• 水島精二監督が感動した舞台『機動戦士ガンダム00』の超絶クオリティ
  • 水島精二監督が感動した舞台『機動戦士ガンダム00』の超絶クオリティ
2022.08.06

水島精二監督が感動した舞台『機動戦士ガンダム00』の超絶クオリティ

(C)創通・サンライズ

2022年2月7日~14日まで上演された舞台『機動戦士ガンダム 00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation 』が、この度Blu-ray&DVD化された。TVアニメセカンドシーズンのエピソードを約3時間に凝縮した本舞台は、これまでの『ガンダム』という作品概念を大きく更新した画期的な内容に仕上がっている。
これは『機動戦士ガンダム00』という作品そのものの懐の深さが成したものではないか――本舞台に監修として携わった水島精二監督に現場での関わり方、ライブならではの魅力、そしてさらなる『ガンダム00』の展開について語って頂いた。(後編/全2回)

――『舞台 機動戦士ガンダム00―破壊による覚醒-Re:(in)novation』で、前作に続いて水島監督は「監修」という形で関わられました。舞台参加の経緯は、どのようなものだったのでしょうか。
▲世界の歪みに抗うソレスタルビーイングの戦いも遂に最終局面へ。

水島 そうですね。最初に今のようにリハーサルから現場に足を運び、イベントに関わるようになったきっかけは2004年の『鋼の錬金術師FESTIVAL』、大阪公演での細かなトラブルが原因でした。全体構成や映像は僕ら制作スタッフ主導でしたが、ライブ自体はお任せでした。ところが登壇したキャストとスタッフとの意思疎通がうまく出来なかったらしく「東京公演では何とかしてほしい」と相談されて、アニプレックスのプロデューサーや毎日放送の竹田靑滋さんに相談したら、次のリハーサルからいろんな調整に関わることになり、公演当日も照明さんのサポートをしていました。

それをきっかけに、自分の作品がイベントで扱われたり舞台化されたりする時にアイデアを出したり、現場のリハーサルに立ち会ったりと、積極的に関わっているうちに、だんだん舞台で何ができるかが判るようになってきたんですね。MBSアニメフェスの『ガンダム00』イベントステージなども映像制作会社と密に相談し、その上で、副監督を務めていた角田一樹君や長崎健司君と一緒に映像だけでなく、ステージ用の構成を作ったり……単純に興味があるからやりたい、というのもあるし、そこで学んだものが今後の仕事にフィードバックできるだろうという思いがありました。実際、後にやらせてもらったリーディングライブなどで活かされているんです。

舞台版の『ガンダム00』もそういった流れで関わったんですが、演劇側のスタッフからライザー(人力で動かす舞台装置)を使ってモビルスーツ戦を表現するというアイデアを聞いて、僕もリーディングライブでライザーを使った演出を間近で見ていたので、『それだ!』って思いましたね。こういうアイデアを出してくれる人たちなら安心して任せられる、と思いました。メディアが変われば表現も変わるわけですから、イメージ管理はこちらでしますが、メディアに合わせての作品作りは向こう側できちんと出来るようにしてあげたいと思っています。

――では、今回もかなりしっかり取り組まれた?

水島 自分としてはガッツリというほどの温度感ではないんですけれどね。でも前回の舞台の時、稽古に顔を出したらめちゃくちゃ歓迎されまして。「場面やキャラの解釈に関して、水島監督はすぐに答えてくれる」というのが大きな理由でした。

――「演出上、ここまで変えても大丈夫か?」という問題点に関して、水島監督ならその場でジャッジできる。

水島 そうです。サンライズに対しても、「監督が大丈夫なら」と判断してもらえるわけで。自分が現場にいることでスタッフや演者を安心させる、舞台上での表現に関して物理的な問題にぶつかった時にはこちらもアイデアを出す、そういう役割として関わっている感じですね。

――では、舞台の “『ガンダム00』らしさ” は、どのようにジャッジされたのでしょうか。

水島 基本的には脚本段階で調整していますね。演出・脚本を担当されている松崎史也さんはとてもクレバーな方で元々脚本のまとまりが良いんですが、結末で描かれる状況でのキャラクターの心理にとても悩まれていたんです。アニメのドラマを舞台に全部落とし込むことは物理的に無理だし、映像表現と舞台では違うものになるわけですから、そこはいろいろ話をしました。実際には役者の演技プランによって表情まで変わるわけだし、それを見て必要であればセリフを直してもいいんじゃないかとも伝えています。

――あくまでも演出は現場にお任せしているわけですね。

水島 そうですね、相当考えた上でやってくれているのもわかるので。場合によっては、内容がだいぶ固まったところで「今はこういう解釈で演じているかもしれないけど、このニュアンスでやった方がキャラクター的に伝わりやすい」、「こういう会話にするともっと意味のあるやり取りになるので、そっちでやってみない?」というような感じで、役者に委ねつつ、さらに調整していくこともあります。

――アニメのアフレコと舞台の指導は、やはり大きく違ってくるものでしょうか?

水島 ええ、声優さんの場合は作画の表情に合わせて演技してもらわないといけないので、アプローチはまるで違いますね。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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