昭和を代表するアニメ『ヤッターマン』の偉大なる女性ヴィランの若き日を描く『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』。頼れる仲間であるボヤッキー、トンズラーとの出会いは? そして、なぜ彼女はヤッターマンと対峙するのか? 女優、モデル、歌手、映画監督とマルチな才能で活躍中の主演・池田エライザに「ドロンジョの出発点」とどう向かい合ったのか、話をうかがった。――池田さんは、ドロンジョというキャラクターに対してどんなイメージを持たれていましたか。池田 『ヤッターマン』本放送から45年も経つのに今も愛され続けているアイコニック(象徴的)な存在ですし、トンズラー、ボヤッキーとの3人組での愉快で憎み切れない関係は、いろんな作品の元祖になっているんじゃないかと思います。令和の時代に新たなドロンジョが生まれることで、そういう要素を改めて感じていただけるんじゃないでしょうか。
――ちなみに、原作となるテレビアニメ『ヤッターマン』はご存じでしたか?池田 はい。子供の頃にケーブルテレビで観ていました。
――あの3人組が、主人公であるヤッターマンを越えて人気が出た理由はどういうところにあると思われますか。池田 ドロンジョのセクシーな見た目が好きな人もいるだろうし、人それぞれだと思うんですが、私は「あきらめない」「くじけない」「物事を深刻にとらえ過ぎない」ところが気に入っています。最近は、マンガやアニメでも悪役が主人公のものが多いじゃないですか。悪役にもひとつの「正義」があることでその魅力が感じられるんだと思います。
――では、そのドロンジョ役が決まった時の率直な気持ちを教えていただけますでしょうか。池田 (出演の)お話をいただいたのは2年前なのですが、脚本作業が進むにつれてドロンジョのキャラクターは徐々に更新されていきました。特にマンガやアニメっぽい要素がなくなって令和の時代にはびこる問題や観る人たちの心に寄り添う内容に変わって、どんどんかっこよくなっていくドロンジョ=七音を演じるのが楽しみになりました。
▲『WOWOWオリジナルドラマ DORONJO/ドロンジョ』より――七音に対する演技のアプローチは、どのようなものでしたか。池田 七音の過去があまりに辛いものなので、お芝居をする上で自分の憶測や想像を頼りにするのは不可能だな、と思いました。ただ、七音に対して同情することが一番してはいけないことだと理解したので、身体だけを彼女に預けて客観視することが重要だと思いました。
――原作のドロンジョと違い、セリフも少なく感情を表情ではなく目で表現しているところが印象的です。池田 七音の人生を逆算して、演じるシーンに至るまでに彼女が何を与えられ、何を与えられなかったのかを考えました。正治と一緒にいる中での言動のインプットやアウトプット、どんなところに鋭敏だったり鈍感なのかを自分の中で分類しました。
――メイクを変えたり、少年っぽく見せるアプローチも、その一環ですか。池田 七音は単純にお金がなかったり基本的に他人との交流はないので、「最初はボロボロの衣裳とメイクなしでいきたい」という話は出ました。
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