『無職転生』内山夕実インタビュー「第2クール後半戦も……本気だす！」

――ルーデウスの本質や演技についてはいかがでしょうか。

内山　ルーデウスはあくまで、前世の男が転生した姿です。私が担当する部分のセリフについても、シーンに応じて声はルーデウスだけど、その後ろには前世の男が存在しているんだということを意識しながら、ご覧いただく皆様になるべく違和感なくお楽しみいただけるよう願って演じています。特にギースとのやり取りは、今までとは違う雰囲気を意識していました。先輩と新入りという関係性もそうですが、他のキャラクターともまた違う口調で、より前世の男味のあるルーデウスだったように感じます。全裸で、ある意味開放的になっていた、ということなのでしょうか（笑）。

――デドルディア族の集落でルーデウスと出会うギースをはじめ、第2クールに入ってから多数のキャラクターが登場しました。内山さんが魅力的だと感じたのは誰でしょうか？

内山　どのキャラクターも魅力的なので、悩みますね……。ただこの第2クールが始まってすぐの第12話で早速登場し、第2クールのキービジュアルでもしっかり存在をアピールしているキシリカは、見た目も性格もエピソード的にも強烈に印象に残っています（笑）。キシリカは第1クールにも登場していたのですが、直接やり取りをしたのはこの第12話が初だったので、どんな出会いになるのかワクワクしていました。ルーデウス的にもようやく魔眼を手に入れるという展開でしたので、とても楽しみにしていました。……まさか、あんなふうに魔眼を授けられるとは（苦笑）。ルーデウスもかなり振り回され、ツッコミどころの多いキャラクターではありますが、どこか憎めない愛嬌もあったり、動きもとても躍動感がありパワフルでいてかわいらしい部分も持ち合わせているキシリカが井口（裕香）さんのお芝居も相まって相乗効果で魅力が倍増していたように思います。

――ロキシーなど第1クールから引き続き登場しているキャラクターも、新たな側面や魅力が描かれていましたね。

内山　こちらもまた絞れないほどに魅力が溢れるキャラクターばかりなんですよ……。第1クールからのキャラクターたちがさまざまなシーンで再登場してまして。第18話だと、ロキシー師匠のご両親、そして、まさかのノコパラさん！　師匠とあのような過去があったなんて……。出会うタイミングだったり、相手、環境によってこうも印象が変わるものなのかと感じましたし、ノコパラさんもデッドエンドとの出会いを経て、確実に影響を受けている様子を感じることができました。ルーデウスが周りの人たちとの出会いによってさまざまな影響を受けているのと同じように、周りのキャラクターにも影響を与える存在になっているんだなと、この第2クールでも感じられる部分が要所要所で描かれていたように思います。そして師匠とご両親のお話には涙腺が……。本当に素敵なシーンでした。師匠にとっても大きな成長を遂げた大切なシーンでした。ただやっぱりお義父さんと呼ぶのはまだ許してもらえなさそうでしたね（笑）。

そして、第1クールからずっと行動を共にしているデッドエンドのメンバーは、今までの積み重ねがあったからこそ感じることのできる魅力がさまざまなシーンで描かれていました。ルイジェルドさんとは第12話の後半で、またもや1人で勝手に決断し行動しようとするルーデウスとぶつかりますが、出会ったばかりの頃は決して自分の考えを曲げようとしなかったルイジェルドさんが、ルーデウスに歩み寄ってくれました。そして、親子喧嘩のシーンでは、静かにそっと見守り、父様に助言もしてくれたり、旅立ちのシーンでは、ノルンへ「兄弟は大切にしろ」と優しく諭す姿もとても印象的でした。

それから、エリスに至っては、出会った頃から比べると成長が目覚ましすぎて……。家庭教師と生徒として出会ったばかりの頃は、とにかく手が付けられず大変なことも多かったルーデウスですが、ギレーヌとの間柄のように一度信頼した相手にはとことん心を開いて全力で慕ってくれるエリスが、第1クール後半から、第2クールでもこんなにも精神的に支えになってくれる存在になり、親子喧嘩のシーンでも、かなり激しめでルイジェルドさんに制されていましたが（笑）。つねにルーデウスの味方で居てくれていました。どんな時でも変わらず献身的に支えようとしてくれるエリスの姿にはこの第2クールでも、とても救われる部分が大きかったと思います。第15話でのミニトーナやテルセナとのやりとりでは、まるで二人のお姉さんのようなエリスが微笑ましく感じましたし、ギレーヌについての一件も、成長したエリスだからこその葛藤など、心の成長が繊細に描かれていて素敵なお話でした。

（C）理不尽な孫の手／MFブックス／「無職転生」製作委員会