• 『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』監督が明かす「夢の5カ年計画」
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2022.03.03

『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』監督が明かす「夢の5カ年計画」

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2021

3月4日より『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』がいよいよ公開! 3年ぶりに春の公開となるシリーズ最新作は、ファンの間で強い人気を誇る『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争』(1985)を再映画化したものだ。
もちろん単なるリメイク作品ではなく、佐藤大が手がけた新たな脚本、3DCGで描かれる宇宙船バトルなど、様々な面で新たな取り組みがなされた必見の1作となっている。

本作公開を記念して、『映画ドラえもん のび太の月面探査記』演出を経て今回シリーズ初監督を務めた山口晋監督インタビューを掲載(全2回)。前編である今回は『ドラえもん』との出会い、そして監督起用までの経緯などを伺った。

――山口監督と藤子・F・不二雄作品との出会いはいつ頃どんな形だったのでしょう?

山口 僕は1967年生まれですので、藤子・F作品は小学生の頃から読んでいました。『コロコロコミック』が創刊して、『ドラえもん』が再注目されてアニメ化、そして『のび太の恐竜』が映画化……というどんどん盛り上がっていく過程を小学校の高学年にリアルタイムで体験した世代です。

――ではやはり『映画ドラえもん』は念願の監督作だったわけですか。

山口 ええ、念願でしたね! 僕は作画畑出身なんですが、昨今では映像の情報量を増やして増やしてという傾向があって、そのままの方向で突き詰めて行ったら、この先どん詰まりに来てしまうんじゃないかな、という疑念が常々ありました。
これは作画的に楽をしたい、ということだけではなくて、自分の中には基本として宮崎駿さんの『未来少年コナン』(1978)があって、そういうシンプルな絵で動きを楽しませることがアニメーションの本質じゃないか、と。そんな思いも含めて、いつか『ドラえもん』の映画を作りたいと思っていたんです。

50年も作品が続いていること自体が奇跡ですし、そこに自分も是非参加させていただいて、ちゃんとした予算とスケジュールでしっかりした劇場作品を作る――若き日の宮崎さん、大塚康生さんなんかが腕を振るっていた頃の東映動画路線の「漫画映画」を自分もやれればなぁ、というのがアニメの仕事を始めてからの夢のひとつでした。

――なるほど、言われてみれば『ドラえもん』を制作しているシンエイ動画は、『ど根性ガエル』や『ルパン三世』第1シリーズ(1971~1972)を作ったAプロダクションの流れを受け継いだスタジオですしね。

山口 『ドラえもん』の監督もされていた芝山努さんは、僕にとってのヒーローアニメーターのお一人です。『ど根性ガエル』や『新オバケのQ太郎』のオープニングような作画でやれると良いのに、といつも思っています。キャラが脚を高く上げて気持ちよく走ってくれれば、それだけでアニメっていうのは楽しいものになるんじゃないのかな、と。

――今回の『のび太の宇宙小戦争 2021』でも、しずかちゃんがクジラ型宇宙戦艦から走って逃げだすカットなんかにそうした小気味良い動きの魅力が現れていましたね。では、今回の作品で初監督を務められた経緯をお聞かせください。

山口 以前は作画のみで参加していたんですが、オーバーですけれど「死ぬまでに一回は『映画ドラえもん』を作ってみたいな」と思い立ちました。そこで一念発起して自分の中で「五カ年計画」と銘打った行動に出たんですよ。

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2021

アニメージュプラス編集部

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