現在放送中の『王様ランキング』が、いよいよクライマックス直前! 盛り上がるストーリーに併せて、アクションシーンもさらに激しさが増している。
アニメージュプラスは、かわいい絵柄で描かれる激しくカッコいいアクションがいかにして生まれたのかに注目、キーマンとなる監督・八田洋介さん、キャラクターデザイン/総作監・野崎あつこさん、副監督・今井有文さんへのインタビューでその魅力の秘密に迫った(全3回)。
第2回目となる今回は、『進撃の巨人』シリーズでアクション作画監督を務め、立体機動シーンを担当したことでも有名な、『王様ランキング』副監督の今井有文さんへのインタビューを掲載。自身がアクションシーンを手掛ける際のこだわりや、印象的なシーン誕生の裏側を語ってもらいました。
【参加のきっかけは監督・八田さんからの誘い】――『王様ランキング』に参加された経緯からお聞かせください。今井 監督の八田(洋介)さんにお誘いいただいたのが、きっかけです。八田さんとは、TVアニメ『ワンパンマン Season1』のときに一緒のスタジオで作業していて知り合ったんです。その4~5年後に「映画『ドラえもん のび太の新恐竜』の原画をやりませんか」とお誘いを受けて、久しぶりにお会いした際に「次、なにされるんですか?」とお聞きしたら「『王様ランキング』っていう作品の監督をやるかもしれないんです。今井さんも一緒にどうですか?」と声を掛けてもらいました。
そのタイミングではじめて原作を読ませてもらったら、すごく面白くて。八田さんとは同い年なこともあって、「八田さんが監督をされるのであれば、知り合いだし、やりとりがしやすそうでありがたいな」と思い、参加させていただきました。
――そうだったんですね。本作で今井さんは副監督、コンテ、演出、作監、原画と様々な役職を兼務されていますが、これは参加当初から決まっていたのですか?今井 これまでの作品には作画として参加してきましたが、演出方面にも興味がありまして。そのことを最初にプロデューサーの岡田(麻衣子)さんにお話したところ、「演出だけでなく、副監督もどうですか?」と言っていただきました。なかなか経験できるチャンスもないですし、監督が八田さんだということも後押しになり、副監督を引き受けました。
それと同時に原画もやりたいと思っていました。副監督業とコンテ・演出業に加えて原画をやるとなると、全体のスケジュール的にもけっこう厳しくなるんですけれど、自分のわがままを通していただいて、結果いろんな役職を並行してやるという形になりましたね。
――ということは、今井さんが原画を担当されているシーンは、今井さん自身が「やりたい!」と思ったシーンなのでしょうか?今井 基本はそうですね。ただ自分がコンテ・演出を担当した第九話、そして演出を担当した第十九話はどうしても担当者が埋まらないなどといった現実的なところをクリアするために担当した感じです。
――第一話のダイダ VS ドーマスのチャンバラシーンは今井さんがご担当されたそうですが、それ以外でご担当されたシーンを教えていただけますか?今井 第二十一話は、ボッジ VS 巨大なボッス王の幻影のシーンを3カットだけ担当しました。自分が担当したのは、ボッジが木の破片が舞っている空中に放り出されて、そこにボッス王がこん棒を振り下ろして、ボッジに当たっちゃうかどうか、というところですね。演出の御所園(翔太)さんが3Dソフトのblenderを使える方だったので、3Dを教えてもらいながら作業しました。
――印象的なシーンですね。他もやはりアクションをメインに手がけられたのですか?今井 いえ、そんなこともないですよ。第九話はダイダが闇の中に閉じ込められて、精神をやられてグニャグニャ変形するシーンでした。
(C)十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会