【激しいだけのアクションでは気持ちが乗らない】――本作は、かわいいデザインのキャラクターがハードなアクションを展開するところが魅力のひとつかと思います。そういった部分は意識して描かれていますか?今井 『王様ランキング』は、かわいい絵なのにシビアな展開があるギャップが面白さに繋がっていると思っています。そういう意味ではアクションも同じで、「こんなにかわいい絵なのに結構がっつりアクションするんだ!」というギャップがあると、観ていて意外性があって面白いと感じてくれるんじゃないかな、と。
――作画の際、意識していることなどありますでしょうか?今井 自分はアクションシーンを担当させていただくことが多いのですが、「なぜそのキャラクター同士が戦っているのか」「その時、どういう心境なのか」といった部分が伝わるように意識しています。自分が一視聴者としてアニメを観ている時、作画が激しくてもそういった部分が伝わってこないと気持ちが乗らないので、表情や細かい仕草からそれを読み取れるように作業を進めています。
たとえば、第一話のダイダ VS ドーマスのシーンで、ダイダがブルブルと顔を振るって汗を飛ばすところや、2人の戦いを見るボッジが興奮して鼻息を荒くするところ。コンテにはダイダが汗を飛ばす芝居やボッジの鼻の穴をあそこまで大きくする指示はなかったのですが、原作にああいった雰囲気があると思ったので、監督に相談させてもらって、もう一段面白味のあるシーンにできないかと試行錯誤しました。
――本作の中で、今井さんお気に入りのアクションシーンはどこでしょうか。今井 自分がコンテ・演出をやらせていただいた第九話のドルーシ VS 魔獣のアクションシーンです。第九話あたりからだんだんアクション要素が増えてくるんですが、そこを狙って、八田監督と岡田プロデューサーが僕に第九話を振ってくれました。
コンテの段階では誰がやってもある程度のレベルになるよう、ちょっと抑え気味に描いていたんです。それがあれだけ迫力のあるシーンになったのは、自分がお声がけさせてもらったエキスパートの作画さんたちがリレー形式であそこのシーンをやっていただけたからなんです。
打ち合わせの場では作画さん側から「こんな風にしたらどうですか?」とたくさん提案していただいて、それをどんどん取り入れていったので、自分のコンテ以上のアレンジが加えられ、かなり見ごたえのあるお気に入りのシーンとなりました。
(C)十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会