――コロナ禍での収録になりましたが、アフレコは個別だったのでしょうか?三木 僕の場合は、バディとなる尊役の榎木(淳哉)君と毎回一緒にさせてもらっていました。この作品ではアフレコブースに4人迄なので、シーン毎に人が入れ替わりながら収録する感じですね。
――榎木さんとの掛け合いで何か印象に残っていることはありますか?三木 ちゃんとセリフのやり取りになっているなと思います。アフレコではボールドという「今はこのキャラクターが喋っていますよ」と教えてくれる看板が出て、その間に喋るんですが、彼は必ずしもそのタイミングぴったりで喋らないんですよね。まあ、お互いなのですが。気持ちで喋っているから、ボールドの指示とはちょっとズレてきたりもするんだけど、それは相手の言葉をちゃんと聴いているからそうなるんです。そういう意味で、きちんと会話が成立しているなって。
――三木さんも榎木さんに合わせて、相手から出た言葉を受け取っていくんですね。三木 会話は相手がいて成立することなので。コロナ禍の状況でも二人一緒に録れるように、色々と皆さんが大変な調整してくださっているので、家でゴリゴリにイメージを固めてきた上で自分の我儘だけで独りよがりなセリフを吐くのは違うよな、と。二人のやり取りの中で生まれたものの方が絶対に良いし、そういった意味での柔軟さは持ち続けていたいなと思うんです。
――お互いを信頼しているからこそのやり取りですよね。三木 それこそ彼とはダブルスで一つのシャトルを追いかけていく仲間なので、そういうところの信頼関係がないと、聴いている人にもバレると思いますし。そういう意味では、今のところ僕らはちゃんと出来ているんじゃないかな? そう思いたいです(笑)。
▲暑苦しいまでの熱意をもって尊の仕事とバトミントンをサポートする建。
――そういった榎木さんとのやり取りの中で、印象的なことはありましたか?三木 元々尊自体が声を張るような役ではないのですが、何か彼の内面に触れた時には、榎木君も遠慮なく声を出してくるところは、失礼な言い方ですけど、凄く好感がもてます。ちゃんと役に向き合っているんだな、と。榎木君は自分を見せたいんじゃなくてお芝居をしたい人なんだなって分かるんです。もしかしたらそれが彼の手で、僕はまんまと術中に嵌っているのかもしれないけど(笑)。
――お二人のやり取りに対して、監督からも特に指摘はなく?三木 お芝居に関しては彼も僕もそんなに指摘は無かった気がします。ビックリしたんですが、一話の最初のテスト時からお芝居的なダメ出しが一切無かったんです。それは、僕らをオーディションで選んでくれた方達のバランスのとり方が良かったからだと思いますが。とはいえ、もちろん全く無い訳ではないですよ? 人間だもの(笑)。
――(笑)。お二人のやり取りがますます楽しみになりました。では、榎木さん以外のキャストの印象はいかがでしょうか。三木 コロナ禍もあるのであまり一緒になったことがなくて……。でも自分は先輩の役だから、一応全体のバランスをとらなきゃと思って、一話の全員分の音声が入ったデータをいただいたんです。それを聴いたら、それぞれのキャラクターが個性的で。自然と戦隊ヒーロー物みたいなキャラの棲み分けができていました(笑)。
――一緒に収録が出来ないのは大変そうですね。三木 例えば「先に録った者勝ち」みたいなところがあるんですよ。飲み会のシーンなんかで「お前、変なこと言うなよ」とか先に言ったら、後から収録する人はその変なことを考えなきゃいけない。早く一緒に録れたらいいなと思いますけれども、それを差し引いても良い作品に仕上がっていると思いますよ。
――では最後に、三木さん的『リーマンズクラブ』の見どころを教えていただけますか。三木 今までに世に出ていた作品とは、違う雰囲気のものになると思います。見どころは全部ではあるんですが、強いて言えば、「実業団選手の裏側はこうなんだ」っていう見方をさせてくれるところですね。バドミントンの美味しいところだけを提供する訳ではなく、彼らが社会人として生活している部分もきっちり描くどこかドキュメンタリータッチな部分もあるんです。シナリオはすごく練られていて、伏線もいっぱい張られていて、回が進む毎に何度も最初から観直せるような楽しみ方ができる作品になっています。結構色々なことが起こるので、油断せずに彼らを追いかけていただけたらと思います。
あ! ひとつ注意していただきたいのは、ちゃんと『リーマンズクラブ』と読んでくれということですね。リーマンズ「ラブ」ではないですからね(笑)。くれぐれも『リーマンズクラブ』でお願いします。ひとつ楽しみにしておいていただければ。
>>>三木眞一郎さんのアナザーカット、『リーマンズクラブ』宮澄建の場面カットを見る(写真9点)(C)Team SMC/サンライトビバレッジ広報部