現在放送中のテレビアニメ『よふかしのうた』、その主題歌を担当するのは大人気のヒップホップユニット「Creepy Nuts」だ。彼らの楽曲「よふかしのうた」が原作コミックに大きな影響を与えていることを受けて、今回のアニメ化でも主題歌・挿入歌を担当したことが大きな話題を呼んでいる。刺激的なサウンドとラップが描き出すコウとナズナの夜は、いかにして生まれたのか。メンバーのR-指定さん、DJ 松永さんにお話をうかがった。――まず『よふかしのうた』という楽曲が、コトヤマ先生のコミックになった時の印象はいかがでしたか。DJ 松永(松) 意外な展開過ぎましたよね(笑)。「オードリーのオールナイトニッポン 10周年全国ツアー」のために書いた歌があのような内容の漫画になって、しかもそのアニメの曲を俺らが書くっていうのは何がどう巡ってるんだろう、という不思議な感じです。
R-指定(R) コトヤマ先生が俺らのことを好きと言ってくれていたのは知っていましたけれど、実際に俺らの楽曲からインスパイアされたというのも驚いたし、内容もこれまた俺の好きな「吸血鬼」「思春期の男子」みたいな要素が詰め込まれていて「そうきたか!」という感じで。何て言うんだろう……好きなものが回り繋がっていく感じがして、嬉しかったですね。
――しかもアニメ化が決まって、改めて主題歌も担当することになりました。R 作品のきっかけもそういうところですから、おそらく自分らの曲を使ってもらえるんだろうな、と思っていたんですが、いざ新たに作るとなると「あ、もうないな」と。
――夜のネタが(笑)。R そう、そもそも俺らの曲の場面設定って夜が多いし……。
松 そうなんですよ。しかも、主題歌を作る前に挿入歌を作っていて。
――あ、「ロスタイム」が先だったんですか。松 しかも、その場面がガッチリと夜だったという(笑)。
R その時点で、俺の中の夜要素は空っぽだったんですよ。その仕事の前にやった客演の曲の詞で星について書いてたし、コトヤマ先生に「もうないんです」と正直に話したところ……。
松 「そこを何とか!」と(笑)。
R コトヤマ先生は昔から知ってくれているので、ならば俺のソロ時代のある楽曲みたいな雰囲気で作ってほしい、と。その楽曲は夜のイメージを第三者的というか客観的に捉えているような内容だったので、俺の目からみたものとは別の夜の風景、というイメージで挿入歌は何とかまとめたんです。
――でも、まだオープニング・テーマが残っている。R 「いっそ、もう夜とは関係ない内容にしてしまおう!」と開き直ったんですが、上げてみたらまあ、そこまで夜とはかけ離れてはいない、作品にマッチしたものになったと思います。
松 本当によかった……危ねぇ、危ねぇ(笑)。いや、もう本当にゼロからの夜の曲は無理!
R もう無いよね!
――いや、またオファーがあるかもしれませんよ?R ……そうなんですよね(笑)。まあ、時間が経てばまたできると思いますが。
――コトヤマ先生とのこれまでのやり取りの中で、何か印象的なものはありましたか。R 実はこういうやり取りをする以前に一度、コトヤマ先生と電話で話したことがあるんですよ。大阪でやったイベントで、たまたまコトヤマ先生と知り合いの方と話している時に偶然電話がかかってきた、みたいな感じで。その時はお互い「あ……何か知っていただいてるみたいで……はい……」みたいなぎこちない感じで。
松 いきなりは弾まないよね(笑)。
R 弾んだのはやっとこの前、アフレコにお邪魔した時に会ってですね。楽曲の感想をもらったり、「アフレコってどうやってやるんですか」「いや、僕アニメ関係者じゃないからわからないですね」みたいな……いや、中身はそんなでもないですけど、会話のリズムは弾んでました(笑)。
松 僕は挨拶程度なんですよね、本当に「ありがとうございます!」くらい(笑)。こんなに作品を通じて密な仕事をしている関係なのに。
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