• 『機動戦士ガンダム0083』に刻まれた究極の作画とトップスタジオの萌芽
  • 『機動戦士ガンダム0083』に刻まれた究極の作画とトップスタジオの萌芽
2022.06.18

『機動戦士ガンダム0083』に刻まれた究極の作画とトップスタジオの萌芽

ガトーを追撃するコウ・ウラキ (C)創通・サンライズ

6月19日(日)の19時よりBS12トゥエルビ『日曜アニメ劇場』にて、『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』が放送される。

物語の舞台はファーストガンダムで描かれた「一年戦争」から3年後。
ジオン軍残党デラーズ・フリートのアナベル・ガトーが核兵器を運用するガンダム試作2号機GP02Aを強奪、ガンダム試作1号機GP01を駆る連邦軍パイロットのコウ・ウラキは、アナハイム社のSEであるニナ・パープルトンと共にガトーが乗った試作2号機を追跡する-ー。

本作は、1991年から1992年にかけて制作された全13話のOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』を、新作カットもまじえつつ約2時間に編集した劇場版だ。
「OVA」というジャンル、年長のアニメファンなら周知だろが、若い世代のファンにとっては意外と馴染みがないかもしれない。
OVA=オリジナル・ビデオ・アニメは、過程にビデオデッキが普及し始めた1980年代前半〜中盤に生まれたジャンルで、TV放送や劇場公開ではなく、ビデオソフト(後にはレーザーディスクやDVD)パッケージとしての販売、レンタルを目的に制作された作品のこと。直接販売/レンタルされるというジャンルの性格上、年長のファンを意識したストーリーのものが多く、また映像/作画面でも高いクオリティが追求されている。
本作『0083』はそうしたOVAの中でも特に、手描き作画という面ではひとつの〈究極〉に位置する作品であり、今回の放送で改めてその魅力を堪能してほしい。

まず特筆すべきはモビルスーツのメカアクション描写。本作では全編に渡り、立体として複雑にデザインされ、緻密なディテールまで描き込まれたモビルスーツが、激しいアクションを繰り広げている。メインのモビルスーツであるガンダム試作1号機、2号機、3号機の重厚な存在感と、宇宙空間で繰り広げられるめまぐるしい戦闘は、今観ても圧倒的だ。
もちろんキャラクター描写も濃厚だ。陰影を強調した影付けや細かい表情芝居により、登場人物たちの感情はビビッドに観客に伝えられ、「絵が崩れる」という瞬間は皆無と言っていいだろう。

そして重要なのは、そうしたメカ描写、キャラクター描写がほぼすべて「手描き作画」で実現されているということだ。当時のアニメ制作現場は、CGはおろかデジタル作画もまだほとんど導入されておらず、本作も昔ながらのセルを使用した作画で制作されている。にもかかわらず、本作の映像は現在のデジタルやCGを活用したアニメーションにまったく引けを取っていないことは、実際に映像を見て貰えれば一目瞭然だろう。
「デジタルもCGもない時代にここまで描かれた」という評価にとどまらず、手描きのアニメーションだからこその風合い、空気感、研ぎ澄まされた動きがあるということも、ぜひ感じてほしい。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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