• 『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所!
  • 『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所!
2021.12.23

『ガンダムUC』『進撃の巨人』の澤野弘之が語るピアノソロアルバムの聴き所!

澤野弘之

『機動戦士ガンダムUC』や『進撃の巨人』など、数々の大ヒットアニメ作品の音楽で知られる作曲家・澤野弘之が、初のピアノソロアルバムを発売した。
これまでに手掛けてきた楽曲を澤野自身のソロピアノ演奏で収録し、作曲家・澤野のベスト楽曲集として、さらには極上のピアノアルバムとしても聴き所満載のこのアルバムについて、澤野自身に語ってもらった。

◎エッセンスが濃縮されたピアノソロ◎

ーー今回のピアノソロアルバム発売は、どういった経緯で決まったのでしょうか。

澤野 今回は「ピアノソロアルバムを作るぞ!」と特別に意気込んで企画したわけではないんです。もともとは、僕のファンクラブ「-30k」のコンテンツのひとつとして毎月、これまでの自分の曲をピアノソロで弾いていました。それが2年以上続いてある程度の曲数もたまってきたので、ライブ会場限定販売のCDのような形でまとめて発売することはできないですかと提案したら、「むしろ、ちゃんとした形で発売しませんか」と言っていただけて。可能ならばお願いします、ということになりました。

ーー今回のアルバム用にあらためて演奏を収録したのではなく、これまで弾いてきた演奏の積み重ねということですね。

澤野 たとえばスタジオでプログラミング作業をしている時に「-30kに演奏をあげなくては」と、その場の雰囲気で選んで弾いてきたものを、CD用にマスタリングだけして収録しました。ただ、18曲目に入っている『pianoBLUE』という曲だけは、このアルバム用に『青の祓魔師』の曲をメドレーにして録音しています。

ーーでは、しっかりピアノソロ曲にリアレンジしたというより、なかば即興的な演奏で?

澤野 はい、用意した譜面も2段のピアノ譜ではなく、メロディとコードだけ書かれているもので、それを見ながら、その時の雰囲気で弾いて。もちろん自分で原曲はわかっているので、「ここで盛り上げたい」みたいなことは意識していますが、細かいフレーズなどはその場の雰囲気、即興に近いですから、自分の好きなフレーズや和音の使い方、リズムの使い方なども出ていると思います。

ーー澤野さんの曲のエッセンスが、より濃厚に伝わるアルバムかもしれないですね。これぞ “澤野節” という。

澤野 そんなに大層なものではないですが(笑)。確かに自分のピアノの弾き方とか、曲を作る時のベーシックが現れている部分もあるとは思いますので、そういう風に聴いていただくのもありかと思います。

ーー選曲も、その時々の気分に合わせて。

澤野 そうですね。とはいえ、会員の人たちに「ああ、あの曲か」とわかってもらえるような作品のテーマ曲や主要曲、そして自分的にも好きな曲をチョイスしているというのはありますね。今、サイトには30曲あがっていますが、今回はその中から20曲近くを選んで収録しました。

ーーそういう意味では澤野さんのベスト曲集という趣もありますね。

澤野 結果的にはそういう感じにはなりましたね。

ーーピアノソロで弾いてみて、あらためてご自分の曲に感じることなどはありましたか。

澤野 感じることかぁ(笑)……まあ、根本は変わっていないなということですね。自分の好きなメロディの運び方、和音の付け方、音の流れが。今でも劇伴を作る時は、今まで作った音楽と違うものを作っていきたいとは思っていますし、「これも、あの人が作っているの?」と言ってもらえるような作曲家になるのは憧れでもあります。でも、それはやはり簡単にできるものではないし。結局、自分が好きだと思える音を追求していくとクセのようなものが出てくるというか……自分はやっぱりこういう音が好きなんだなと、あらためて感じたりはしました。作曲をする時も鍵盤を弾きながら作っていたりするので、手癖みたいなものは出てくると思います。それがピアノソロだとよりダイレクトに現れるので、そういうところを感じていただけるのなら嬉しいですね。

アニメージュプラス編集部

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