『ククルス・ドアンの島』古谷徹と安彦良和が取り戻した「15歳のアムロ」

現在公開中の安彦良和監督作『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、ガンダムシリーズの原点であるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』、そのシリーズ中でも異彩を放つ第15話『ククルス・ドアンの島』を完全映画化。『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』の劇場公開から40年の時を経てRX-78-02 ガンダムとアムロ、そしてお馴染みのホワイトベースの仲間たちが登場する物語が展開されていく。

今回ついに安彦良和監督と主演のアムロ・レイ役／古谷徹さんの対談インタビューが実現！　インタビュー後編では、アフレコ時の取り組み、古谷さんが印象的だった場面、そして安彦監督が本作でアムロをどう描こうとしたかが明らかにされていく（全2回）。

――アフレコの際には、お二人の間で何か打ち合わせなどはされましたか？

安彦　特にはやってないんじゃないかな。

古谷　そうですね。「時系列がテレビシリーズの時とは違っている」という説明をしてくださったくらいですね。

――そこはもう安彦監督は、古谷さんを信頼してお任せした感じですか？

安彦　信頼する以外ない、というか、今更信頼しないわけがないからね（笑）

――安彦監督は以前「OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、アムロの一年戦争での活躍に向けた準備が整ったのに、その先を古谷さんに演じてももらえないのは申し訳ない」というお話をされていましたが、今回やっとその思いが叶ったところもあるのではないですか。

安彦　そうですね、『THE ORIGIN』の過去編が終わって「これで終わるのか、仕方ないけど寂しいな」という思いはありましたから。こういう機会を貰えたのは良かったね。

――古谷さんとしても新たにアムロを演じられる嬉しさがありましたか？

古谷　勿論です。『THE ORIGIN』でようやくサイド７に辿り着いて、僕も胸の内では「いよいよガンダムに乗るのかな？」と思っていましたし、いつ一年戦争編がアニメ化されるのかと、ずっと期待して待っていましたから。その後いろんな噂を聞いた末に、いきなり「ククルス・ドアンの島」の映画だと聞いた時はやっぱり驚きましたね。

――我々も大層驚きましたけれど、古谷さんもでしたか。

古谷　はい、最初は「あの１話を、どうやって映画の尺に広げるのか？」という疑問の気持ちの方が大きかったんですが、実際にいただいた脚本や仮映像で確認したラストシーンに僕はすごく感動したんです。素直に「ああ、良い話だな」って。それも劇場作品で15歳のアムロをもう１回できるのかと思うと、とても嬉しかったです。

ちゃんとアムロをやりきれるのか、という不安もありましたが、実際にアフレコに臨んでみると収録はトントン拍子に進んで、自分としてもある意味「もう思い残すことはないな」と思える手応えを感じることができました。本当に良い仕事をさせていただきました。

安彦　コロナ禍のために単独収録、しかも絵があまり出来てないような状態で声を入れてもらったので、本当に申し訳無いと思っていたんですよ。でも演技に関しては、本当に言うことなしでした。完成試写の帰りがけに、古谷さんが「泣きました」って言ってくれたんだよね。あれは本当に嬉しかったし、その言葉のおかげで「この作品、結構良い出来になったのかも」って思えたんだよね。

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