• 2022年注目の新作アニメはこれだ!【藤津亮太スペシャル対談】
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2022.01.01

2022年注目の新作アニメはこれだ!【藤津亮太スペシャル対談】

劇場アニメーション『犬王』 2022年初夏、全国ロードショー (C) “INU-OH” Film Partners

数多くのアニメ作品が放送・上映・配信された2021年。そこにはどんな注目作があったのか、またアニメ界の今後を占うどんな動きがあったのか――アニメ評論家・藤津亮太さんとアニメージュプラス編集長・治郎丸が1年のアニメシーンを振りかえり、2022年への期待を語った対談を全3回で掲載する。
年明けを迎えた最終回は2022年期待の新作アニメ、そして2021年の藤津さんの仕事を振り返ります。

編集長 藤津さんが2022年に期待しているタイトルは何ですか。

藤津 まず第34回東京国際映画祭で先行公開された『犬王』と『グッバイ、ドン・グリーズ!』。これは剛速球の2作です。
『犬王』は湯浅政明監督の新作で、キャラクター原案は松本大洋、音楽が大友良英という布陣だけでもヤバさが伝わりますね。この作品に一番近い映画は『ボヘミアン・ラプソディ』だと思っていて。

編集長 ええっ、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーの伝記映画に、ですか? まだ拝見していないんですが、もしかして「ドンドンパッ」みたいな展開があったりするんですか。

藤津 実際そういうリズムがストレートに出てくるところもあります(笑)。『マインド・ゲーム』を彷彿させる音と映像の実験的な描写もあるし、キャストのアヴちゃんさん・森山未來さんも実にハマってて。これが山田尚子監督の『平家物語』と双子の企画だっていうのが本当に凄いです。

『ドン・グリーズ!』はまだあまり情報が出ていないんですが、『宇宙よりも遠い場所』を手がけたいしづかあつこ監督×キャラクターデザイン・吉松孝博さん×マッドハウスの新作です。

編集長 いろんな意味を想像させる、不思議なタイトルですよね。

藤津 訳がわからない方が多いと思いますが、それがいいんです。ジャンルで言うと、ロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』を彷彿させる青春ロードムービーですね。
▲映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』2022年2月18日(金)全国ロードショー 配給:KADOKAWA  (C)Goodbye,DonGlees Partners

今回いしづか監督が脚本を書いたこともあるのか、全体に「演出家の仕事」を感じられるんですよ。基本的に夜の場面が多かったり、出てくるキャラはほぼメインの3人というすごくミニマムな話のはずなのに、スケールの大きさを感じさせる不思議な作品でした。この2作は是非映画館で観て頂きたいですね。

編集長 個人的には、磯光雄監督久々の新作『地球外少年少女』も気になっています。

藤津 こちらも一足先に拝見しましたが、面白いです。治郎丸さんに分かりやすく言うと、令和版『おいら宇宙の探鉱夫』(笑)。宇宙・ロケットクラスタの皆さんには響く内容になっています。
▲オリジナルアニメ『地球外少年少女』2022年1月28日(金)前編、2月11日(金)後編、新宿ピカデリー他にて各2週限定劇場上映。 (C)MITSUO ISO/avex pictures・地球外少年少女製作委員会

簡単にストーリーを話すと、月で生まれた子供たちと地球から来た子供たちが商業ステーションで出会うんですが、彗星の衝突事故に巻き込まれて宇宙でサバイバルしなきゃいけなくなる、という内容で、磯監督らしいAIの要素も見どころです。全6話がNetFlixで1月から配信されて、1~3話までを前編、4~6話までを後編とした劇場版も限定公開されます。

(編集部注)『おいら宇宙の探鉱夫』:1994~1995年に発表されたオリジナルビデオアニメ。人類が宇宙に進出した未来を舞台に描かれる飯田馬之介監督のジュブナイルSFアニメで、リアリティあふれる宇宙描写が話題となるも、全6話予定のシリーズは2話で打ち切りとなった。

編集長 他にも新海誠監督の新作『すずめの戸締り』、荒木哲郎監督の新作『バブル』など、2022年も刺激的な作品がズラリと並ぶ予感がありますね。

藤津 これから情報公開される作品もあるでしょうから、今後も楽しみが増えそうです。

アニメージュプラス編集部

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