• 『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督が語る「映画館で観るべき理由」
  • 『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督が語る「映画館で観るべき理由」
2022.08.11

『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督が語る「映画館で観るべき理由」

(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

現在大ヒット上映中の『ONE PIECE FILM RED』。原作者・尾田栄一郎が総合プロデューサーを務めるFILMシリーズ第4作は、週末土日2日間の興行収入が22億5000万円、観客動員数は157万人を突破し、2022年公開作品のオープニング成績第1位を獲得。これまでのシリーズは勿論のこと、配給元である東映にとっても動員・興収ともに歴代1位のオープニング週末成績を樹立するなど、大きな話題を呼んでいる。

本作の監督を務めたのは、『コードギアス』シリーズなどを手がけた谷口悟朗。今年最大の注目作がいかなるビジョンをもって完成したのか、谷口監督に話をうかがった。

――歌姫のウタを巡る今回の作品について、オリジナルのストーリーはどのように作られていったのでしょうか?

谷口 脚本の黒岩(勉)さんとは、まず今までの劇場版『ONE PIECE』とか、前作の劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』を振り返って、ファンが求めているのはどういうところなのかと分析から入りました。その上で、こういうのはどうだろうと話したのが初手ですね。そうした流れで尾田(栄一郎)さんの方から「伝説のジジイを描くのはもう飽きた」っていう言葉が出てきたので、私の方からは「それなら歌をメインにしませんか」という案を出しました。少なくとも伝説のジジイが歌を歌うことは今までなかったですから(笑)。
 
その後、メインを女性キャラクターにして歌わせようとなったのですが、どうしてもシャンクスが絡んできてしまう。勝手にシャンクスを出すわけにはいかないので困っていたんです。しかし、尾田さんから「いいですよ、シャンクスを出しても」のひと言をもらえた。次に、シャンクスとルフィは直接会うことはできないけど、会ってもおかしくない世界を作るためにはどうすればいいか。その辺りを黒岩さんと考え、まとめたプロットに対して尾田さんは「OKです。これで行きましょう」と。それが今回の映画のスタートでしたね。

――ウタの歌唱パートをAdoさんが担当されていることも大きな話題ですね。

谷口 Adoさんは最初に名前が挙がったときから、スタッフみんなで満場一致で「OK!」っていう感じでしたね。音楽に関しても、Adoさんには想定以上のレベルのものにチャレンジしてもらい、頑張って仕上げていただいたので非常に満足しています。それは彼女が持つプロフェッショナルな姿勢が成せた技、本当に大したものだなと思います。

元々実写よりもアニメーションのほうが音楽との相性がいいと思っていて、今回音楽と組み合わせることに関しては、特に不安感などはまったくなかったんですよ。ただ、私がこだわるのは歌と映像のマッチングの問題で、尾田さんは音楽そのものにこだわっていた。でも、そのこだわりのズレが逆によかったんだと思います。楽曲制作は誰に担当させるのかとなったとき、そこに関しては尾田さんの方が間違いなく今のアーティストさんたちに詳しいから「じゃあ、そこはお願いします」と。それで今回お願いしたアーティストの方々の名前が挙がっていったという感じです。そういう割り振りの仕方で進みましたね。

――ドラマの部分では、今回のルフィとシャンクスをどのように描いていこうと思われましたか?

谷口 ルフィとシャンクスはもう互いが互いのことをわかっているので、二人の新たなドラマみたいなものはあえて入れていないというか……お客さんたちも「そこはわかっているよね?」という形で伝わるようにしたのが大きいですかね。そうした彼らの関係性は、初めて観る人にも理解できるだろうと思います。
 
――ルフィやウタとの関係性には、シャンクスの優しさが表れているのかなと。

谷口 例えば『ONE PIECE』の連載が始まった頃に小学生くらいだった子どもがいたとします。その人たちが今何歳になっているかというと、大体30代中盤から後半なんですよね。今は結婚されて、お子さんがいる可能性もあるわけです。そのお子さんが、もしも女の子だったりすると、シャンクスの立場に立って映画を観られるかもしれない。
だから今回のシャンクスに関しては、昔からのファンの方も楽しみにしているけど、それ以外の大人のお客さんたちの受け皿になってくれたらいいかなと思いました。

(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

アニメージュプラス編集部

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