• 『機動戦士ガンダム 水星の魔女』PDが語る「PROLOGUE」と本編の取り組み
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2022.10.16

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』PDが語る「PROLOGUE」と本編の取り組み

(C)創通・サンライズ・MBS

ガンダムシリーズ7年ぶりのTV作品となる『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、2022年10月2日より毎週日曜午後5時~MBS/TBS 系全国28局ネットにて放送中。
監督を小林寛、シリーズ構成・脚本を大河内一楼、キャラクターデザイン原案をモグモが務める。
数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代【A.S.(アド・ステラ)122】。モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」に、辺境の地・水星から主人公であるスレッタ・マーキュリーが編入してくることからストーリーは動き始める。
そして第1話放送に先立ち放送された前日譚「PROLOGUE」は、小惑星に建造されたフロント・フォールクヴァングを舞台に『水星の魔女』の礎となる世界観が明らかになる重要な1作となった。

『水星の魔女』企画の立ち上げの経緯、そして作品の目指すところはどこなのか。バンダイナムコフィルムワークスの岡本拓也プロデューサーにお話をうかがった。

――『水星の魔女』の企画はどういう流れで動き始めたのでしょうか。

岡本 『(機動戦士ガンダム)鉄血のオルフェンズ』の次のガンダムシリーズを、という話が出始めたのは2018年からだと聞いていますが、実際に私のところへ話が来たのは2020年の初春頃になります。
何人かの方に企画やアイディアを出して頂いたのですが、今回設定協力で参加して頂いているHISADAKEさんと、キャラクターデザイン原案のモグモさんが所属するクリエイターチーム「モリオン航空」さんから出たものが『水星の魔女』でした。

今となっては企画内容の原型はほぼ残っていないのですが、タイトルにもある「魔女」というキーワードは、小林寛監督と大河内一楼さんも「面白い」ということで、そこがすべての始まりとなりました。キャッチコピーの「その魔女は、ガンダムを駆る。」もモリオン航空さんの企画書に当初からあったものですが、モリオン航空さんの持つ独自なセンスは、本作品を形作る上で大切なエッセンスになっています。
小林監督と大河内さん、設定考証の白土晴一さんと私で2020年の春から打ち合わせを続け、当初はもっとガンダムらしいシリアスなストーリーだったんですが、幾度となる議論の末、現在の方向性に落ち着きました。

――作業を進める中で、ガンダムというジャンルの盛り上がりを感じている部分はありますか。

岡本 昨年公開された『(機動戦士ガンダム)閃光のハサウェイ』、今年公開された『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、興行的にも成功を収めました。ガンダムシリーズは、これまで数多くのクリエイターが積み重ねてきたシリーズでもありますし、そういうことも含めて『水星の魔女』に対する期待も、より強く感じるようになってきていますね。

――本編に先駆けて放送された「PROLOGUE」についてお聞きします。「PROLOGUE」は学園を舞台にした本編に比べて、従来のガンダムらしい内容のようにも感じました。

岡本 「PROLOGUE」に関して言えば、少し大人っぽい感じはあるかもしれませんね。この企画がスタートした際に、これからガンダムというブランドが50年、100年と続いていくためにも若い世代に向けたガンダムを作ってほしい、という話があったので、本編ではそこを意識して作っています。
『SEED』や『00』『鉄血のオルフェンズ』などもそういった意識で作っていると思いますので、その点に関してはブレていません。今までのファンの方に喜んでもらえることは勿論のこと、いろんな世代に喜んでもらえる作品になればいいな、と常に考えています。
▲『機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE』より。

――普段ですと、世界観の説明は第1話のアバンで消化するパターンが多いかと思うのですが、今回1エピソードとして作った理由は?

岡本 7年ぶりの新TVシリーズということで、本編が始まる前にファンの皆さんに何かお見せできるものはできないか、という話になりました。ならば世界観を伝えられるような前日譚を作ろうと。

――ストーリー作成に関して、小林監督や大河内さんはどのような取り組みをされたのでしょうか。

岡本 本編の1~2話のシナリオを制作してから、「PROLOGUE」に着手しました。「子ども目線で事件を描くものがあってもいいんじゃないか」というアイディアが大河内さんから出たり、小林さんがシナリオ打ち合わせの時に、「こんな関係が描ければいいんじゃないか」とルブリスの前にエリクトがいるシーンのラフイラストを描いていて、それが下敷きになっていったところがあります。

「PROLOGUE」の制作は、改めて本編に出てくるキャラクターがどういう経験をしてきたのかということをじっくり考える良い機会になりまして、そこで決まったことから本編に反映された部分もあります。本編の印象とは違う、重い世界観が描かれていますが、『水星の魔女』はそういう多層的な世界観を持っている奥行きのある作品だと伝えることができれば、と個人的には思っていました。

(C)創通・サンライズ・MBS

アニメージュプラス編集部

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