• 『機動戦士ガンダム00』が照らし続ける「終わらない戦いの連鎖」
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2022.01.20

『機動戦士ガンダム00』が照らし続ける「終わらない戦いの連鎖」

(C)創通・サンライズ


ファーストシーズンでは「ガンダムによる平和のための武力行使」に対する世界三大国家群の戦力が共闘する形で国連軍へと発展。さらにソレスタルビーイングの監視者・アレハンドロの裏切りでガンダムを稼働させる「GNドライヴ」の技術が国連軍に漏洩、ガンダム殲滅作戦が展開されて、大きな打撃を受けたソレスタルビーイングのメンバーは離散することとなる。
続くセカンドシーズンの舞台は、ファーストシーズンから5年後となる2307年の世界。各国家郡は地球連邦として統一が果たされつつあったが、強大な権利を与えられた地球連邦政府直轄の独立治安維持部隊「アロウズ」により反連邦勢力にみなされた人々は非人道的に弾圧され、人々はまだ真の平和を手に入れられずにいた。

セカンドシーズンにおいて新生ソレスタルビーイングが敵対するアロウズもまた、現実世界の「無くならない戦争」を象徴した存在だ。世界平和を謳いながら主義思想が異なる者を容赦なく武力で弾圧し、イノベイターが画策する「統一した世界」を作るための組織として活動する様は、現在中国政府がチベット自治区や香港に、またロシアがカザフスタンに行っている弾圧をいやでも想起させるではないか。

世界を一つにまとめるための行為が平和へとダイレクトに繋がらない皮肉。『ガンダム00』は残酷な現実を観る者に突きつけてくる。しかし、本当に希望はないのか。
再び集結したソレスタルビーイングの生き残りメンバーは反連邦組織「カタロン」と合流、「人類を管理する」という新たな構図、そして世界の歴史に裏から干渉してきた「イノベイター」の存在に迫る戦いを展開。今回放送される『スペシャルエディションIII リターン・ザ・ワールド』は、物語の大きな転回点となる「ブレイク・ピラー事件」を経て、人類の未来を賭けた最終決戦へと向かっていくことになる。

『ガンダム00』は、ガンダムマイスターたちが乗り込むガンダムをはじめとしたモビルスーツによる熱い戦闘シーン、キャラクターたちが織りなす深い人間ドラマなど「リアルロボットアニメ」としての魅力を存分に楽しめるエンターテインメント作品である。しかし作品を俯瞰して見れば、思想・国・人種といった様々な要因で起こる戦争、対立する理想と現実というリアルが横たわっていることに気づくことだろう。時を経てなお『ガンダム00』が観る者の心を打ち続けるのは、世界がまだ平和になっていない証なのだ。

>>>『機動戦士ガンダム00スペシャルエディションIII リターン・ザ・ワールド』場面カットを見る(写真16点)

(C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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