• 能狂言『鬼滅の刃』制作発表会見「能舞台をアップデートさせる挑戦を」
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2022.04.14

能狂言『鬼滅の刃』制作発表会見「能舞台をアップデートさせる挑戦を」

(左から)制作発表会見に登壇した補綴の木ノ下裕一さん、演出・出演の野村萬斎さん、監修・出演の大槻文蔵さん、出演の大槻裕一さん。

吾峠呼世晴の人気コミックを原作とした「能 狂言『鬼滅の刃』」が2022年7月26日(火)から31日(日)まで東京・観世能楽堂GINZASIXで、12月9日(金)から11日(日)まで大阪・大槻能楽堂で上演される。
4月5日には制作発表会見が観世能楽堂GINZASIXにて行われ、演出・出演の野村萬斎らが登壇。能狂言の世界で初となる、新たな取り組みへの意欲を熱く語った。
▲(左から)会見に臨んだ木ノ下裕一さん、野村萬斎さん、大槻文蔵さん、大槻裕一さん。

「鬼舞辻無惨のイメージで白い着物を着てきました」と場を和ませる挨拶をした萬斎さんは、「吾峠先生の素晴らしい絵で描かれたストーリーが日本に根差したものであり、しかも鬼が主題で仮面が出てくるところなど、狂言の世界との親和性があります」と原作の第一印象を明かし、演出の方向性について訊かれると「当然能狂言というものが培ってきた手法でお見せすると思います。演出の肝である “見立て” でアニメや2.5次元のリアリティとは違う、皆さんの想像力に訴えるものになると思います」と自身の狙いを説明した。

補綴(脚本制作)を担当する木ノ下裕一さんは「原作を読んで印象に残ったのは、鬼の哀しみやその背景が丁寧に描かれているところ、そして様々な犠牲を重ねた中で現在がある、その人生を全うできなかった者たちの分まで生きろ、ということを訴えていることです」と語り、世阿弥の指南書と原作コミックを読み込みつつ「頭の中で二人の先生に教えを請いながら」作業を進めているという。
また今回は、原作の6巻頭くらいまでの下弦の伍・累のエピソードまでを、能の「五番立」(神、男、女、狂、鬼という5つの演目を、間に狂言を挟みながら上演すること)形式で構成していくとのことで、「こういったところからも、能狂言の魅力を感じていただけると思います」と構想を明かした。

舞台に臨むに当たって、本作の監修、そして下弦の伍・累を演じる大槻文蔵さんは「大事なことは作者の作意を探ること、と思ってやっております。人から生まれた鬼は怒りだけでなく、哀しみも抱えています。そういう鬼をどうやって表現したらいいか、これから探っていくこととなります」と、そして炭治郎・禰豆子役を演じる大槻裕一さんは「炭治郎は修行を重ねて成長していきますが、私自身もこの舞台を通じて成長できれば」と、それぞれの抱負を述べた。

裕一さんの言葉を引き継いだ萬斎さんは、「裕一くんやうちの息子(野村裕基さん)から人間国宝の文蔵先生まで、幅広い年齢層が出演します。皆さん、能狂言をお年寄りのものだと思ってませんか(笑)? 若者らしいアクティブな演技から深淵なる世界観もあるということで、観ていただければ何らかの発見があると思いますし、私たちもアップデートをしていかないと『鬼滅の刃』の世界を表現できないですから、普段の能狂言とは違う何らかの挑戦をしていかないといけない。そもそも、水の呼吸とか、どうやって表現すればいいのか悩ましいところなんですよ(笑)。そういうことも皆で知恵を出し合って、この能舞台に相応しく、今までとはちょっと違うアイディアを盛り込んでいきたい」とユーモアを交えつつ、改めてその意気込みを伝えた。

日本古来のエンターテインメントと超人気作のコラボレーションは、いかなる驚きと感動を生み出すのか。能狂言、そして『鬼滅の刃』の新たな一歩に期待したい。

>>>「能 狂言『鬼滅の刃』」制作発表会見の様子、出演者、吾峠呼世晴描きおろしポスターイラストを見る(写真16点)

(C)吾峠呼世晴/集英社
(C)吾峠呼世晴/集英社・OFFICE OHTSUKI

アニメージュプラス編集部

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