これまでB’z、倉木麻衣、BREAKERZ、GARNET CROW、大黒摩季などそうそうたるアーティストがテーマソングを担当して来たTVアニメ『名探偵コナン』。現在は、男性ボーカルデュオの“all at once”が、「プレイメーカー feat.大野雄大(from Da-iCE)」 でエンディングテーマを担当している。all at onceは、これまでにも「星合」「JUST BELIEVE YOU」といった、『名探偵コナン』の世界観に寄り添った楽曲で話題を集め、コナンファンの間ではすでにお馴染み。今作「プレイメーカー feat.大野雄大(from Da-iCE)」は、Da-iCEの大野雄大とのコラボで、all at onceにとってチャレンジの1曲に。all at onceの2人の人となりに触れながら、「プレイメーカー feat. 大野雄大(from Da-iCE)」の制作裏話など聞いた。(前編/全2回)
■受け入れていただいたコナンファンの皆さんには感謝しかない
――all at onceが『名探偵コナン』のテーマソングを手がけるのは、「星合」「JUST BELIEVE YOU」に続き3回目です。
ITSUKI:単純にうれしいのが一番ですけど、『名探偵コナン』のファンの皆さんに「いいね」と言ってもらえるか毎回不安があり、今回はそれに加えてDa-iCEさんや雄大くんのファンの方にも、受け入れてもらえるかどうかという別の不安がありました。アニメで楽曲が流れてから、「コナンに合うね」という言葉をたくさんいただけて、雄大くんとライブで初披露させていただいた時は、雄大くんのファンからも「良かったよ」と言っていただけて、すごくうれしかったです。
NARITO:僕はITSUKIとは逆に、不安はありませんでした。と言うのもレコーディングを通して、自信を持って送り出せる1曲になっているとすごく感じていて、早くみんなに届けたいという気持ちが強かったです。だから不安よりも、期待のほうがすごく大きかったです。
――今回アニメージュプラスには初めて登場するということで、改めてこれまでに歌った『名探偵コナン』のテーマソングについて聞かせてください。最初は20年8月にリリースした「星合」というバラードナンバーでした。
ITSUKI:「星合」は、ちょうどコロナ禍のステイホーム期間という時期でもあったので、会いたくてもなかなか会えない男女の心情を、七夕の織り姫と彦星に例えて制作した楽曲です。その次にオープニングテーマとして担当させていただいた「JUST BELIEVE YOU」(21年1月リリース)も歌詞のテーマとしては似た感じで、なかなか会えない状況の中でも必ずまた会えることを信じて願った楽曲です。どちらも距離感を大切に歌った楽曲でした。『名探偵コナン』を観てくださっている皆さんは、工藤新一くんと毛利蘭ちゃんの二人の距離感に重ねて聴いてくださった方も多かったと思います。
――「JUST BELIEVE YOU」は、かつて倉木麻衣さんが『名探偵コナン』のエンディングテーマとして歌った「Secret of my heart」がサンプリングで使用されて、倉木さんが作詞も担当されて話題になりました。
NARITO:この曲で僕たちのことを、認識してくださった方も多いと思います。大先輩である倉木麻衣さんの名曲をお借りして新たな楽曲としてリリースするということで、「大丈夫かな?」って思いましたし、「なんだこいつらは!」って倉木さんのファンの方から怒られたらどうしようとか、本当に気持ちがグチャグチャになるくらい、いろいろなことを考えました。でも、「JUST BELIEVE YOU」を多くの皆さんに受け入れていただいて、今は感謝しかないですね。
ITSUKI:最初はめちゃめちゃ不安だったんですけど、冷静に考えてみたら倉木さんのファンの方が、「なんだこいつらは!」と言うはずがない(笑)。不安すぎて、マイナスのことばかり考えてしまっていました。
■雄大くんは気さくで、ずっと僕たちを笑わせてくれる
――今回の「プレイメーカー feat. 大野雄大(from Da-iCE)」は、大人気アニメの主題歌を手がけた経験もあるDa-iCEの大野さんとコラボ。どういう経緯でコラボすることになったのですか?
ITSUKI:僕たちのスタッフさんの中に、以前Da-iCEさんと仕事をしていた方がいて。その方からいろいろ話を聞いたり、実際にDa-iCEさんのライブを観にいったりする中で、雄大くんの包み込むような歌声に聴き惚れて、「ぜひ一緒にやりたい!」と思い、スタッフさんを通してオファーしました。
NARITO:これまでに何度かDa-iCEさんのライブを観させてもらったんですけど、ステージ上で光り輝いていて、僕たちが目指すべきアーティスト像はこういうものだろうと思ったんです。尊敬すべき先輩であり、目指すべき目標だと思っていました。なので、まさか一緒にコラボさせてもらえるとは思っていなかったので、雄大くんが了承してくださった時は、うれしさと同時に驚きもありました。
――実際に大野さんと話したり制作したりして、大野さんはどんな人だと感じましたか?
ITSUKI:すごく気さくな方で、優しいし、ずっと僕たちを笑わせてくれます。
NARITO:「ITSUKIは大丈夫だと思うけど、おまえはちゃんとやれよ!」って、僕にはちょっと当たりが強めで、めちゃめちゃイジってくるんです。でも、それも愛情の証みたいな感じで、すごくうれしいです。
ITSUKI:雄大くん流のやり方で、緊張している僕たちをほぐしてくれているんです。ライブでご一緒した時も、「楽しんで行こう!」って、僕たちのことをすごく引っ張ってくれました。
――大野さんとは、制作にあたってどんなことを話しましたか?
NARITO:ボーカルについてのリアルな話を、僕たちが一方的に質問していました。特にITSUKIは“発声オタク”的なところがあるので、「ここはどうやって発声しているんですか?」とか、体の使い方についてとか、結構細かい話を聞いていました。
ITSUKI:そういう話ばっかりでしたね。レンジも広いし声量もすごいし、日々どういう喉のケアをしているのかとか。歌うための体作りをしていると言っていたのが興味深かったです。
NARITO:自分が一番歌いやすいベスト体重があるらしくて。僕たちにも何となくあるんですけど、雄大くんはそれを何となくではなく明確に数値化されていて、それはすごいなと改めて思いました。
■「あんなフワフワじゃダメだ!」と思って録り直し
――「プレイメーカー」は、NARITOさんITSUKIさんの声の違いがありつつ、大野さんの低音系が入ることで、ハーモニーがより広がる感じになりましたね。
NARITO:そうですね。「プレイメーカー」のレコーディングは僕たちが先だったのですが、僕たちだけの声だと少し物足りない感じがあって。
ITSUKI:足下がフワフワしているような感じでした。
NARITO:そこに雄大くんの声が重なった時に、しっかりとした土台と言うか、安定した支えができた感覚があって。雄大くんの声は、この楽曲には欠かせないものだとすごく感じました。
ITSUKI:作詞・作曲のRa-Uさんは「星合」を書いてくださった方なんですけど、そこまで計算した上で作られたとおっしゃっていて。今回は雄大くんとのコラボ曲ということで、いつも以上に気合いが入ったと言っていました。
NARITO:僕ら2人とRa-Uさんでスタジオに入った時も、「おまえらやるぞ!」みたいな感じで、雄大くんとのコラボがすごくいい刺激になりました。
――2人が先に録って、それを聴きながら大野さんが録ってという流れですか?
ITSUKI:はい。さらに僕らは、雄大くんが録ったものを聴きながら、もう一度録り直しをしました。やっぱり実際の雄大くんの歌声を聴いて、インスパイアされた部分もありますし、雄大くんの歌声に合わせてコーラスを変えた部分もあって。
――特にライブで感じたのですが、ITSUKIさんの歌い方がいつもとは全く違いますよね。
ITSUKI:レコーディングで雄大くんの声を聴いて、「あんなフワフワじゃダメだ!」と思って。普段の優しい雰囲気とか、純粋に声を届けようという意識とは全く違う感覚で、ここまで男らしさを意識して歌ったことはなかったです。
NARITO:雄大くんとITSUKIが、太く男らしい感じだったので、逆に僕はハイトーンを強めに出した部分が多くて。サビのユニゾンは、3人の声の違いが上手くハマってくれていいものになったと思います。