中川翔子『君のまんまが　いいんだよ』は自己肯定感アップの魔法の歌

中川翔子が歌う劇場アニメ映画しまじろう『しまじろうと　キラキラおうこくの　おうじさま』（2022年3月11日公開）の主題歌『君のまんまが　いいんだよ』が3月9日（水）に発売された。

本アニメでは、初の母親役となるキラキラ王国のエメラルダ女王を演じている。歌手や声優、クリエイターなど幅広いジャンルで活躍し、今年でデビュー20周年を迎える中川翔子に、ヒャダイン（前山田健一）が作詞作曲を手掛けた21thシングル『君のまんまが　いいんだよ』やカップリング曲について詳しく聞いた。

――『君のまんまが　いいんだよ』が、劇場アニメ『しまじろうと　キラキラおうこくの　おうじさま』（3月11日公開）の主題歌として流れることについて感想をお願いします。
中川　しまじろうとは、5月5日生まれの同じ誕生日なんです！　昔「こどもちゃれんじ」もやっていたので、しまじろうの映画に関わることができたのは「運命キタ！」という感じです。この前、映画の完成版を観たのですが、これは泣きの映画ですね。子どもたちは、何かを感じることで大きく成長する瞬間があると思うんですが、そんな心が成長するキラキラとした物語で、大人にとっても褒めてあげることの大切さに気付かされる映画です。誰かに褒められると「もっと頑張ろう」ってなりますよね。そして主題歌が流れるシーンと歌詞がピッタリだったので、私自身も感極まってしまいました。この映画がファーストシネマになる子にとっては、一生忘れられない作品になると思うんです。この歌は自己肯定感がアップする魔法の歌なので、大人になってから主題歌を聴き直して「こういう意味だったのか！」と思えるような、ずっと人生に刺さるような映画の主題歌を担当させていただけて嬉しく思います。

――本当にいいタイミングで『君のまんまが　いいんだよ』が流れますよね。
中川　泣いちゃいますよね。劇中では1番が流れて、エンドロールではワンハーフが流れるんですが、歌詞の聴き比べがグッときます。歌詞の「命がきらめく それだけで大丈夫」というところが大好きなんです。辛いことや理不尽なことはたくさんありますが、人に褒めてもらえると、また頑張れたりしますよね。でも、心の中で葛藤しながら自分ひとりで乗り越えないといけないこともたくさんあるので、「鏡に映る姿にちょっと笑いかける それだけで世界は変わるから」という歌詞のように、ちゃんと自分を愛してあげることも大事なんだと思います。子どもだけでなく大人にとっても、すごく刺さる歌を作ってくれたヒャダインさんは、本当に天才だなと思います。

――ヒャダインさんからアドバイスやコメントなどはありましたか？
中川　ディレクションが優しくて、母性というか誰かの背中を押せる優しさ。「翔子ちゃんはそれができるから大丈夫」と褒めてくれたり、本人にしかわからない言い方で、端的に言ってくれたりするので、毎回感激しています。ヒャダインさんってエスパーみたいな……。以前も、私が大好きな作品の主題歌を歌ったときに「私が歌っていいのだろうか」と思っていたら「もう迷わず、ちゃんと翔子ちゃん節があるから、大丈夫だから」と言っていただけて、やっぱり褒めてくれるって素晴らしいですよね。

――褒めるって大切ですね。
中川　この前、楳図かずおさんのインタビューを見ていて印象的だったのが、「漫画を描き続けていて、ダメ出しはされるけど、誰にも褒められない時間が続いていたから、描くのをやめてしまったんです」と仰っていて、私ならずっと褒め続けていられるくらいすごい方ですが、本人の中では孤独な戦いだったのかなと思いました。でも、海外で賞を授与されたことで、もう一度自信を取り戻し、また絵を描くようになったと聞いて、楳図かずおさんのような天才でも、迷うことがあるのだと思うと、子どもたちにはありったけの語彙力で褒めてあげたいと思いますね。私も絵を描き続けられたのは、誰かが褒めてくれたからだと思うんです。それがすごく大切なビタミンなんだと、この映画を観て思いました。

――エメラルダ女王として初めての母親役ですが、どのように演じましたか？
中川　ついに母親役！　いままで母親役は演じたことがなかったので、すごくワクワクしていました。母親なので、大人にしようと考えすぎると、すでに自分も大人なので、実年齢からさらに年齢が上がってしまうんです。だから考えすぎないでシンプルに。でも、優しさと包容力を出すことを目指して演じました。フォルムチェンジした役を演じたのも楽しかったです。お母さんと全然違う声なので気づかない人もいるかもしれませんね。いろいろな年齢にも、生き物にも、大きさもなれるので、声のお仕事ってとても楽しいなって思います。