• 『永遠の831』神山健治監督がタイトルに込めた思い、本作の魅力を語る
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2022.01.14

『永遠の831』神山健治監督がタイトルに込めた思い、本作の魅力を語る

(C)神山健治・CRAFTAR・WOWOW/「永遠の831」WOWOW


Q.本作は神山監督が代表を務められているCRAFTAR制作で、「モーションキャプチャー」を使用したセルルックの3DCGアニメです。これまで多くのCGアニメーションを手掛けられてきましたが、本作でのセルルックの3DCGの有効性やみどころを教えていただきたいです。
クラフターはアニメーションスタジオを起こしてから、ずっとセルルックを突き詰めてきたスタジオなので、セルアニメが持っている良さや、3Dでやることで一度作ってしまえば汎用性がすごい高いということがあって。アニメーターのスキルに縛られないので、それを落とし込んでいったときのアニメーション自体の快感っていうのは、同じ3Dでもセルルックのほうがあるのかなと思います。
今回は題材が割とリアルなので、アニメの画で表現するからこそ見えてくる暗喩もあると思っていて、それをうまく落とし込めている気がしますね。

Q.新しい要素は強いですか?
そうですね、3Dのアニメって答えがないというか、表現は手書きのアニメに比べたら圧倒的に幅が広いので、どういうルックにするかは毎回テーマではあるんですけど、スタッフも自信を持っている、クラフターが培ってきた部分なので、そこをフルに生かすっていうのが今回のルックの落としどころだったかなと思います。

Q.その技法を用いた “時を止める” というテーマのアニメーションの見どころは?
基本、日本のアニメってリミテッドアニメーション3コマ、1秒間に8コマなんで、止まっているコマが長いわけですよね。アニメのなかで動きが止まっていることが、決して表現として新しいわけではないし、モーションキャプチャを使うと、フルアニメになっている。フルアニメであって、3Dアニメであるがゆえに “時間が止まる” っていうことに意味を持たせられるし、明確に表現できる良さがありましたね。

Q.スズシロウ役の斉藤壮馬さん、なずな役のM・A・Oさん、亜川役の興津和幸さんら声優の方々とのアフレコを終えての印象を教えてください。
選ぶ段階で彼らが持っている声に僕が描きたいキャラクター性がのっているはずだという、確信をもってキャスティングをしてるんですけど、それを超えて彼らなりにキャラクターを理解してくれて。最初の演技でそのキャラクターになってる感じが第一声から出ていたので、彼らを選んで良かったと思うし、彼らがそもそも持っているポテンシャルが作品に機能していると思いましたね。

Q.演者さんに指示する際のこだわりや気を付けていることはありますか?
演者さんが出してきたものって、よっぽどずれてなければ、僕が想像している以外のものもあるわけで、そういうものを拾っていきたいという意識でやっていますね。斉藤さんは僕の説明が自分のなかで落とし込めないうちは絶対にやらないところがあって、彼は考え抜いているからこそ、納得がいかなければ試さないのが新鮮で、彼が自分の中で作ってきているものをなるべく拾おうと思いました。彼とのセッションを僕は楽しんでいました。

Q.なずなを演じさせるうえで気を付けたこと?
なずなは、声質の段階で疑いはなかったので、あまり作りこむことで芝居っぽいものが全面に出ないように、1テイク目でいきたいというイメージでやりました。1テイクで出てくる手探り感や新鮮さをなるべくそのまま捕まえときたくて。なので、M・A・Oさんにはたぶんあまり指示を出してないと思います。

Q.社会に翻弄されている若者をはじめ多くの人に響く作品だと思います。どのような人たちに、見ていただきたいですか。また、最後にみどころを教えていただきたいです。
主人公のスズシロウと同世代の人にもみてほしいし、僕と同世代の、ある意味諦めている世代がみたときに、なにも感じないのか、まだ諦めちゃいかんなと思うのか、その辺をどうとらえるのか楽しみではありますね。世代によって見え方が全然違うと思うので、どういう風に見えるのか、どういう感想を持ったのか聞いてみたいです。

>>>インタビューの様子を見る(写真4点)

カメラマン:中川容邦

(C)神山健治・CRAFTAR・WOWOW/「永遠の831」WOWOW

カメラマン:中川容邦

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