• 画業40周年を迎えた桂正和が絶望しながらも感謝した初アニメ化作品
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2022.05.06

画業40周年を迎えた桂正和が絶望しながらも感謝した初アニメ化作品

画業40周年を迎えた桂正和さん

池袋・サンシャインシティ 文化会館ビル3階 展示ホールCにて『40th Anniversary 桂正和 ~キャラクターデザインの世界展~』が現在開催中だ。
『ウイングマン』『電影少女』『I”S』『ZETMAN』などで知られる漫画家・桂正和さんの画業40周年を記念した今回の展示は、“キャラクターデザイン” に焦点を当てた初の大規模展覧会。これまで描いてきた漫画作品は勿論のこと、ゲームやアニメ作品のためのデザインや衣装デザイン、コラボイラスト、さらには立体物など、これまで幅広く活躍してきた桂正和の世界を一望できる内容となっている。
40年の仕事をふり返る機会を得て、現在何を思うのか。桂さんにお話をうかがった。

――今回の展覧会を通して、これまでの自分の仕事に何らかの共通ポイントみたいなものを発見されていたらお教えください。

 ああ、何かありそうな気がしますね……これはこだわりになるのかもしれないですけれど、通して自分が気に入っているデザインは顔のないものですね。

――そもそも、入選作『ツバサ』から発展した初連載作品『ウイングマン』がまさにそういったデザインですね。

 確かにね。とはいえ、あれはゴーグル的な部分と口に当たる部分で色分けされてるんで、目と口を感じちゃうんですよ。でも目と口がないと意志を感じられないからデザインとしては弱いのは確かなんです。だからそうしても成り立つ時だけ、目・口のないデザインにしています。とにかくシンプルにしたいんですよ……といっておきながら俺のデザイン、実際は結構線が入っているんですけれど(苦笑)。

――ですよね(笑)。

 でもね、『TIGER & BUNNY』のワイルドタイガーもゴチャゴチャに見えるけれど、『SHADOW LADY』のボディスーツをデザインしてる時に気づいた方法がありまして。どんなに線を多くしても、各パーツを同系色でまとめたら遠目に見たらシンプルに見える手法。線を多くすることで密度やリアリティを持たせる手法もあり、ツルンとしたものは凝った風に見えない印象を与えてしまいがちなので、自分も線を多くはしていますけれど、同色で潰してシンプルに見せるようにしてます。

――そういう鬩ぎ合いの中でデザインを進められているわけですね。

 まさに鬩ぎ合いです。古い話ですが『タイガーマスク』にミスター・ノーという覆面レスラーが出てくるじゃないですか。

――ええっ、確かに顔はありませんけれど、あれが理想のデザインなんですか?

 いやいや、あのままだとヒーローになりえないんだけど(笑)、ああいう風に収めていきたいな、という気持ちがあるわけです。

――そういう意味では、『ウイングマン』の段階からそういう方向性が示されている気がしますね。今回の展示会のために描き下ろされたのがまさに『ウイングマン』なのですが、この作品を選ばれた理由は?

 ストレートな答えとしては「(ウイングマンを)描いてほしい」と言われたからなんですが、40周年記念にデビュー作を描くのは面白いかな、とは思いましたね。今見ると、ウイングマンのデザインも気になるところがあるんですけどね……。

――そうなんですか?

 ツノは尖っているのに胸のパーツは四角くなってる、みたいな統一感の甘さみたいなものを感じているんです。なので、今回の描き下ろしはちょっとディテールアップしていますね。アオイもあえて今風でまとめました。

――先の取材では『ウイングマン』続編構想のお話も出ていましたが、それを意識した部分もあるんでしょうか。

 ああ、それは全然関係ないんだけれど(笑)、その方が新鮮かなって。模写する感じでアオイを昔っぽく描いても良かったけど……描きたくなかったんだね、だって昔の絵が嫌いなんだもの。

――40年前のキャラを現在のタッチで描くというコンセプトが、桂先生の歩みを感じさせて良かったと思います。

 うん、そうですよね。

(C)桂正和/集英社

アニメージュプラス編集部

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