• 『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所!
  • 『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所!
2021.12.23

『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所!

澤野弘之


◎思い入れ深い曲の数々◎

ーー原曲が使われた作品のひとつひとつにも、当然ですが思い入れが?

澤野 あります、あります。曲を聴きながら、その作品の世界観を思い出したり、「この曲を作った時はこんな感じだったな」といろいろな記憶とつながったり。原曲がいろいろな作品に使われているという状況があるからこそ、このCDも成立したと思いますし。聴くみなさんが原曲を知っているからこそ、ピアノでより感情移入してもらえるところもあると思うんです。そこはやはり作品のおかげだと思います。

ーー選ばれた曲を見ると、実写のドラマや映画の曲もありますが、やはりアニメ作品の音楽が多いですね。

澤野 意図的にアニメ作品を選んでいるというのはあります。僕は、劇伴作家として駆け出しの4〜5年は実写の作品がほとんどでしたが、ここ10年はアニメ作品をやってきていて、自分のライブに来てくださるお客さんの大半はやはりアニメ作品を通して来てくださっている方が多いですし。アニメに関わった10年で、自分自身「これ!」と思える曲を作ってきているというところもあるので。

ーーアニメ作品の音楽について、やっていて感じる特徴や、やりがいを感じること、「アニメの音楽ってこういう感じだな」と見えてきたことなどはありますか。

澤野 うーん、自分もまだまだ探り探りですけれど……でも、実写の作品よりもアニメ作品のほうがサウンドトラックに興味を持ってもらえる層が多いかなという気はしますね。単なる個人的な分析ですが、視聴率の高いドラマでも、よほどキャラクターが立っていたりしないかぎり、作品自体にファンがつくことって比較的珍しいじゃないですか。その点、アニメはもともとキャラクターや世界観が立っているので、作品自体のファンになる人が多くて、その作品が好きだからこそブルーレイを買ってみようかとか、後ろで鳴っている音楽も聴いてみようといった興味も持ってもらいやすい。そういう部分では、僕もやりがいがあります。それに、アニメ作品は音楽的にもいろいろなアプローチができるというのもあります。日本のドラマは特に、日常的なストーリーが多いじゃないですか。どんなにスペクタクルがあっても、海外のドラマのような壮大なスケールになることはほとんどないので、あまりオーバーな音楽を作ると物語とかけ離れてしまう。アニメは逆に、世界観が壮大なものも多いので、オーケストラで壮大な曲をアプローチしたり、歌の曲や幅広いジャンルの音楽を取り入れたりしても上手くハマって、いろいろ挑戦できると思います。

ーー今回の収録曲で、ご自身で特に思い出深いものや思い入れの強いものは?

澤野 まず、アルバム2曲目の『Blue Dragon』というドラマ『医龍 Team Medical Dragon』の曲。『医龍』は自分が劇伴作家としてデビューしてすぐに携わった作品で、この作品の音楽にある程度反響があったことが、その後の自分の劇伴活動に影響を与えてくれたので、思い入れは強いですね。同様に、アニメ作品で自分に大きな影響を与えてもらったのは『機動戦士ガンダムUC』。この作品をきっかけに、アニメの作品のオファーが増えていきました。自分自身、メロディやアレンジでいろいろ実験して、エネルギーを注いだ作品なので、3曲目の『MOBILE SUIT GUNFAM UC-medley』は思い入れが強いです。4曲目『YouSeeBIGGIRL→Thanks AT』は、『進撃の巨人』の曲を2曲メドレーでつなげているますが、『進撃の巨人』もその後の自分の活動に『UC』と同じくらい影響を与えてくれた作品です。特に『Thanks AT』という曲はシーズン3のメインテーマとして作りましたが、シーズン3は荒木哲郎監督が関わる最後のシリーズとわかった上で作った曲なんです。僕は荒木さんのおかげで『進撃の巨人』に関われたので、荒木さんには非常に感謝していて。後でサントラを出すときに『Thanks AT』という曲名をつけました。この「AT」は、実は「荒木哲郎」のイニシャルなんです(笑)。ですから、この曲はとても思い入れが強いですし、曲が映像に当てられた時に、荒木さんから「シーンにものすごくハマる曲で感動しています」とメールをいただいたという思い出もあります。荒木監督とはその後、『甲鉄城のカバネリ』でもご一緒して、『カバネリ』の曲(9曲目『KABANERIOFTHEIRONFFORTRESS』)も今回のアルバムに入っていますし、先日発表された新作の『バブル』でもご一緒させていただけて、本当に光栄だなと思っています。


アニメージュプラス編集部

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