• 『オッドタクシー』プロデューサーが語る作品の魅力や制作の裏側
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2022.01.26

『オッドタクシー』プロデューサーが語る作品の魅力や制作の裏側

(C)P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ


◆全特典を製作するのは想定外!? ドリームを掴んだ「Blu-ray BOXプロジェクト」!

——そして、アニメ市場で稀に見る成功例となった「Blu-ray BOXプロジェクト」。こちらを立ち上げたきっかけというのは?

伊藤 2021年5月後半くらいに『オッドタクシー』の機運が高まっているのを感じて。予定はなかったけど、Blu-ray BOXを出したほうがいいかな、であればクラウドファンディングみたいなことがいいかなと思い、みんなで話し合い立ち上げました。300セットの受注まで何ヵ月もかかると思っていたのに、最終回の盛り上がりを受けて受注開始日には到達し、無事にリリースできることになりました。

——作品のファン層はどのような感じなんですか?

伊藤 Blu-ray BOXの受注で見ると、男女比はほぼ半々で20代から30代が7割。その中でも20代前半が多くて、パッケージビジネスとしてものすごく珍しい作品だと思います。おそらく、各SNSで発信していたことで、作品の本質に惹き込まれた人がいろいろなところにいたんだなと。年齢や性別などのターゲットを絞った宣伝はしませんでしたが、そのおかげで全方位にコツコツと展開して良かったなと改めて思います。この作品が好きそうな人がいそうなところへ宣伝を投下した効果が出たと思います。

——ポニーキャニオンでこういったプロジェクトが成功したのは初ですか?

伊藤 僕の知る限りですが、Blu-ray BOXの受注生産方式では珍しいです。当社には、セールスソリューション本部が手掛けるアニメ通販サイト「きゃにめ」があるので、アニメファンへダイレクトに情報発信ができるのも強みで。Blu-ray BOXの前から特設サイトを立ち上げ、TシャツやNEW ERAとのコラボキャップなどのグッズを販売していたので、『オッドタクシー』のコアファンへの導線、下地も出来ていたのだと思います。そこで、Blu-ray BOXの受注もするというストーリー性のある展開も良かった点ですね。

中沢 そうですね。「きゃにめ」チームには、特設サイトの設置から、「きゃにめ」内でのバナー展開などだいぶ力を入れてもらいました。


——部署間での “共創” がプロジェクトの成功に繋がったんですね。ちなみに、木下麦監督は「当初は3000セットを手の届きそうにない高い目標」と語っていましたが、相当ハードルが高かったのですか?

伊藤 僕と中沢、原作のP. I. C .S. さんと達成特典のアイディア出しをしていたのですが、当初2000から3000セットの間は細かく設定していなくて(笑)。

中沢 あとから、2500セット特典を追加しました。Blu-rayでも3000枚売れればヒットという状況なので、BOXでは難しいかなと想定していたんです。

——となると、6038セットというのはすごい数字なんですね。

伊藤 本当にとんでもないです(笑)。

中沢 3000セット特典の小戸川フィギュアは、木下監督がずっと作りたいとおっしゃっていたので、ドリームとして設定していました。

——最終的には、4400セット特典まで設定されましたが、内容を決めるのも大変ですよね。チープすぎても、コストが上がりすぎても駄目でしょうし。

伊藤 意外とノリで決めていきました(笑)。でも、購入した方が手にしたときに喜んでもらえるものにしよう! という意識はしていました。

——この結果に対しては、どんな気持ちですか?

中沢 受注期間が9月30日までで、27日に3000セットだったのが、最終日には倍に膨れ上がったことにビックリしました。Twitterでの盛り上がりもすごくて、3000セットや6000セット達成時のツイートには2400から3000いいねがついたりと嬉しかったです。

伊藤 そうだね、締め切り1週間前くらいから高揚感がありました。最終日はP. I. C. S. の方含め、グループでやり取りしていたんですけど、23時59分ギリギリに「6000セット達成しました!」と連絡があり、「おぉー!」と盛り上がって、なんかかけがえのない経験が出来ましたね。


——想像しただけで手に汗を握りますね。ちなみに特典は製作中かと思いますが、現状の出来栄えが良いとか、出来上がりが楽しみなアイテムというと?

中沢 「描き下ろしスタッフアートブック」は木下監督はじめ、豪華スタッフ陣によるイラストなんですけど、ネタバレありきで描いていただいているので、作中では見られない特別な絵柄になっています。

——うわっ、それは気になりますね!

中沢 「キャラクターソングEP」には5曲が新規収録されるんですけど、バリエーション豊かでキャラクターに合った楽曲に仕上がっていて。あと、「オーディオコメンタリー」は全話に入れようと思っています。花江夏樹さんや斉藤壮馬さん、ミキさんなど豪華キャスト&スタッフ陣が出演されるので聞き応え抜群かと。

伊藤 受注が終わってからの動き出しだったので、キャスト陣のスケジュール進行などがとても大変でした……。

中沢 全特典を製作することになるとは思っていなかったですから(笑)。


——そんなBlu-ray BOX、ファンの間では再販が熱望されています。そういう予定はあるのでしょうか。

伊藤 立体物がある商品なので、残念ながら再販の予定はないです。ただ、キャンセルなどで在庫ができた場合には、少しでもファンの方に手に取ってほしいので、何かしらの機会を作りたいと思っています。

——では、日頃から『オッドタクシー』のSNSをチェックしないとですね。また、伊藤さんは、4400セット受注達成を記念したWEBラジオ「ODDTAXI RADIO~今いい感じなんです~」にパーソナリティとして出演中です。

伊藤 ゆるりとやらせていただいています。台本は天津・向さんに作っていただいて、フリートークについては日々SNSをエゴサして、ネタ帳にまとめていたりします(笑)。

——第2回では、作中にちなんでカポエィラの先生を呼んで、ラジオなのに実技を披露してもらったりと、企画力が素晴らしいと思いました。

伊藤 僕とP. I. C. S. の平賀大介さんというサラリーマンのプロデューサーがやるからこそ、他ではなかなか出来ないおもしろい企画をやっています。あと、先ほどのBlu-ray BOXについて、こちらでもお知らせしたいと思っています。

>>>場面カットほかを全て見る(写真8点)

(C)P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ

アニメージュプラス編集部

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