『無職転生』内山夕実インタビュー「第2クール後半戦も……本気だす！」

フィットア領転移事件の影響で家族の離散が発覚したルーデウス。これからの冒険では、母親たちを探すという目的もできたが、これまで数々の試練を〝本気〟で乗り越えてきた彼ならきっと成し遂げてくれるはず。そこで、本作の魅力をルーデウス役の内山夕実さんにた～～～～～～～っぷり語っていただいた！

――第2クール折り返し地点。印象に残っているエピソードなど、ここまで振り返っての感想をお聞かせください。

内山　この『無職転生』という作品は本当に毎話濃い内容なので印象に残っているエピソードばかりで選びきることがとても難しいのですが……。その中でも強いて挙げるとするなら、放送前から原作者である孫の手先生もお話しされていた親子喧嘩のシーンですね。

私はアニメの収録のペースに合わせて原作を読ませていただいていたのですが、このパウロとのシーンは以前から聞いていたので、いずれやってくるこのシーンにはとても緊張しました。実際にパウロ役の森川智之さんと同じタイミングでアフレコさせていただけたのですが、パウロとの心のすれ違いや葛藤に私自身、胸が締め付けられる思いでした。魔力災害について、無意識に「自分の家族や村は大丈夫だろう」と思ってしまっていたルーデウスの気持ちもとてもリアルで、パウロから真実を突きつけられた時の衝撃は言葉になりません。

そして和解のシーンでは、ルーデウスが改めて前世のトラウマと向き合い、逃げ続けてきた過去をパウロと共に乗り越える。素晴らしいシーンだったと感じています。第1クールで父親としての葛藤を見てきた分、パウロにとっても大切な出来事だったのだろうと思います。

――第13～15話までのエピソードでは、エリスをフィットア領に連れて帰ること、スペルド族の悪評を覆すこと。その二つの目標を両立しようと、己の才覚や覚悟の限界を越えてあがくルーデウスの姿が描かれていました。そして、第16～17話までの父・パウロとの再会では、転移災害で離散した家族を探そうとして精根尽き果てた父との衝突で心が折れかけるルーデウスの姿が描かれていました。この数話でルーデウスのさまざま一面が垣間見えましたが、改めて彼の魅力と、「ここはもうちょっと成長したほうがいいのでは？」といったところがあれば教えてください。

内山　ルーデウスは立ちはだかる困難に対して簡単にクリアするのではなく、時には失敗を繰り返したり、周りの人たちに助けてもらいながら乗り越えていく、完璧でないところが魅力だと思っています。

私から変わって欲しいと思うところは正直ほとんど無いのですが、その成長がとても繊細に描かれている分、第1クールの終わりで絆を深めたデッドエンドは印象に残っています。特にルイジェルドさんとの第12話でのやり取りは少し悲しい気持ちになってしまいました。ルーデウスなりにいろいろと考えた結果の行動だったのですが、ルイジェルドさんやエリスの思いを考えると……複雑な気持ちになりました。直前で魔眼を手に入れたルーデウスとエリスの手合いのシーンでも、ついつい調子に乗ってエリスをコテンパンに倒してしまうところなども、エリスの気持ちを考えると、もう少し相手の気持ちを思いやれたらなぁ……とも。

ただ、それがこの時点でできてしまってはルーデウスではないので、やっぱりこのままで良いのかもしれません（笑）。逆に、どんなに失敗を経験しても、目の前の試練から逃げずに立ち向かう姿は、前世のトラウマがあることで本当だったら逃げたくなる瞬間もたくさんあるだろうに、周りの人に支えて貰いながらも、最終的には逃げない決断ができるルーデウスは、観ていても演じていても本当に凄いと感じます。それに転生してから真面目に魔術の勉強をし、努力を重ねて成長していく姿も素直に尊敬します！　あっ！　パンツを被るのはやめてほしいかな……（笑）

（C）理不尽な孫の手／MFブックス／「無職転生」製作委員会