10月3日より放送されたミナモトカズキ原作の『壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている』(通称:『壁こじ』)と、10月8日より放送された平尾アウリ原作の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(通称:『推し武道』)、同時期に実写ドラマ化された両作の原作漫画は『COMICリュウ』で連載している。原作者同士の交流はないようだが、お互いの作品を読み、ドラマも楽しみに観ているという。それならば会ってお話していただきましょう!
ということで初顔合わせのお二人に、ドラマの撮影現場から、お互いに聞きたかったことまでたっぷり伺いました! 平尾先生はアニメージュプラスで何度もお話をうかがっているが、ミナモト先生は初登場! >>>ドラマ『推し武道』『壁こじ』の場面カットを見る(写真17点)◆ミナモト先生はドラマに出演したかった!◆――以前平尾先生は、実写化は漫画家としての最終目標だったのでうれしい、とおっしゃっていましたが、ミナモト先生は実写化のお話を聞いたときはどういう印象でしたか。ミナモト 『壁こじ』という作品に関しては、実写化なんて夢にも思っていませんでした。アイドルと作家の作品の実写なんて絶対大変だと思うんです。なので全然信じていなかったです。打ち合わせで制作側の方から2時間くらい質問を受けても全然信じてなくて。「さすがにやらないならこんなに質問しないですよー!」って真剣に言われたので、そこでちゃんと信じました(笑)。実感してからはずっと夢の中にいるようでした。
――実際に出来上がった映像をご覧になっていかがでしたか。ミナモト 監督さんが、漫画と実写の間みたいな映像を目指したとお聞きしていたので。それが本当に新しくて。最初は一応原作者という立場でいないといけないと思っていましたが、予告が出たあたりからは原作者ということはどっか吹っ飛んじゃいました。本当にいち視聴者として、すごく楽しく見ていた感覚が大きくて。もういちファンですっていう感じです。
――面白い感覚ですね。ミナモト そうですね。映像を見るとすごく忠実に作ってくださっているんですけれど、悪い意味じゃなく、別物って思えちゃうくらい楽しんでいる自分がいたので。とっても幸せなパターンだったんだろうなと思っています。
――平尾先生はそういう感覚はあったりしますか。平尾 私は未だに信じていないので(笑)。
――!? 放送も始まっているし、現場も行かれていますよね(笑)。平尾 そうですね(笑)。
――ミナモト先生は撮影現場ご覧になりましたか。ミナモト はい。現場は何度か伺わせていただきました。いまだに信じていない平尾さんの前で言うのは心苦しいんですが、さすがに現場に行ったら信じられました(笑)。
平尾 (笑)
――現場ではたくさんのスタッフがいますからね。ミナモト やるんだろうなって思えました。
平尾 そうですよね(笑)。
――実写作品にはどういう感じで関わられたのでしょうか。2時間くらい質問されたとお話がありましたが。ミナモト 『壁こじ』で特殊なのが、同人誌がとにかくたくさん出てくるんです。その同人誌の表紙を実際一部自分が描かせていただきました。そんな関わり方はもしかしたら普通の実写作品よりも原作者がたくさん関わっているのかもしれないですね。
平尾 エキストラで出演されていらっしゃいますよね…?
ミナモト はい。ちょこっとだけ出演させていただきました。第1話のコミックキングダムのシーンで、髭フランボワーズ先生というキャラがいるんですが、その先生が猫屋敷君にすごい塩対応をされて、「悔しい!」って言って机にバーンと飛び跳ねていくシーンで、自分の机に飛んで来ちゃってすっごく驚いちゃって、というシーンに出ています。変にいっぱい参加しています。
――ドラマの撮影現場はご覧になっていかがでしたか。ミナモト 正直現場ってすごく怖いところだと思っていたので、あまりにも温かくて逆に緊張したんですよ。いっそのこと怖いところだったら、ひたすら黙っていればいいと思ったのですが、キャストさんや監督さんがよく話しかけてくれたので、むしろ緊張しちゃいました。それくらいすごく温かい現場でしたね。
――平尾先生は現場に行ってどうでしたか。平尾 ライブシーンの撮影に二日間行かせていただいたのですが、ライブハウスなので思っていたより狭い空間ということもあって、目の前の配線に引っかかって抜いてしまったら全部……とか勝手に考えたりして、すごく緊張していました。
――(笑)。ピリピリした感じではなく、和やかな感じだったのでしょうか。平尾 そうですね。和やかな楽しい現場でした。
ミナモト 良かったですよね、お互い運がいいパターンで。
――原作者の先生が来ると聞いたら、現場の方たちが緊張すると思います。ミナモト 皆さんにしてみたら、「誰?」って感じですよね。
平尾 自然に振舞おうとは思ったんですけれどね。
ミナモト ちょっとわかります。あまり変に目立たないようにはって思いますよね。
平尾 漫画家だから撮影現場なんて初めてだし、挙動不審になってすぐバレてしまいました。
ミナモト (笑)。でもホッとしました、話が聞けて。挙動不審になっちゃいますよね。特別な場所すぎて。
――ミナモト先生が出演することは事前に決まっていたんですか。ミナモト コミックキングダムのシーンに関しては自分から出たいって言いました(笑)。コミックキングダムのシーンでエキストラを募集するってお聞きしたので、それだったら自分の実写の世界に入れるチャンスなんて一生ないなって思っちゃったので、自分からお願いしました(笑)。平尾先生はライブシーンにいたりしないんですか。
平尾 いないです(笑)。
――出たかったんですね。ミナモト 思い出が欲しくて。
――自分が作った世界に入るってすごいことですね。ミナモト すごい感覚ですよね。ライブを見られるのもそうだと思いますが。
(C)平尾アウリ・徳間書店/「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC