仮面」を発売しましたが、その後は一切やめましたね。一瞬「野球仮面」の頭をテニスボールで……とも考えましたが「違う……」と感じたのでやめておこうと。完全に「仮面怪人」の通常版だけでリリース展開しながら、2016年に「黒十字総統」、その後、幹部の「ゴールデン仮面大将軍」や「鉄人仮面テムジン将軍」を加えて、そして「ゴレンジャー」関係のスチール写真でよく見る「野球仮面」「牛靴仮面」「機関車仮面」などの人気怪人たちを発売した2019年に繋がる。またここでマニアックな「死神博士」たちも、上手く加えることができました。本当に人気怪人を最初に出さず、後にとっておいて良かった(笑)。シリーズを振り返ると、2019年のラインナップは本当に“きも”でした。この年の「ワンフェス」で多くのファンに「人気怪人の発売を待ってました!」と声をかけてもらったことを思い出します。

ーー2018年にリストを作って今後のスケジュールが決まりましたが、そこから完結までさらに3年です。決して短くはない年月ですよね。

前澤 よく気力が持ったと思います。その時は、とりあえず作り続けて、あとから考えようみたいな感じでしたから。「仮面怪人」を12年間続けてきたので、例えば「買いそびれたので再販して欲しい」って言われても「もう作らないです」って感じです(笑)。

ーーいま「仮面怪人」を振り返って思い出すことはなんですか?

前澤 2020年からのラインナップが怖かったです。ここから形状的に難しくて「作れるのか?」という「仮面怪人」たちがいよいよ登場してきたからです。今でも思い出すのは「注射仮面」……全身から飛び出す針をプラ棒で再現してるんですが、発送で「折れている!」というクレームが多かったんです。成型で苦労したことはありましたが「注射仮面」ほどではなかったですね。あと思い出すのは、成型に関して「これだと抜けない」など改めて勉強になったことです。今でも改心の出来だったのが「スケート仮面」でしたね。頭部のスケート靴のブレード部分が全部、ソフビ成型なんですよね。

ーー確か「スケート仮面」発売時のインタビューで、コンセプトは「できるだけソフビで再現する!」でしたよね。

前澤 そうです。「仮面怪人」それぞれの仮面は、キャラクター名のままのわかりやすいデザインだから、そこの部分は可能な限りソフビで再現したいというのはありました。ただ最後の最後で「武者仮面」のカブトの角が成型出来なくて、キャスト抜きパーツで対応したんです。カブトと角を一体で造形することも検討しましたが、それだとカッコ悪かったんですね。ほか「仮面怪人」は、がんばって全部ソフビ成型しましたが……「武者仮面」だけは、どうにもならなかったですね。そういえば最後の「黄金仮面」も大変でした。この怪人は大きなマントを羽織っていますが、このマントを含めて造形で再現するか? それともドールのようにマントを羽織らせるか? 最後まで悩みました。結局、造形はカッコ悪かったのでマントを巻く形に落ち着いたんです。

ーーほかの「仮面怪人」は通常のビニールマントで「黄金仮面」のようなマントはありませんでしたね。

前澤 「黄金仮面」は完全にマントで全身を巻いてて、死神のような大カマを持っているキャラクターなんです。いま発送の準備段階ですが、マントの型紙を作って切り張りして着せてやるしかない。それが少しめんど臭いですね。

ーーまさに手作業! 作り物の工房であるレインボー造型企画さんならではですね。このシリーズは、付属の得物もキャスト抜きして量産されて、それぞれの「仮面怪人」のマントも業者さんへの発注ではなく、スタッフの皆さんでハンズなどの量販店で購入したビニールシートから切り出されていたんですよね。

前澤 そうです。ただしそれは最初のころで、だんだん量が多い……ということから専門業者を探してお願いするんです。ちょうど2017年の「ストーブ仮面」ぐらいからだったと思います(笑)。あとマントが大変で思い出しましたが「イカリ仮面」も大変でした! 投網を羽織っているので、それを再現するため線がは印刷されている透明ビニールシートをみつけて、それで対応したんですよ。ほんとこのリストを見ると12年間で色々やってきたことを思い出します。

ーーあと定価が、この12年間ずっと据え置きでしたね。

前澤 近年素材が高くなってきたことは実感しましたが、シリーズは採算度外視でしたね。でも最後の「ゴレンジャー」たちで相当数、注文が来ると想像していたので全体で損をしなければいいと考えていました。結局、思惑通りだったのでよかったです。スタートした翌年2012年に「日輪仮面」を受注した時、はっきり数字に現れたので、先ほども言いましたが、その後、通常の「仮面怪人」たちの中に、要所要所で「黒十字総統」や幹部たちを入れて、そこで取り返す感じでしたね。

ーー改めてシリーズを振り返るとコンプリートした凄さを感じます。

前澤 これで「ゴレンジャー」に対して、著名なメーカーさんも敷居が低くなるのでは? と感じています。レインボー造型企画で「ドルゲ魔人」を発売した後、ほかのメーカーさんからも発売されましたし、私がいうのもなんですがレインボー造型企画のこのシリーズは、結構ホビー界にとってエポックだったと思うんですよ。

▲「ワンフェス」のレインボー造型企画ブース。ここ数年恒例になっていた「仮面怪人シリーズ」勢揃い。上の写真左下に会心の作という「スケート仮面」が! またそこに「死神博士」「ブラックシャドウ」などのキャラたちも!? また1番大変だったという「注射仮面」は下の写真、上から2段目の真ん中に!

▲2018年に製作したというリリースリスト。各「仮面怪人」の左側には登場エピソード数も書かれている。

▲上が「ゴレンジャー」たち。下が最後の最後で製作が大変だったという「武者仮面」と「黄金仮面」。

(C)石森プロ・東映

アニメージュプラス編集部

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