• 古川慎が癖強めな「渇望」のミニアルバムで伝えたかったこと
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2021.11.17

古川慎が癖強めな「渇望」のミニアルバムで伝えたかったこと

古川慎さん


―――作詞で苦労されたというのはどんな風に?

古川 この曲は、人間じゃないホムンクルスのような二人が脱走して、派手さはないけど静かで幸せな暮らしをしていた。けれど、片方が亡くなってしまったというところまで、明確なビジョンがあったんです。でも、そこから先、どうやったら残された側は幸せになれるのかというビジョンが全然浮かばなくて……。救いの無い終わり方も嫌だし、残された方には何か素敵な物を見せた上で、ここから先を歩んでいってもらいたいと思ったので、どんな言葉を使えば良いんだろうと凄く悩みました。

――幸せにしてあげたいけれど、どういう風に持って行くかが難しかったと?

古川 そうですね。でも、終わり方に関しては、せめて綺麗なクローバーの景色を見せてあげようと思いついたのですが、そこまでの音のハメ方が難しくて……。独りの間に食事はどうしているんだろう、でも、人間じゃないから何もしないで終わりを待っている状態なんじゃないかとか、かなり色々考えて言葉を選んでいきました。

――この歌詞には古川さんの優しさが詰まっているんですね。4曲目の『夕凪を連れて』では、年齢を重ねることも歌っていますが、こちらはどのような想いで作詞されたのでしょうか?

古川 最近年を取るのが怖いなと思い始めまして。関節が痛いとか物が二重に見えるとか……。じゃなくてですね、ついこの間まで10代だったのに、もう30代になっているし、周りも同じように年を経ている。両親もいつかは死ぬし、住み慣れた町も随分様変わりする。それが何だか怖いなという気持ちがあるんです。昔のことは良く見えがちですが、これ以上、昔の良かった思い出が薄れていくのは嫌だなという思いを、歌詞にしたらこうなりました。何もしなくても時間は過ぎていきますし、後ろばかり見ていてもしょうがない。時間なんて巻き戻せないから頑張って生きていこうという意味を込めた歌詞ですね。

――逆に古川さんが、年を重ねたからこそ良かったと感じることはありますか?

古川 後輩とか敬ってくれる人が増えました(笑)。気にしてくれているんだ、俺は空気みたいな存在じゃないんだと感じられて有難いですね。

――最後の曲『Craving』についてもお聞かせください。初めて楽曲を聴いた時の印象はいかがでしたか?

古川 走り抜けていく、銀河鉄道のような印象をもちました。ただ、僕があまりにも鉄道関係のかっこいい言い回しが浮かばなかったので、それは諦めて(笑)。ただ、暗い所から明るい所に上がっていく絵は見えていたので、そこから、コロナ禍で自由にできない囚われた世界から這い出ていきたいという強い思いを表現していきました。自分自身がこうしていきたいという考えが、この曲に一番強く出ていると思います。

――だからこその「渇望」という意味のタイトルなんですね。

古川 心から望む、まさに飢えながらも望むような「渇望」をイメージして書いていたんですが、なぜかどんどん僕の大好きな作品である『Fate/stay night』に近付いていって……。僕自身、(同作の)主人公の衛宮士郎の願いの叶え方や考え方が良いなと思っているところが多分にあって、そんな風になれたらなという思いも込めて歌詞を書いていったら、最終的に『Fate/stay night』の歌みたいになりました(笑)。

――そのつもりで聴き直します(笑)。5曲の作詞お疲れ様でした。ちなみに古川さんが作詞される際の「お供」的存在はありますか?

古川 曲を聴いて音のハマリを確認しながらやっているので、イヤホンですね。それと、何か飲み物もいります。最近は毎日2リットルくらい、紅茶をがぶ飲みしています。

――2リットルもですか!?

古川 普段の飲み物を紅茶にしたんです。とりあえずコンビニに入ったら、無糖紅茶やレモンティーを2本買って、次の現場に入る前も同じようにしているので、通算1日2~3リットル飲んでいますね。喫茶店でもアイスティーを飲むので(笑)。

アニメージュプラス編集部

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