• BLUE ENCOUNTが奏でる『コードギアス』、そして【次】への決断!
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2022.11.11

BLUE ENCOUNTが奏でる『コードギアス』、そして【次】への決断!

『BLUE ENCOUNT』左から田邊駿一(Vo・G)、江口雄也(G)、高村佳秀(Dr)、辻村勇太(B)

『銀魂』、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』、『僕のヒーローアカデミア』といった、アニメの主人公たちにとっての主題歌を歌うBLUE ENCOUNT(ブルー・エンカウント)、通称ブルエン。ベース・辻村勇太が2023年より活動拠点をアメリカに移すことが発表され、11月9日(水)には、『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』エンディングテーマ(以下、ED)『Z.E.R.O.』のCDがリリースされる。これからのブルエンに触れながら、田邊駿一(Vo・G)、江口雄也(G)、高村佳秀(Dr)、辻村勇太(B)に『Z.E.R.O.』の制作話など語ってもらった。

――今回リリースされる『Z.E.R.O.』を含め、いままでアニメのタイアップソングを歌ってみての感想や周りの反響など教えてください。
田邊:BLUE ENCOUNTを結成した高校生の頃から、新曲を作るときは、架空のアニメや映画の話を僕がメンバーに語るんです。主人公のことやストーリーを説明して最後に「エンドロールで流れる曲はこれです。聴いてください!」と、弾き語りで歌いながら楽曲を作ってきました。いまでも誰かにとっての主題歌を意識して作っています。
最初にタイアップした『銀魂』は、学生の頃から読んでいた作品だったので主人公たちのことも良く理解していましたし、オンエア・シーズンで核なるストーリーを自分の中で解釈して作っていきました。その感覚は、いままでの作り方と全く変わらなかったので、BLUE ENCOUNTは、誰かのための主題歌を歌うために生きてる。まさに「次の1曲が未来を作る」という感覚でやっています。
それと反響についてですが、昨今、アニメ文化が世界的に広がってるじゃないですか。知らないところでBLUE ENCOUNTの楽曲も広がっているのを感じますね。知り合いになったアメリカ人が『ヒロアカ』の曲が好きだよとか、『銀魂』のあの曲が好きだよとか言ってくれたり、地元の熊本が大豪雨にみまわれて被災地に行かせていただいたときには、仮設住宅に住んでる子たちが「あのアニメの歌を歌ってるお兄ちゃんだ」と言ってくれたり、まさに全ての人が繋がるカルチャーがアニメで、僕たちは、その歯車のひとつになっているんだと意識しながら責任感をもって楽曲を作っています。

江口:アニメ作品に関わることで、普段アプローチをしているライブのファン層の方々以外からも、SNSやYouTubeを通じでコメントをいただき、海外を含めてアプローチすることができるのは、アニメのおかげだと言っても過言ではないくらい、たくさんのアニメに育ててもらったと言えるので。アニメは貴重なコンテンツだと思います。

辻村:そうですね。アニメタイアップを担当するまではライブハウスで育ってきたので、国民的というか老若男女に向けたライブはどうも想像できなかったのですが、アニメの曲をやらせていただいてから、同世代でも家族で楽しんでくれる人が増えてきて。そういう人たちにも、もっと届けたいという思いや、ライブに対する想像を広げてくれたのも、アニメのおかげだと思ってます。自分たちがやりたいことと、アニメ作品が伝えたいことがリンクしていく快感もありますね。

高村:僕はインターネット上で不特定多数の人とゲームをするんですが、BLUE ENCOUNTという名前を知らなくても、アニメの主題歌を知っていて「あの曲は僕らがやってるんだよ」というと、そこで一気に仲が良くなり会話も弾みます。バンドのことは知らなくてもアニメを通じて、いろいろなところに曲が届いているんだなって実感しています。

――皆さん好きなアニメや漫画はありますか。
田邊:子どもの頃からハマっていたのが『ツルモク独身寮』なんですが。
高村:中学生とかじゃなくて?
田邊:小学生。7つ上の姉が当時18歳で、ちょっと早めに学生結婚しまして。姉の旦那さんが「駿、これ面白いぞ」って11歳の俺に渡してくれたのが『ツルモク独身寮』だったんです。読んでいて意味が分からないこともありましたが、登場人物の描き方が超魅力的で、女性の描き方も秀逸で、最終回に胸がギュッと締めつけられた思いがありました。読み直してみると、あのとき出会ったキュンさを感じるんですよね。子どもの頃に出会ったキュンとする漫画とかアニメとかあるじゃないですか。いまでもキュンとするんだよね。

高村:子どもの頃は『ドラえもん』や『ルパン三世』のTVスペシャルとか『クレヨンしんちゃん』が好きで、『ドラえもん』は毎年映画を観に行ってました。インターネットでアニメを観るようになってからは、『キングダム』や『呪術廻戦』などのバトル系から恋愛系まで、いろいろな作品を観ましたけど、中でも『とらドラ!』が一番好きですね。
それと、京アニの作品が大好きです。クオリティがとても高く、作画を楽しむだけでも観る価値がありますね。いろいろなアニメが普及しているからこそ、内容や設定が突き詰められていて、いまのアニメは本当にすごいと思いながら観ています。

江口:そうですね。子どもの頃にハマった作品でいうと『H2』ですね。オープニングテーマ(以下、OP)が久保田利伸さんの『虹のグランドスラム』という曲なんですが、その曲がすごく好きで。
田邊:あれ良かったよね。
江口:漫画も『H2』が一番好きなんですけれど。当時野球をしていたので、それも相まって好きでしたね。

辻村:僕は、ディズニーやジブリ作品はビデオテープが擦り切れるぐらい観ていました。その頃から純粋なアニメが好きで、王道ですけどジャンプ系の『ドラゴンボール』『ONE PIECE』とか好きでした。少年の友情だったり、敵であるラスボスを最後に助けたりするのは、人生の教訓にもなっていますね。

――『Z.E.R.O.』は、TVアニメ『15周年コードギアス 反逆のルルーシュ R2』2クール目のEDになってますが、オファーを受けてからのエピソードや、演奏してみての感想をお願いします。
田邊:はじめに話を聞いたときは、もともと放送されていた作品のOPもEDも変えてリバイバル放送するなんて、攻めているな……と。既に出来上がっているEDを僕らが書いて怒られるのでは……という感じでした。
そのタイミングで、改めて1話から全話を観直してみたら、ハリウッド映画にも負けない壮大なストーリー展開と緩急、全てが最終話に向けての伏線やフリになっているなど、作品に対する思いや共鳴するものがあって、「新約なED」を作ってみようと思ったときに、一気に歌詞が書けた感じですね。自分の感想や思いを描写した歌詞に、そのイメージにあった音像というか。ギターの音だったり、ピアノの音色だったりを入れながら作ったので、スッと気持ちが出てきた感じがありました。

辻村:重厚なサウンドに、作品の世界観にあるダークなところが出ているんじゃないかと思います。聴いてくれる方々が、楽曲から主人公の意図を汲み取ってる感じなど、いろいろと考察していただけるのは嬉しいですね。

高村:大先輩たちの偉大なる曲が世の中にあることを、みんなが知っているので、生半可な曲は出せないというプレッシャーはありましたが、僕らは、いつだって自分たちの色が中心にある上で、アニメの内容や雰囲気などを混ぜ合わせて作るんです。だから今回もブレずに自分たちの思いだったり挑戦を、ふんだんに込めて作ったので、作り終わった後は、どう思われるかなんて考えてなかったですね。自分たちが満足いく、自信を持って世に出せる曲ができたので。それを皆さんがどう思うかはお任せしますって。そのくらいの曲ができたと思っています。

江口:アニメのOPはやってきたのですがEDを担当するのは初めてで、EDはアニメの締めを担当する役割があるので、『コードギアス』に則ったイメージを守りつつ、壮大な世界観を感じられるように心がけてつくりました。実際に放送を観てみたら、ちゃんと世界観にハマっていたので良かったと思います。

――アニメの主人公ルルーシュを想像させる要素がありながら、コードギアスを知らない方にも刺さる歌詞になっていて秀逸ですが、好きなフレーズなど教えてください。
田邊:僕の中で一番大事なのはゼロレクイエムの部分といいますか、最後の瞬間が全てだと感じたんですよね。その瞬間を描きたいと思いました。
この『Z.E.R.O.』を聴けば、作品を観たくなったり、観た感覚になるような、楽曲の中で『コードギアス』を作りたいという思いがありました。
主人公がどんな気持ちで仮面をつけたのか、大義のために悪にも力を使う描写をしたかったのと、そこはかとなく見える主人公の弱い部分も隠さず表現できたと思います。弱さを隠さずにさらけ出すことで強さにつなげ、悪いことをしたとしても、最終的には良い方向に進めようとする部分も大切に込めているので。そういう意味でもBLUE ENCOUNTらしさと『コードギアス』の世界をかけ合わせた瞬間に、『Z.E.R.O.』が生まれた感じですね。

――ちなみにタイトルの『Z.E.R.O.』は仮面の男ゼロを意識していますか。
田邊:そうですね。このタイトルの『Z.E.R.O.』と最後の歌詞「零になって壊す」の「零」の表記が違うのは、作品を見てもらったら解るかなと思います。タイトルは、漢字の「零」にするか、カタカナにするか、いまの『Z.E.R.O.』にするか最後の最後まで迷いました。

――歌詞の「キョウキ」がカタカナなのも意味がありますか。
田邊:「キョウキ」っていろいろな意味がありますよね。「狂喜乱舞」だったり、狂った気で「狂気」とか、あとは人を傷つける「凶器」。いろいろなミームが揃ってて。手に入れた力の使い方をひと言で表現したかったのと、カタカナにすることで、人によっていろいろな解釈をしてくれると思ったので。

――江口さんは好きなフレーズはありますか。
江口:好きなフレーズ。
田邊:言って言って(笑)。
江口:好きなフレーズというよりは、全てが『コードギアス』の世界観にハマってると思うので。この曲に関しては、部分部分という受け取り方よりは、全体を通していいなって思います。

高村:田邉は歌詞で当て字を使うことが多いのですが、「血」と書いて「こたえ」にしたのは何でだろうと考えたことがあって、血を流すとか、血には悪いイメージがあるじゃないですか。そこに「こたえ」を添えると、急に希望だったり勇気だったり、僕にはプラスの要素が見えました。血を流したことによって掴み取ったもの、例えば希望や勇気は、初めからプラスだったわけではなく、マイナスの瞬間もあって、最終的にたどり着いた場所がプラスだったという感じに、陰と陽が混ざり合う言葉なっていると思うので、その言葉が好きですね。

辻村:僕はラスサビですね。一番強い言葉だと思いますし、この歌詞で言いたいことの全てが詰まっているんじゃないかなと思います。誰かのために理由を導き出すことを、自分がやっているという考えではなくて、「零になって壊す」というフラットな気持ちで考えられるのは、誰も傷ついていないんじゃないかなって。考えようによってはハッピーな曲としても捉えられますけれど、でも作品の世界観や使ってる言葉はダークなので、絶妙なバランスなんだと思います。僕もラスサビは一番思い切りいきたいですし、お客さんも一番気持ちよく聴きたいところだと思うので、僕は好きです。


櫻井靖之

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