• 『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』に込めた特撮映画への思い
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2022.03.04

『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』に込めた特撮映画への思い

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2021


――なるほど! 確かに原作の『のび太の宇宙小戦争』も、特撮作品へのこだわりが感じられる作品でしたからね。

山口 スネ夫のミニチュアに関しては、小学生が自主製作の特撮映画用に用意したものですから、あえて部分的にディテールを抜いてもらう方向で作ってもらいました。先ほどの話にもつながりますけど、昨今のアニメ作品の絵作りはどんどんデコレイティブになっていますが、それは『ドラえもん』の目指すところではないと思います。
例えばクジラ型宇宙戦艦はCGなので、やろうと思えば表面処理もコテコテのものができるんです。しかし「CGだから情報量を増やそう」とならないよう、全体的な情報量の配分にも気をつけたつもりです。

――『映画ドラえもん』は、毎回主題歌も大きな話題を呼んでいます。本作はOfficial髭男dism『Universe』で、これもまた名曲ですね。

山口 前作の『のび太の宇宙小戦争』における武田鉄矢さんの主題歌『少年期』の存在の大きさは言うまでもありませんが、それに勝るとも劣らないと思っています。ヒゲダンさんのピアノの前奏を聞いた時点で、成功だったと確信できましたから。自分はアニメーターの延長として演出をやっていますので、音楽とか、主題歌、挿入歌、ゲスト声優さんを含めて、ある程度は音響監督さんたちに委ねるしかないわけですけれど、皆さん良い仕事をしていただいて、つくづく自分はラッキーだなと思います。

――ビリー・バンバンの挿入歌『ココロありがとう』はピリカ星への潜入前夜の場面で流れ、とても場面にマッチングした曲になっていましたが、あのシーンで流すことを前提に作詞などを依頼されたのですか?

山口 ビリー・バンバンさんの起用は製作プロデューサーからのお願いがあり、作業の途中で仮歌をいただきました。本作の作業中は思い通りにならないことばかりで荒んでいたんですが、ビリー・バンバンさんの歌声を聴いた時すっかり心が浄化されました。一時的にですが(笑)。

さらに、曲に引っ張られる形で「ドラえもん、のび太、ジャイアンが特殊任務を帯びて、しずか、スネ夫と別れるシーンに入れられるんじゃないか」と思い付いて、その場面のコンテを膨らませてみたんです。結果、流れにメリハリもついて良い感じになったので、そのまま決定しました。

――『のび太の宇宙小戦争 2021』は1年間の延長を経ての公開となり、ファンにとってはまさに「待望の一作」になります。山口監督も同じ気持ちではありませんか。

山口 はい、自分が一番待ち遠しかったかもしれませんね(笑)。待望の『映画ドラえもん』を監督させていただきながら、完成したとほとんど同時に新型コロナの影響で公開延期になりましたから。「もしかして、映画が完成したこと自体が夢の中の出来事だったんじゃないか」と思うくらいの心境でしたが、やっと公開の日を迎えられてとても嬉しいです。

恥じらうことも臆面もなく、少年少女たちの友情や冒険を真っ向から描こう、観た後で「自分も頑張ろう!」と思ってもらいたいという気持ちで作った作品です。どうか旧作が好きな人も観ていない人も、原作が好きな人も何も知らない人も全部ひっくるめて、新たな気持ちで21世紀の『のび太の宇宙小戦争』を観ていただいたら嬉しいです!

――ありがとうございます。何度でも堪能したいと思います!

>>>スタッフのこだわりにも注目!『のび太の宇宙小戦争 2021』場面カットを見る(写真12点)

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2021

アニメージュプラス編集部

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