『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所！

◎作品の記憶に思いを馳せながら…◎

ーーピアノプレイヤーとして「この演奏は自信がある」という曲はありますか？

澤野　自信があるかと言われると、どれも自信はないです（笑）。僕はピアニストではないので、ピアノのタッチとかそういうことを気にする方に聴かれたら、きっとけちょんけちょんに言われると思います。あくまで自分が作曲家として「この曲をこう弾きたい」と素直に弾いたものではあるので、そういう感覚で聴いてほしいなという気持ちではありますが……でも今回の収録曲の中だと、自信というのとはちょっと違いますが、11曲目の『from sunset to sunrise』というドラマ『タイヨウのうた』の曲は、自分が普段ピアノの練習をしたりする時になにげなく弾いてしまう曲なので、その場で譜面を見て「こう弾こう」というより、何回も弾いてきたことでこの音になったなという気がします。あとは15曲目『七つの大罪』の『EriOne$』を弾く時は、もうこのアルバムを出すことが決まっていたので、収録されることを意識して丁寧に弾いて、何回かテイクも重ねました。

ーー1曲目『scene』と16曲目『PIANO［-30k］-001』はオリジナル曲ですか？

澤野　オリジナルというか、原曲なしで本当にその場のアドリブで弾いた演奏です。そして19曲目『Silent Night』はクリスマスソング『きよしこの夜』のカバーです。僕はいい年をしてクリスマスが好で、クリスマスの時期になるとクリスマスソングをめっちゃ聴いているんです。その中でも特に『きよしこの夜』は大好きな曲で、自分でもいつかクリスマスの時期に弾きたいなと思い、2年前に-30kで弾きました。そして、アルバムの発売が12月になったので、収録しようと思いました。ちょっとクリスマスアルバムっぽい雰囲気も出たらいいな、と。

ーー最後に、アルバム全体としての聴き所、オススメポイント、こんな風に聴いてほしいなどのメッセージをお願いします。

澤野　真面目に言うなら、いろいろな作品から自分の中で思い出深い曲やターニングポイントになった曲をチョイスして弾いているので、それぞれの作品を観てきた方には、原曲があるからこそのイメージを膨らませて聴いていただきたいなと思います。ちょっとふざけたことを言うなら（笑）、比較的バラード調のおだやかな演奏を集めたので、通して聴くと眠くなると思うんです（笑）。だから、お休みのお供にしていただいてもいいかな、と。あらたまって「ピアノアルバムを聴くぞ」とか構えずに、「何となく聴いてみるか」とか、「今日は聴きながら寝よう」とか、気軽な感じで聴いていただけたらと思います。
澤野弘之
2005年より、ドラマ・アニメ・映画などの映像音楽 “劇伴” を中心として活動。
その他にもアーティストへの楽曲提供・ 編曲など精力的に行う。
アーティスト活動でもあるボーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki［nZk］（サワノヒロユキヌ ジーク）を2014年春より始動。
主な劇伴奏担当作品は『アルドノア・ゼロ』、『機動戦士ガンダムUC』、『機動戦士ガンダムNT』、『進撃の巨人』ほか多数。