• ガンダムの懐かしい雰囲気を目指した『ククルス・ドアンの島』の美術
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2022.06.16

ガンダムの懐かしい雰囲気を目指した『ククルス・ドアンの島』の美術

(C)創通・サンライズ


――憧れの方との仕事となると、やはり緊張しますよね。

金子 そうですね。あと、リモートの打ち合わせでカトキハジメさんともお話した時も緊張しました。それこそカトキさんは概念みたいなもので、実在しないんじゃないか?という風にさえ思っていましたから(笑)。
今回美術監督補佐を務めてもらった末広(由一)さんもガンダム好きで、脇でソワソワしながら「リモートで安彦さんの声が聞こえる現場って何なんですかね」と興奮気味に言っていました。それくらい、ガンダム好きにとってはたまらない現場でしたね。

――本作の美術に関しては、どのような方向性を目指して作業されたのでしょうか。

金子 安彦さんは『機動戦士ガンダム』という原点の当事者なので、「新たに作るならできるだけ最新の形にしたい」という思いがあるんだろうなと思っていました。ならばと改めて冷静に『機動戦士ガンダム』を観てみると、70年代から80年代にかけてアニメの絵がどんどんシャープに洗練されていく過程の中で、『機動戦士ガンダム』にはちょっと緩くて可愛い雰囲気が残っていることに気づきました。その雰囲気を消してしまわないようにした方がいいだろう、と。
イムさんや総作画監督の田村篤さんともそういう話をさせていただき、昔のテイストを消さず作品に漂う独特の香りをしっかりと残したいと思いましたね。
――確かに今作の美術はCGを駆使した固さは無く、往年の雰囲気を想起させる柔らかさと正統さを感じさせるものに仕上がっていたと思います。

金子 それはまさにイムさん、田村さん、安彦さんの要求に応えた結果ではありますね。美術作業の中には「ここまでやっておけば、劇場版クラスになる」というラインがあるんです。例えば、昨今の劇場作品だと全部デジタルでガチガチに作って、隙間はテクスチャーで埋めるという、昨今の劇場版的な落とし所があるんですが、イムさんからは、以前僕が美術監督を担当した『キルラキル』の持つ懐かしい感じがいいんじゃないか、と言っていただいたんですよ。

『キルラキル』はパロディ色の強い作品で、それこそ本編内でジェット・ストリーム・アタックのイメージ背景を再現したりしていたんですが、今回はフェイクが突然本物になったような不思議な気分を味わいながら(苦笑)、作業を進めていきましたね。
(後編に続く)

>>>作品を彩る様々な背景にも注目!『ククルス・ドアンの島』名場面を見る(写真7点)

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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