• 『ククルス・ドアンの島』スタッフが徹底的にこだわった「安彦イズム」
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2022.06.06

『ククルス・ドアンの島』スタッフが徹底的にこだわった「安彦イズム」

(C)創通・サンライズ

現在公開中の映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では、安彦良和の監督作業をサポートする形で、これまで多くのサンライズ作品で演出や監督を務めてきた韓国出身の女性演出家、イム ガヒが副監督を務めている。
演出を統括する立場として、安彦良和の思いをどのように受け止めて、フィルムを作っていったのか? イム副監督にお話を伺うインタビュー後編では、20人の子供たちの描写にこだわった理由、さらにファーストガンダムの世界観を現代に蘇らせる苦労などが語られていく(全2回)。

――本編の大きな見どころである、ドアンと暮らす子どもたちの描写に関しては、どのように考えましたか?

イム 最初の『機動戦士ガンダム』では、アムロやシャアの名前がよく知られていますが、よく観てみるとカイやハヤト、ブライトそれぞれが主人公なんだ、という印象を持つようになったんです。

私自身、アニメや演劇を観る時にメインよりもそれを支えるアンサンブルに注目することが多くて、会話をしているような小芝居なんかを観ると「この人たち、何を話しているんだろう?」と想像して楽しんでいたんです。そういうモブの一人ひとりが、役者として存在する感じをアニメで描いてみたいと思っていました。

――20人それぞれに人格とキャラクター性を持たせる、ということですね。

イム そうです。ひとりひとり、ちゃんと登場人物として成立しているというところをちょっとやりたかったんです。なので、子供たちのシーンは、普通の市民である彼らが自分たちなりに頑張って生きているところにこだわって描いています。

――その結果、本作を観た後に名前はわからなくても「こんな子がいたよね」という存在感が記憶に残りました。

イム ドアンのかつての仲間であるサザンクロス隊も同じように取り組みました。短い尺の中なので皆さんの想像におまかせする部分も多いですが、仕草やセリフから、どんな人物なのかと注目して、考えてもらえるように見せています。
ただ、それをやり過ぎると本当に見せたいものに観客の意識がいかなくなる危険性もあるわけです。そのバランスをどう取るかが『ククルス・ドアンの島』の中にある私の宿題だったかもしれません。

――TVアニメ『機動戦士ガンダム』の世界を、現在の視点・技術で映像化するにあたり、気を付けた部分はありますか?

イム 当然のことながら、当時の技術力は今と全然違うわけです。これを現在の技術でどうブラッシュアップしたら、当時のイメージを残したまま観客に「進化した」と思わせることができるのか……その点において、かなり難しい作業となりました。

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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