• 『海賊王女』第11話/特別インタビュー&クライマックス特番公開!
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2021.12.09

『海賊王女』第11話/特別インタビュー&クライマックス特番公開!

(C)Kazuto Nakazawa / Production I.G


──フェナというキャラクターについても聞かせてください。瀬戸さんから見て、フェナはどういった人物や性格に映りましたか。演じていく上でチャレンジしたこともあれば教えてください。

瀬戸:フェナはすごく行動力があるし、決断力もあります。父と別れ、家族と別れ、しかも娼婦の島というサバイバルな環境で育ってきたにもかかわらず、心が腐っていないんですよね。人は環境によって出来上がると思うのに、「やりたいこと」や前向きさを失わなかったのは、周りの人たちからの愛や雪丸との思い出が、フェナの性根の部分に強く影響していたんだろうな、と感じました。

それでいて、度胸もありますよね。たとえば、「初夜権」を獲得されて塔を登っていくシーン。自分の計画が完璧だと思いこんでいるあたりは世間知らずな感じもあるのですが、それがうまくいかないとわかった途端に「お腹が痛い…!」って小芝居を打ったりもできる。ふつうは怖くなったら体が固まったり、相手の言いなりになったりしそうなところなのに。

あそこで私は度肝を抜かれたんです。これまでにも真っすぐで無鉄砲な役どころを演じることはありましたから、自分の引き出しから生かせる部分もあるとは思ったのですが、それしてもフェナの度胸の据わり方はすごい。

あと、フェナは結構なおしゃべりなんですけど……「おしゃべりな人見知り」というところがあって(笑)。

──言い得て妙だと思います!

瀬戸:周りに気遣いをするタイプだから、余計によく話してしまうんでしょうね。雪丸と再会したときにも「まともな男に会ったことがない」とフェナは言うのですが、それも相手に間違いなく自分のことを理解してほしい、相手に間違って受け取ってほしくないという気持ちが強いから、ああいうふうにたくさんしゃべるのだと思うんです。

もちろん、男性に慣れてないというピュアさもあるので、そこから宿るどこか無邪気で、世間を知らないからこそのかわいらしさは乗せたいと考えていました。でも、それが「あざとさ」のようなものには感じさせないことには気を払ってきました。

フェナが持つかわいらしさは「計算的なあざとさ」ではなく、「天然的なあざとさ」なんですよね。聞こえていないふりをしたり、雪丸をからかってみたりという茶目っ気はあるけれど、男女問わず他者から嫌われるタイプではないでしょうからね。

──話数が進んでいくにつれてフェナを取り巻く人々も登場してきました。後半にはアベルというキーキャラクターもいます。アベルは、瀬戸さんにはどのように映り、またフェナとしてどのように接しようと考えましたか。

瀬戸:フェナにとっては、「会えなかった母親を知っているこの人は何者なんだろう」という疑いと、「あわよくば母親のことも聞いてみたい」という好奇心を同時に抱く人物なんですよね。誘拐された後もアベルは優しく、特別扱いしてくれる。でも、その向けられている愛情みたいなものへの歪みから「私を通して何か別のものを見ている」と気づきます。

そういった疑心はありつつも、フェナらしく抑えきれない好奇心でアベルに向かっていく。目をそらさずに、アベルと対峙していく姿を表現したいと思いました。

私自身も、もちろん演じる話数の台本を見ることはできますが、『海賊王女』においては先々のシナリオを読まずに、台本をいただく度に知っていったことも多いです。先々の展開を楽しみにしつつ、毎話向き合っていけていた、という思い出はあります。

──フェナと一緒になって、謎が明かされるような感覚を持っていけたという。

瀬戸:そういう意味では、第11話は一度読んだだけでは難しくて、謎も残っています。一番に私の中に残っている謎は、「ヘレナは本当にアベルを愛していたのか」です。私はヘレナ役の坂本真綾さんとは一緒に収録できなかったので、どういったディレクションを経て、あの悟ったようなお芝居になったのかがわからなくて。

なぜ、アベルに対して「愛していたのはあなただけ」と伝えたのか。でも、炎で燃やされるときの最期に相手の目を見るなんて、本当に愛していたらやらないと思うんです。

──絶対に忘れられなくなりますものね。

瀬戸:すごく酷なことをするなぁ、って……これ、中澤さんに真意を聞きたいところです!

──ちゃんと書いておきます(笑)。

瀬戸:収録中から私や鈴木くん、中澤さんとで休憩中に話すことはあったのですが、このご時世で打ち上げ的なものもまだできていないんです。放送が終わり、みんなの気持ちが熱いときに、また集まって話したいです。それこそオーディオコメンタリーなんて出せたらいいですね。中澤さんは「僕は前に出る人ではないから」なんて遠慮なさりそうですけど、でも、ぜひお話ししたいです。

──このインタビューが公開される頃は、物語もいよいよ終盤です。瀬戸さんの言葉で、ぜひ見どころを教えていただけますか。

瀬戸:ここまでも大冒険が繰り広げられて、いろんな島での出来事だったり、人との出会いだったりと、たくさんのことが起きてきました。11話、12話にかけて、アベルの目的や行く末、フェナに与えられた使命が、クライマックスに向けて描かれていきます。

ご覧になる方にとって、それがハッピーエンドになるのか、予想外なのか、あるいは予想通りなのか……どういった結末と感じるのかはそれぞれですが、良い意味で期待とは違う着地で、驚かせてくれるエンディングだと感じます。

定められた使命を探し、それをずっと守ってきた雪丸の気持ちにも、一つの落としどころが描かれていきます。最後まで見守っていただけたらと思います。

(取材・文 長谷川賢人)

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(C)Kazuto Nakazawa / Production I.G

アニメージュプラス編集部

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