• 母の日だから振り返りたい!ガンダムシリーズの強烈な母たちの生き様
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2022.05.08

母の日だから振り返りたい!ガンダムシリーズの強烈な母たちの生き様

強いインパクトを残すガンダムシリーズの母親たちをピックアップ!


■モニカ・アノー(『機動戦士ガンダムF91』)

兵器開発を行う研究機関サナリィにおいて、バイオコンピュータの研究を専門とする工学博士であり、F91の開発関係者。先に挙げたヒルダと同じ仕事人間だが、同じ研究者だった夫・レズリーが辞職して家庭に入ったことから、主人公・シーブックとリィズの兄妹の面倒をすっかり任せることができた。妻の仕事への情熱に対して理解を示したレズリーによって家庭は安定を保ったが、それゆえにモニカの姿勢は子供たちから多少疎まれていた。

シーブックがF91に乗り込んだことから、モニカは戦場で子供たちと再会することになる。ここでモニカは家庭をあまり顧みなかった行動に対して子供たちに素直に謝罪。最終決戦の際には、宇宙空間に投げ出されたシーブックの恋人セシリーを探すため技術者としてシーブックにアドバイスするなど、作品テーマである「家族愛」の一翼を担う存在として描かれていく。
完璧ではないけれど愛情を失わず、子どもに寄り添えるごく普通の母親として描かれていることにホッとさせられるのは、過酷なガンダムワールドならではの感覚かもしれない。

■ミューラ・ミゲル(『機動戦士Vガンダム』)

主人公ウッソ・エヴィンの母は、ザンスカール帝国に抵抗する組織「リガ・ミリティア」の中心人物ハンゲルグ・エヴィンの妻であり、モビルスーツ開発に関わる優秀な技術者でもある。ウッソが生まれる前夜に「ニュータイプを授ける」という夢を見たことを啓示と受け止めたミューラは、来たるべき時に備えてウッソに戦争で生き抜くための英才教育を施す。

ミューラはいわゆる「教育ママ」的な要素を強調したような、どこか愛情と目的のバランス感覚が欠けたような人物として描かれている。リガ・ミリティアの活動が本格化してくると、手塩にかけて育てた幼いウッソを地球に残し、月面のモビルスーツ工場でザンスカール帝国との戦いの準備を進めることを選択する。それは組織に属する者の使命感の強さを示すだけでなく、残されたウッソがどのような行動をするかを試す意味合いも含んでいたのだ。ウッソはそんなミューラの合理的で冷酷な素養を認めつつも、本当のところでは理解し合えていないように見えた。

ザンスカール帝国に捕らえられたミューラは、戦闘の中でウッソの乗るV2ガンダム牽制のために利用され、凄惨な最期を遂げる。遺品となったのが彼女の首が詰まったヘルメットという衝撃の展開は、ガンダムシリーズの中でも屈指のトラウマシーンとして語り継がれている。

こうして改めて振り返ってみれば、富野監督がガンダムシリーズで描いてきた母親像の多くは、主人公にとって「わかり合えない存在」の象徴として描かれているように見える。それは、彼女たちは母親であると同時に「自立した女性」であり、その生き方・考え方を優先することによって主人公との軋轢が生まれていくからだ。専門職にも携わり、いわゆる「母」という役割の中には収まらないその存在感こそが、ガンダムシリーズの人間ドラマに、より深い味わいを与えてくれているように思われる。
改めて母親という存在は自分にとって何なのか、「母の日」というこの絶好の機会に考えてみてはいかがだろうか。

>>>劇場版『機動戦士ガンダム』ほかの名場面を見る(写真17点)

アニメージュプラス編集部

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