• 【金ロー】『トイ・ストーリー』から『バズ・ライトイヤー』に継承される世界
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2022.06.17

【金ロー】『トイ・ストーリー』から『バズ・ライトイヤー』に継承される世界

『バズ・ライトイヤー』(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


★掘り下げられるドラマ★

そんなCGで描かれたおもちゃたちが繰り広げるストーリーはコミカルで、時にはスリリング。その明快さも『トイ・ストーリー』シリーズが幅広く支持される大きな要因といえるだろう。
だが熱心なファンならば、このシリーズのストーリーがただそれだけに留まらない深さを持っていることはご存じのはずだ。
決してハッピーなだけではない複雑さ、ほろ苦さ、切なさからも目をそらさずに、しっかりと物語に落とし込むことで、『トイ・ストーリー』は何度観ても味わいのある作品になっている。
今回、金曜ロードショーで放送される『トイ・ストーリー3』と『トイ・ストーリー4』は特に、シリーズが進むことで生まれる問題意識が取り入れられ、それを観客に問いかけるようなストーリーが展開していく。

『トイ・ストーリー3』ではおもちゃたちの持ち主であるアンディ少年は17歳に成長しており、大学進学を控えて寮に引っ越すことになる。
アンディは長年のお気に入りだったウッディだけを引っ越し先に持っていき、他のおもちゃたちは屋根裏部屋へ仕舞うことにするが、アンディの母親の間違いでおもちゃたちはゴミに出されてしまうという事件が……。

『トイ・ストーリー3』が描くのは、子供はいつか大人へと成長するということ、そして子供時代を共有した仲間であるおもちゃたちとも別れの時がくるということ。
アンディ少年とおもちゃたちが「永遠に進まない時間」を生き続けることで、シリーズを続けることもできたかもしれないが、ピクサーのスタッフたちは時間を進め、ファンタジーではないリアルなドラマを描くことを選んだ。
最後にアンディが下す決断、そしてそれを受け止めるウッディたちの想い。
今回の放送でも、そのストーリーの結末で涙する人は多いだろう。

そして『トイ・ストーリー4』では、さらに「おもちゃにとっての幸せとは何か?」そして「おもちゃが本当は生きていて人格を持っているとしたら、人間の所有物になってもいいのか?」というテーマが描かれて、その作品世界の深みが増していく。
それは、ウッディやバズたち、作中のおもちゃ=登場人物たちへの想いがシリーズを重ねて深くなったからこその視点であり、シリーズを愛する観客たちに向けられた真摯で根本的な問いかけだ。

もちろん映像は変わらず明るくポップで、ハラハラドキドキさせつつホッとさせる笑いの要素も忘れられてはいない。ファンタジックな『トイ・ストーリー』の世界を保ちつつ、その世界が孕んでいる本質的なテーマにもアプローチしていく。
そこに『トイ・ストーリー』というシリーズの、そしてディズニー/ピクサー作品の普遍的な魅力の一端がありそうだ。
今回の2週連続放送でもぜひ、そんな『トイ・ストーリー』の世界にあらためて触れ、さまざまなことを感じてみてはいかがだろうか。

(C)2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

アニメージュプラス編集部

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