• angelaが『蒼穹のファフナー THE BEYOND』で貫いた「最後のわがまま」
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2021.12.01

angelaが『蒼穹のファフナー THE BEYOND』で貫いた「最後のわがまま」

angela(左:atsuko、右:KATSU)が『蒼穹のファフナー THE BEYOND』楽曲制作秘話を語る


――では、最終章の曲についてお伺いしたいと思います。まずは『今を、生きる為に』。

atsuko 最終章の曲は3年くらい前にレコーディングしたんですけれど、最近マスタリングで久々に聴いたらKATSUさんは衝撃を受けていたよね?

KATSU いや、曲展開が目まぐるしすぎて。J-POPではありえないですよね、これ(笑)。もう曲の体裁なんか関係なくて『ファフナー』ファンに僕らの思いが伝わるだけでよい、という気持ちで作っているんですよ。これでもか、これでもか、というくらいにいろんなものを詰め込んだものに仕上がってます。この時作った4曲の中で締めの曲だったので、盛り上げていこうという気持ちがありました。

――『過ぎ去りし日よ』は先ほどお話にあったようにザ・島唄という感じですが。

KATSU そうですね、能戸(隆)監督との打ち合わせの際に十一話の説明を受けた上で「angelaの島唄が欲しい」と言われたので、素直に「ハイ!」と(笑)。

――さらにファンにとって最大の驚きが、最終話で『Shangri-La』『Separation』が流れたことです。特に『Shangri-La』はニューバージョン(『Shangri-La~THE BEYOND~』)となりましたが、これはどういった経緯から?

KATSU これは能戸監督と三間(雅文音響監督)さんから使いたい、というお話がありました。しかし『Shangri-La』は言ってしまうと17年前の機材で作った音源なわけです。それをそのまま使うか、それとも最新の技術で音源を改めて作るかを話し合いました。

ファンの皆さん的には昔から馴染みのある音源の方が良いんだろう、とは思うんです。でも、作品が17年の時間をかけて凄い映像を見せてくれているのに音はそのままで良いのか? と。あと、ライブを重ねていく中でatsukoの歌い方や僕の演奏も変わってきているわけです。

atsuko 17年前は粗削りだものね。

KATSU うん、今聴くとドキリとするくらい。だから、最終章は今のangelaの形で送り出したい、という気持ちがあったんです。

atsuko でも誰も正解がわからなくて、最終的にスタジオにエグゼクティブプロデューサーを呼んで、実際に今の『Shangri-La』を歌ってみて、そこで判断しようということになりました。

――それはまた贅沢な!

atsuko で、実際にやってみたところ、「今の歌い方はとても丁寧な印象だった。その歌唱力で粗削りに歌ったバージョンでもう一度聴きたい」と。それでライブで歌うような形でもう一度トライしたら「これは良いかもしれない!」ということになって、その日そのままレコーディングすることになりました。

KATSU 17年前の『Shangri-La』を録った日のことはよく覚えているんですよ。文字通り24時間スタジオにこもりっきりで作った1曲なんですが、その時atsukoが「私、これをライブで歌える気がしない」とまで言っていたんです。

atsuko 当時の私には難しかったですから。

KATSU 当時はサビ前で1回(録音を)止めたりしていましたからね。でも、今はライブを重ねてatsukoさんが100%の力を出せるようになりましたから。

atsuko でも、やっぱりファンの皆さんには違和感があるだろうと思って、17年前の『Shangri-La』の歌い方、自分の声を聴きながら歌い直したんですよ。

――そこまでのことをされたんですか!

atsuko 普通そんなことしませんよね(笑)。

KATSU 島民(『ファフナー』ファン)の皆さんの立場で考えたら、昔の『Shangri-La』を流す方が当然なんだろうとは思うんですよ。でも、これまで17年間応援してくれた皆さんへの感謝の気持ちを伝えるのに昔の音で応えるのは違うんじゃないか、と僕は思うんです。もしかすると賛否でいうと否が多いかもしれないですが、ここはangelaの最後のわがままだと思って許して頂きたいです。

――今のお話で、angelaにとって『Shangri-La』がとても大切な存在であることがよく伝わってきます。

KATSU 正直、デビューしてから現在まで、『Shangri-La』は自分たちにとって良い意味でも悪い意味でも壁になっている存在なんですよ。『Shangri-La』がなければ今こうやって自分たちがインタビューを受けていることはない、と言えるくらいangelaを作り上げてくれた1曲だと思うんです。だからリミックスなどで触るのは正直怖いくらいなんです。

――もはや聖域に入った1曲というか。

KATSU はい、もう自分たちの曲じゃないんですよ。今や『ファフナー』から預かっている、という気持ちの方が大きくて。

>>>『蒼穹のファフナー THE BEYOND』キービジュアル、『Shangri-La ~THE BEYOND~』ジャケットを見る(写真3点)

アニメージュプラス編集部

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