• 『ヤマト2205』主役と監督が語り合う『新たなる旅立ち』/小野大輔×安田賢司SP対談
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2022.02.05

『ヤマト2205』主役と監督が語り合う『新たなる旅立ち』/小野大輔×安田賢司SP対談

小野大輔/撮影=荒金大介


★安田監督の新しいヤマト★

安田 それにしても、難しいキャラクターですよね、古代は。今作では、もちろん主役のひとりではありますけれど、セリフ量はそれほど多くなくて。

小野 ああ、確かに。

安田 ちょっとしたリアクションであったり、絵の話になりますが、目の芝居みたいなものも多かったりして。感情をあまり出さない抑えた芝居、内に込めた芝居が多くて大変だっただろうなと思います。

小野 そこもあらためてお聞きしたいのですが、今回は表情で見せるところが多かったじゃないですか。ともすれば、息さえ入れなくても絵だけでわかる。ああいう表情の芝居を、安田監督は意識的にやられていたんですか? セリフで言わずとも、という演出というか。

安田 今回はもちろんドタバタしている作品ではないですし、大人同士が会話をするというところですね。たとえば古代と雪のシーンなどは、微妙に噛み合わないところもあるけれど、お互いの考えていることはわかるという雰囲気で。雪が古代をチラッ、チラッと見ているんですよね。その顔の向け具合だとか、目の伏せ具合といったセリフではないところでの感情や関係性の表現には気を遣いました。特に今回の古代と雪はそれぞれ艦長にもなったし、大人のカップルというムードは出していければと思っていました。

小野 そうなんだ……。安田監督が手掛けたことによって生まれた今回の『2205』の特色って、僕はそこだと思っていて。感情の機微が表情でわかると感じるんですよ。相手がしゃべっている時に、聞いている側の口が少し開いたり、目を伏せたり、そういうところが非常に細かく描かれていて、あらためて意識して観ているとグッとくるんです。「ああ、今、堪えているな」とか。普通なら止め絵でもいいんじゃないかなと思うところでも、かなり動かしていますよね。

安田 そうですね、派手なアクションがない分、普通にやってしまうと口パクだけの紙芝居になってしまうところもあるので。ちょっとしたリアクションーー無駄に動かす必要はないんですが、動かせるところはやったほうがいいのかな、と。それから、シーンごとのロケーションというかライティングなどにもこだわりました。撮影の際にライティング、影の入れ方とか、室内の明るさ/暗さとか、そういったところでもキャラクターの感情がわかるようなシチュエーションを用意することを、なるべく心がけて。

小野 ああ……なるほど!

安田 そういった部分は自分でも、まさにご一緒した『豚骨ラーメンズ』や『ソマリ』を経たことで考えるようになったんです。『豚骨』はサスペンス色を強めにしたりとか。あとは、キャラクターの服装がアニメっぽくなかったので、絵が地味になってしまわないように、情報量を増やしてみたり。今回『ヤマト』に関しても、そういった雰囲気を加味していければ、新しいものが出せるかもと思っていました。そういった意味では、そのあたりがこれまでのリメイクシリーズとは少し雰囲気が変わったところかもしれないですね。

小野 へえ、おもしろい! 聞いてみるもんだなぁ……(笑)。

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会

アニメージュプラス編集部

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